【感想】鬼切丸伝(9)

楠桂 / コミック乱ツインズ
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 『黒犬』の優樹

    『黒犬』の優樹

    ついに、この作品も次で、一つ目の大台に突入か
    残酷な表現が多い、を通り越して、突き抜けちゃっているので、妙なトコから圧力をかけられ、打ち切りになっちゃうんじゃ、と不安になる事もある作品なので、一ファンとして嬉しい

    ただ、もう一つ、不安の種はある
    それは、楠先生の精神状態だ
    先生自身は、まだ、若輩者と思っているかも知れないけど、十分、レジェンドの領域にいる漫画家だ
    それだけに、経験は豊かで、メンタルも強くなっているのは間違いない
    しかし、この『鬼切丸伝』は、鬼切丸の変化や鬼の抱える怒り、哀しみ、憎しみと言う形で、人の深いまでの業が描かれている
    ハッキリ言って、毒が宿っている漫画だ。私のように、毒上等、そんな漫画を読んでこそ、漫画読みとしての経験値稼ぎになる、と思っている様なタイプならまだしも、綺麗な物だけを読みたい漫画読みにはキツいんじゃないだろうか
    それだけに、この毒が、楠先生を蝕みやしないか、不遜なのは承知で心配している
    セーブしろ、と言ってセーブできる漫画家じゃないのは、百も承知なので、担当さんにブレーキをちゃんとかけるように、くらいしか言えない私は情けないだろうか
    ちなみに、あくまで、個人的な感覚だが、この『鬼切丸伝』は、週刊少年ジャンプで大好評連載中の『鬼滅の刃』が推しの人もハマれるんじゃないだろか
    のっぴきならない事情があって、鬼に成るしかなかった人間が登場し、鬼切丸に斬られているので

    これまで、幾度か、感想の中で書いているが、現代ではなく、過去の時代に生きる人たちの心の機微が描かれている点も、内容が、読み手の心へグサッと来る
    ハッキリ言っちゃえば、今と昔じゃ、命の価値や殺人への躊躇、また、鬼と言う、人非ざるものへの恐怖の度合いが違う
    その違いや差が、鬼の感情に対する読み手への共感が生んでいるんじゃないだろうか、と私は勝手に思っている
    この(9)では、鬼を量産するほどの人でなし梟雄・宇喜多直家、鬼を魅了してしまうほどの美しさで生まれてしまった姫、そして、死しても尚、己に忠誠を誓ってくれた部下を鬼とし、戦場で大暴れした島津家久の終わり方が描かれているので、ファンが増えたんじゃないだろうか

    この台詞を選んだのは、また、鬼切丸に変化が生じたな、と感じたので
    自分の天命を見失いかけるほどの同情
    悪い変化ではない、とは思う
    外道と表現しても差し支えない宇喜多直家が、鬼切丸に、この変化を促したのは、何の皮肉だろうか
    その迷いを振り切ったのが、鈴鹿御前であるのも、これまた、キレがいい
    「頼む、鬼切りの者よ!! 最期くらいは、父親らしい事をさせてくれ! 娘達が命を掛けた願い・・・叶えさせてやってくれ!!」
    「鬼と成ったなら、それで終わらぬ! 人の味を知って、さらに罪なき者を喰らって行くぞ!!」
    「なれば、わしを喰らった、その後に、娘達を斬ってくれ。頼む・・・」
    (こんな事になるのであれば、この者がまだ幼かった、あの時に斬っておればよかったのだろうか。兎角、今は、この人でなしの今生の願いを・・・ふと、叶えてやらねばならぬ気がした・・・)(by宇喜多直家、鬼切丸)
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    投稿日:2020.03.01

  • hkobayashi

    hkobayashi

    今回は備前国の戦国大名・宇喜多直家、万葉集にも詠まれた菟原処女(うないおとめ)、薩摩国の英雄・島津家久の3本。相変わらずザクザク斬ってしまいます。
    人の怨念が人を鬼にしてしまうのですが、いろいろな思いが出てくるもんですね。菟原処女とかちょっと他と雰囲気が違って良かったですね。続きを読む

    投稿日:2019.09.18

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