【感想】クロイドン発12時30分

F・W・クロフツ, 霜島義明 / 創元推理文庫
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ゆきお

    ゆきお

    有名な倒叙ミステリ。
    ふとテレビで放映されていたコロンボ刑事を視聴し、倒叙熱が出てきたので読了。
    新訳とのことで読みやすく、描写などもイメージできた。
    意外にも法廷シーンが長く、いろんな要素を楽しむことができるとても満足度の高い一冊だった。続きを読む

    投稿日:2025.06.15

  • コウ

    コウ

     倒叙ミステリとして有名な小説。不況(解説によると世界恐慌を指す)によって、主人公チャールズの会社は追い込まれる。そこで彼は彼の叔父のアンドルーを殺害し、その遺産を得て、会社を立て直そうと考え、ついに殺人を実行してしまった。なんとか計画通りに事が運んだと思ったが、徐々に綻びが生じる。本作はそんな殺人計画がばれるまでの過程を見ていく。続きを読む

    投稿日:2024.12.30

  • Naoty

    Naoty

    コロンボや古畑のような犯人の心理が読める倒叙が何より好き。
    『漂う提督』でクロフツが読みやすかったので、三大倒叙のクロフツも読んでみたくなった。

    三大倒叙ミステリ
    1931年『殺意』アイルズ
    1934年『クロイドン発12時30分』クロフツ
    1934年『叔母殺人事件』リチャード・ハル

    3人ともイギリス出身の〈ディテクション・クラブ〉のメンバーで、たったの3年で三大倒叙は完成されていたというのが興味深い。

    まず、冒頭のローズ10歳が初めて飛行機に乗るシーンがとても素晴らしい。
    とある事情で突然飛行機に乗ることになり、その時の高揚感、緊張感、離陸、変わっていく窓の外の景色、音、揺れ、隣の席の父との会話、全てがリアルに伝わってくる。

    偶然にも私も同じくらいの年齢で初めて飛行機に乗って隣の席が父だったので、余計にリアルに感じて当時の感覚が一気に蘇った。(私は閉所恐怖症なのでビビり過ぎて吐いた笑)

    そんなローズの楽しいはずの飛行機初体験は、一転して悲しい事件に変わってしまう…。

    犯人は自分の殺人を「無用な1つの命」対「有用な多くの命」問題だと言う。
    自分や周りの人の苦悩に比べれば、被害者の命は無用だと考えている。

    「無用な命」なんてあるはずないのに、自分を正当化するためにこんな思考になるのが恐ろしい。
    本当は自分の利益だけを考えてるのに、「周りのため」とすり替えるのも身勝手極まりない。
    殺害計画までの並々ならぬ努力をなぜ違う方向に持っていけないのか…。

    いつもはガッツリ感情移入して読む派だけど、倒叙だけは第三者目線で「コイツ嘘ばっかりつきやがって!早く捕まれ!(`Д´)ノ」と思いながら読んでいる。
    だから自分は絶対にバレないと思っている犯人の次第に狼狽える姿を見るのが好き。

    この作品は、犯行手段やトリックに至るまで全てが詳細でリアリティがあるので、古典ということを忘れてしまうくらい現実のようなリアル感があった。

    アイルズの『殺意』は、リアリティではなく小説ならではの奇想や捻りが効いていて、どこに着地するかわからないドキドキ感があった。

    さすが三大倒叙はどちらも違った良さがあって、どちらも最高に面白い!!
    このタイプの違う完成度をこの年代で発表されては、これ以上に面白い倒叙は難しいはずだ。
    三大倒叙の残す1作も読みたくなった。

    ちなみにクリスティーの『パディントン発4時50分』は列車で、『クロイドン発12時30分』はフランス行きの飛行機。
    似てるのはタイトルだけで内容は全く似てないけど、どちらも面白い!^_^
    続きを読む

    投稿日:2024.10.24

  • seiyan36

    seiyan36

    著者、F・W・クロフツさん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    フリーマン・ウィルス・クロフツ(Freeman Wills Crofts, 1879年6月1日 - 1957年4月11日)は、アイルランド生まれのイギリスの推理作家。リアリズムを重視した一連の推理小説で知られる。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    九月七日十二時三十分クロイドン発フランス行き。十歳のローズ・モーリーは初めて飛行機に乗った。父と祖父、祖父の世話係が一緒だ。パリで交通事故に遭った母の許へ急ぐ旅であることも一時忘れるくらいわくわくする。あれ、お祖父ちゃんたら寝ちゃってる。―いや、祖父アンドルー・クラウザーはこときれていた。自然死ではなく、チャールズ・スウィンバーンに殺されたのである。

    ---引用終了


    本作は、倒叙名作の一つと言われているようです。
    ちなみに、他の名作を挙げると、

    ・リチャード・ハルの『伯母殺人事件』
    ・フランシス・アイルズの『殺意』

    リチャード・ハル(1896~1973)は、イギリスの方。
    フランシス・アイルズ(1893~1971)も、イギリスの方。
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    投稿日:2023.12.05

  • ダチョウ伯爵

    ダチョウ伯爵

    チャールズは工場の経営に行き詰まり、求婚相手のユナはお金のない男は相手にしない。頼みの綱の叔父は全くお金を貸してくれない。チャールズは従業員と叔父の命を秤にかけ、叔父の殺害を決意する。

    フランシス・アイルズの「殺意」、リチャード・ハルの「伯母殺人事件」と並んで3大倒叙ミステリーと言われる作品。

    同じ倒叙ミステリーでも、刑事コロンボとか古畑任三郎と違い、探偵がジワジワと犯人を追い詰めていくといったサスペンス的な要素はあまりなかった。

    倒叙ミステリーではあるんだけど、法定ミステリーと警察ミステリーも含まれる作品で、特に犯人の犯行に至るまでの動機と準備が丁寧に描かれているのが特徴。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.25

  • りーり

    りーり

     不況の煽りを受け経営者チャールズの工場は閉鎖寸前、頼みの綱は叔父の財産だったがあえなく断られる。 先の短い一人の老獪と将来のある従業員たちを天秤にかけたチャールズは・・・。

    古典中の古典の倒叙ミステリです。 一章にて叔父が殺されます。 当然犯人はチャールズなのですが二章以降のチャールズの計画・行動・心理描写が素晴らしい。 人間の一喜一憂、警察の領分や法廷の様子を丁寧に描いている。 ミステリにありがちな過剰な装飾や目立ちたがりな探偵や警部は登場せず現実に則った警察と容疑者の攻勢が描かれる。 派手さを削いだリアル故の地味、解決に至るまで精緻を究めた一作。続きを読む

    投稿日:2023.03.01

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