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海嶋怜 / 文芸社 (1件のレビュー)
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佐々木葵
唐突にやってきた騎士たちにより一族と村を全て失い、病弱な弟だけと自分だけが生き残ったため、騎士への異常な敵意を持つ馬賊のリーダー、アガト。 王妃となった幼馴染みへの永遠の愛を誓いながら、シザリオン国王…の近衛兵として頭角を現すギルディオン。 お互い愛し合いながらも、家の存続のためにシザリオン国王へ嫁いだエレメンティアと、姉への愛を知りつつもギルディオンへ憧れを募らせ、剣の腕を磨く少女ラフィエル。 心も体も虚弱で儚げなうつくしさをエルギウス国王に望まれ嫁いだ妹を守ることに全霊をかける、エルギウスの辺境伯爵レオン。 物語はレオンの妹、エルギウス王ガルドの妃シルフィンが何度目かの流産により妊娠を望めぬ体になったことで、動き出す。 平原の王国エルギウスと山岳国のシザリオンには、一つの伝説があった。 『翼を持つ乙女、サンスタンが降臨する時、その者は王座につくであろう。全ての平原の民は一つとなり、死の炎を越え、その美しき騎馬の乙女に導かれて、古き〈黄金の都〉へと歩み入るだろう』 そのサンスタンたる乙女を、シザリオン王妃エレメンティアが産んだ。二度と子を宿せぬ体となった妹をガルド王から守るため、妹が伝説の乙女を産んだことにしようと、レオンは腹心の部下を使ってシザリオン城から攫う。 姫がいない、というエレメンティアの悲鳴を聞いたギルディオンは愛馬とともに奪還に向かうが、あと一歩のところで川に流されてしまう。 さて、サンスタンの伝説が意味するところは何か、ギルディオンは生きているのか、愛する人を守ろうと命をかける人々が物語の中で交差し、サンスタンの伝説を紐解いていく。 という物語。 メインとする登場人物が多い上に全員が設定もりもりなため、書ききれてないなあと感じた。特にギルディオンが都合よく動くキャラになってしまっていたのが残念。 また、サンスタンの存在がこれまた都合のよい預言者になってしまって、物語の中でその存在を活かしきれていなかったのも惜しい。 まあ昨今のラノベ風な小説は設定もりもりのキャラがてんこ盛りに出てきて、唐突に神様的存在(キャラだったり手記だったり様々だが)により世界の成り立ちや真実をむりやり開闢させられるストーリーが多いので、流行りなのかもしれない。 キャラクターは魅力的だし、読ませる文章ではあったので次回作に期待。続きを読む
投稿日:2021.06.05
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