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木村 伊兵衛 / 朝日文庫 (2件のレビュー)
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sagami246
木村伊兵衛は、戦前から戦後の高度成長期まで活躍した写真家。 本書は、その木村伊兵衛の写真と木村自身による解説、更には、木村の書いたエッセイを収載した文庫版である。この文庫本自体は、2019年の発行なの…で比較的新しいものであるが、木村の撮影した写真作品、および、本書収載のエッセイが書かれたのは随分古い。エッセイは、1950年代から1960年代にかけて書かれたものが中心、写真も同様である。 本書収載の写真を見て、撮影された時代や場面を中心に楽しむわけであるが、しかし、写真は実際には撮影者の意思と技術の結晶である。どういう意思と技術をもって撮影したのかについて、木村伊兵衛自身が解説している作品がいくつか掲載されている。 例えば、「マダムS(佐藤美子)」と題された写真がある。1952年の作品であるが、木村伊兵衛は、下記のようにそれを解説している。 【引用】 この写真で一番考えたのは手の扱いで、面長の顔に変化をつけようと苦労した。黒いユカタを無造作に着て化粧もしない。そして黒のところから長い顔が出ていて、そのままではなかなか写真にならないんだな。だからこいう手を扱ったわけだ。手がないと写真にならないし、アップを撮るしかない。しかしライティングとか、そういうものでごまかさないで、佐藤美子という人の美しさとか、人間とか、年増とか、そういうものを何とか出すことが大事だと思ったんだ。 【引用終わり】 また、1953年に秋田県の大曲で撮影した「市場にて」という作品については、下記のように解説している。 【引用】 一年の半分は雪に閉ざされている農村では、生活費を得るために、むしろを作っている。旧正月前の朝市で、自家製のむしろを売っている主婦を撮影した。美人で、黒いマントとビロウドの黄色と、黒のえり巻きのとり合わせが印象的であったのと、顔に表われている八の字のしわが、この人の生活の厳しさを物語っていた。初期のものより多少とも人間を写し出すことができたと思った。 【引用終わり】 これらの解説を読むと、木村伊兵衛にとっての人物写真とは、その人間そのものを如何に表現するか、というチャレンジであったことが分かる。そのために、被写体とタイミングと構図を選び、最適な技術を選択する。更には、撮影者自身が人間に対する理解を深めることが大事なことだと、他の場所で述べている。 一枚の写真は企みと技巧に満ちているのだ。続きを読む
投稿日:2024.04.19
重度積読症
木村伊兵衛の代表的な写真が掲載されており、合わせて写真家としての人生や、写真を如何に撮るかを語ったエッセイも付されていて、お得感のある一冊である。 ただ、機械としてのカメラには全く関心がなかった…ので、「ライカの名手」と呼ばれた彼が語るライカ論『II ライカについて』の内容がほとんど理解できなかったのが残念だった。続きを読む
投稿日:2021.05.02
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