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スウィフト, 平井正穂 / 岩波文庫 (65件のレビュー)
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おぬま
図書館で借りた。 「ガリバー」「ガリヴァー旅行記」と聞いて、話の内容までパッと出てくる人はどれだけいるだろうか。巨人と小人の童話ものがたり、で記憶している人もいるのかもしれない。私は幼少の頃に、巨人が…たくさんの小人に縛られている絵が幼心に痛々しく感じて、記憶の片隅に残っていた。 本作は童話ではない。社会風刺の小説だ。普通の人間が大海原を旅したら、小人の国にたどり着いたり、巨人の国や、空飛ぶ島に行っての大冒険…という側面はたしかにあるが、実態は1700年当時のイギリスを示唆している。異国・異文化に対する政策、宗教に対する政策、王族の判断…、風刺はピンとこないものも多いが、本作はそもそもフィクションなので、比較的分かりやすい。今にも繋がる、大人向けの風刺小説と感じた。 尚、作中に日本も登場する。ナンガサク称する長崎や、ヨーロッパ人に対して踏み絵を迫るなど、当時の時代背景の理解が深まる。 また、細かい発見がたくさんあった。 皆さんご存知宮崎駿の『天空の城ラピュタ』の「ラピュタ」は本書の空飛ぶ島から来ているし、小人を表す「リリパット」、またエンジニアなら知ってる「エンディアン」もこの本が由来。「ヤフー」もこの本では当たり前に登場し面食らった。それだけ影響力がある作品とも言える。 大人になってからこそ、読むのにオススメできる1冊。続きを読む
投稿日:2023.06.21
djuax
フウイヌム(馬)の国。理性と徳をもつ馬の国。凶悪で不快な下等生物ヤフー(人間)。ヤフー(人間)は家畜として飼われている。ヤフー(人間)は、狡く(ずるく)、意地が悪く、陰険で、復讐心に富んだ連中。臆病で…あるため傲慢で、卑屈で残酷。嘘をつき、ごまかし、騙し、二枚舌を使う悪癖。▼ヤフー(人間)は残酷で忌まわしい性質をもっているが、自らは理性の所有者だと称している。その理性は完全に腐敗堕落しきっていて、単なる獣性よりもさらに恐ろしい。p.348. 理性と徳をもつフウイヌム(馬)がすべての仲間を愛するのは自然に教わったからであり、理性の命令に従っているから。p.432。 空飛ぶ島ラピュータ。どのラピュータ人も右か左かに頭が傾いている。一方の眼は内側に向き、他方の眼は真っすぐに天に向いている。衣裳は太陽と月と星の意匠で飾られている。▼ラピュータ人は常に不安に襲われている。天体に異変が起きないか。太陽に地球が吸収されないか。彗星によって地球が破壊されないか。深い思索に沈潜(ちんせん)しがちで、思索に入ると自らものを言うことも、他人の言っている言葉に耳を傾けることもできない。 日本。首都エドで、皇帝に謁見。踏絵を免除してもらう。ナンガサクからオランダ人の船でアムステルダム経由で英に帰る。スウィフト『ガリヴァー旅行記』1726 自分の生活の明るい面をより強く見、暗い面はあまり見ない。なくて困っているものよりも、現に享有しているものを考える。こうした考え方がしみじみとした深い慰めを私に与えてくれた。▼危険への恐れは、危険そのものよりも一万倍恐ろしい。 ▼今日、私たちは明日憎むことになるものを大事にしている。明日避けることになるものを探し求めている。明日恐れることになるものを欲している。デフォー『ロビンソン・クルーソー』1719続きを読む
投稿日:2023.03.30
takabeat
小人、巨人の国しか知らなかった。 風刺の物語の意味がわかった。 Yahooの語源も。 みずから体に悪いものをたくさん摂取して、健康を害してるか… 著者は本当に日本に来たことがあるのかな? 想像ですべて…を書いたのだとしたら、天才か狂人。 300年前の物語とは思えない。映画化してほしいな。続きを読む
投稿日:2023.03.24
ウェルシュ富井
一度全て読めば、誰もが驚くだろう。 幼少期の頃に読んだガリバー旅行記のファンタジーな雰囲気とは一転、物語後半に進むにつれて、人間世界への疑問、皮肉、風刺へと変わっていく。 理性的な馬の国で見たものは…衝撃的で、フウイヌムがいかに賢明な生き物かが分かる。 人間社会は欲にまみれ、利己的で、暴力が絶えない世界である。 しかし、人間に生まれた以上楽しむしかないよな。続きを読む
投稿日:2022.03.26
lho
このレビューはネタバレを含みます
巨人の国の女の胸を見れるのいいじゃん。第三篇の言語学者の暴論が衝撃的。不老不死の人間の話も印象的なのと、別の国の人々に自分たちの国について話せば、我々が普段気づかぬ正論が聞けると言う構造が良い。
投稿日:2022.02.20
夏目ひつじ
日本を含めた八つの国を巡る四つの航海記からなる。人間嫌いで知られ、政治活動を行っていたスウィフトによる皮肉や風刺はとても強烈。夏目漱石は『ガリヴァー旅行記』を称賛しており、その影響は『吾輩は猫である』…にも見られます。続きを読む
投稿日:2022.02.10
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