【感想】ドラゴンランス<1 廃都の黒竜>

マーガレット・ワイス, トレイシー・ヒックマン, 安田均 / KADOKAWA
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
6
2
5
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ブクログレビュー

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  • akikobb

    akikobb

     この本は、
    ・テーブルトークRPGの元祖『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(通称D&D、一九七四)の
    ・派生作品?ルールバージョン?のひとつである『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ』(AD&D)の
    ・世界観を基に書かれたファンタジー小説シリーズ(一九八四〜)
    ・にしてエピック・ファンタジー小説ブームの火付け役とも言われる作品
    ・の第一作、の前半、の新訳版(二〇〇二)
    ということになるらしい。

     ファンタジーといってもいろいろだが、私にとって馴染み深いのは、ひとつはおとぎ話や児童文学のたぐい。本やディズニーアニメで出会ったものが多い。もうひとつはドラクエ。いわゆる「剣と魔法のファンタジー」でしょうか。昔はドラクエがファンタジーだなんて意識はしていなかったけど。

     ディズニーもドラクエもずっと好きで満足していたことの裏返しか、物語でもゲームでも、美麗な感じの大人でリアルでダークなファンタジーはなんだか怖くて長らく苦手意識がある。この本も、その好みの基準でいうと明らかに苦手なタイプ(ゴメンナサイ…)という印象ではあるのだが、ブク友のたださんのレビューを読んで、ちょっと挑戦してみたい気持ちになった。色々理由はあるが、最も大きかったのは、テーブルトークRPGへの飢えかもしれない(これまで三回ほど遊んだことがあり、とてもとても楽しかったのだが、仲間と時間と環境の都合がつかず、ずっとできていない)。

     読んでみて感じたのは、やっぱり冒険ってハードだなということ。レベルあげまくって高い武器や防具やたくさんの薬草を買っていけば、「たたかう」「たたかう」で勝てるよ、なんていう簡単な話じゃない!一挙手一投足が常に命懸け!魔法使いも、魔法一つ唱えるのにどんだけ体力消耗することか!このサバイバル感は、片手で足りるほどのテーブルトークRPGプレイ経験でも醍醐味と感じた魅力でもあった。あーまたやりたい。

     人間、エルフ、ドワーフなどのいろんな種族が互いに異なる特性を活かしながら助け合うのも良い。こういうときどうしても私の脳裏に浮かぶのは『スター・ウォーズ』で(内容的に近そうなロードオブザリングは見たことがない)、髭のハーフ・エルフは髭のユアン・マクレガーだったり、レイストリンはダークサイドに落ちかかってるアナキンだったり、どぶドワーフの王はナブーの水中で暮らすグンガン人の王だったり…といったイメージを重ねて読んだ。

     ハードでシリアスな展開で読み疲れてしまったのも事実だが、何はともあれ、大好きだったドラクエを始めとするRPGの原点たる作品に、読書という形で触れることができて本当に良かった。D&Dについては大学生のころモノの本で読み存在は知っていたが、二年前の二〇二〇年、『いかにしてアーサー王は日本で受容されサブカルチャー界に君臨したか』(通称『いかアサ』、みずき書林、二〇一九)という真面目げで楽しげなサブカル本の中で再会した。当時のブクログレビューにも書いたが、私と「中世ヨーロッパ風ファンタジー」とを繋いでいたのは、D&Dよ君だったのか!とわかり、もっとよく知りたかったのだ。というわけで、出会いに感謝です。
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    投稿日:2022.11.17

  • ただ

    ただ

    私が本書を知ったきっかけといえば(当時は、富士見ドラゴンブックでしたが)、もう遠い昔のことで(^^;)、中学生の頃に出会った、新和版「D&D ベーシックルールセット」でした(赤い色のやつ)。

    ちなみに「D&D(ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ)」というのは、1974年、アメリカで誕生した、ファンタジーTRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)の名前で、これが世界初のRPGであったことから、その後発売された、他のRPGの原点になったと言われております。

    また、RPGというと、コンピュータゲームの、「ドラゴンクエスト」や、「ファイナルファンタジー」を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、本家本元はこちらになり、歴史の違いがあるというのと、日本における、有名なファンタジーライトノベルの一つといえば、グループSNEの、水野良さんの「ロードス島戦記」がありますが、この作品も、あくまでD&Dがあったからこそ、生まれたと言っても、決して過言ではありません。

    大変、前置きが長くなりましたが、要するに本書は、そのD&Dの世界観に基づいた、ファンタジー小説であり、TRPGに詳しい方なら、本書の戦闘シーンの描写一つ一つに、20面ダイスを振っているプレイヤーの姿も想像できますし、本書の物語をアレンジして、D&Dで遊ぶことだって、もちろん可能で・・・あれ? 何か誤った方向に行っているような気が。もう、TRPGのことはいいから、早く物語のことを書けと、私の中のもう一つの声が(^^;)


    また、D&Dの魅力的な世界観に共感される方なら、当然、物語も面白くなるわけです。

    ただ、そこにあるのは、決して、ザコ敵を倒して気楽にレベル上げしながら、冒険できる楽しさや、毎日、宿屋に泊まれるような贅沢さはありませんし、装備品は、基本的に汚れていて当たり前で、お金を稼げる訳でもないし、仲間内の半分以上は、他の者への不信感に溢れているという不穏さも付き纏い、そうしたリアルな感じは、さすがアメリカ生まれのファンタジーとも思えます。

    舞台は、クリンのアンサロン大陸。
    聖なる神やドラゴンの存在は、もはやお伽話でしか語られないような、時代の物語。

    五年振りに、ソレースの、「憩いのわが家亭」で再会することになっていた、仲間たちだったが、一人来なかったことが発端となり、その後、青水晶の杖を持つ、蛮族の族長の娘「ゴールドムーン」と、その恋人、「リヴァーウィンド」との出会いから、逃亡せざるを得なくなり、もはや懐かしき再会など、言っていられず、巻き込まれ型に展開されるのは、ある意味、RPGのお約束。

    以後、元々の六人のメンバーに、上記の二人が加わり、八人パーティとして、しばらく展開することになるのだが、ここで簡単に六人のメンバー紹介を。


    タニス
    冒険者一行のリーダー格で、人間に暴行されたエルフの母から生まれたハーフエルフ。
    半分エルフの血が流れており、半分人間の血が流れている、彼の心中の複雑さは、おそらく彼にしか分からないのだとは思うが、だからこそ、周りの心境を察してやれる、魅力も持ち合わせている。

    スターム・ブライトブレイド
    ソラムニア王国の騎士で、わが名誉はわが命を信条に、好むのは秩序と規律正しさだが、それ故に、周りと衝突することも度々あり、本人も内心は、「生とは、謎めいた暗黒」だと認識している。

    キャラモン
    双子の兄。大食漢の戦士で、力の強さには定評があり、基本的には陽気な性格だが、弟が絡むと、それが一変するところに危うさがある。

    レイストリン
    双子の弟。虚弱体質だが、知識欲旺盛で才能溢れる魔法使い。
    生まれてから大切な友人が一人もいないこと、兄への劣等感、それ以外の様々な要素が絡み合い、心を閉ざしてしまったかのような、彼の捻くれた性格は、あまり支持を得られず、ときに大きな衝突も引き起こすが、それ以上に、彼の魔法に助けられることが多いのも事実であるところに、この冒険の不安定さがある。

    フリント・ファイアフォージ
    丘ドワーフ族の老戦士。ドワーフ族といえば、手先の器用さで、クリンの様々な建築物や装飾品を作ることに長けており、彼の場合、年相応の愚痴も多いが、それ以上に仲間に対する優しさも持ち合わせており、タッスルホッフとは、ある意味、名コンビ。

    タッスルホッフ・バーフット
    小柄なケンダー族。細身の体と永遠の童顔に、生来尽きることのない陽気さが特徴で、好奇心旺盛過ぎる点と、どんな危険も怖がらない点は、長所にも短所にもなるが、素早い対応能力もあり、冒険者一行には欠かせない存在。


    以上のメンバーで送る(結局、長くなってしまいました)、冒険の第1巻は、まだ序盤ということで、最初は少しモタモタした展開ながら、ザク・ツァロスあたりから、少しずつ盛り上がってきて、さっそく、1巻にして、パーティ全滅になるかもしれない事態に陥り(笑)、そこは、なんとかなりましたが、最後に、また不穏な光景を見ながら、2巻に続きます。

    そんな中でも、印象的だったシーンはいくつかありまして、リヴァーウィンドの激昂ぶりや、彼から信頼を得たタニスは勿論でしたが、やはり、私としては、レイストリンとブープーの友情。

    このシーンは、ちょっと目頭熱くなりそうで、普段、あまり見られない、レイストリンの中にある、やさしさ(それはそのまま彼自身へのやさしさにもなる)が垣間見られたようで、印象的でした。


    『弱くて惨めであることが──嘲りと哀れみの対象であることがどんなものであるのか、かれは知っていた』


    ちなみに本書は、ひまわりめろんさんのレビューを見て懐かしくなり、本来は、このシリーズの後の、「ドラゴンランス伝説」の4巻から読めばいいのですが、また、戦記から読みたいと思わせてくれました。

    ひまわりめろんさん、ありがとうございます(^_^)
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    投稿日:2022.10.13

  • ひまわりめろん

    ひまわりめろん

    私は帰ってきた
    美しきクリンの世界へ

    ということで死ぬ前に読み返すことを決意したドラゴンランスシリーズ一冊目です
    世界を震撼させたファンタジーの名作中の名作ですが今や絶版となっておりまして
    ひと通り揃っている県立図書館に感謝感謝の再読スタートです
    知ってる人は知っていますがAD&Dというゲームが元になっている(こちらも夢中になりました)ため普通のファンタジー小説とはちょっと成り立ちが違うんですよね

    とにかく旅の仲間たちが良いんですよ
    特に自分はもうとにかく赤ローブの魔術師レイストリンが大好き! 

    導入部のため比較的おとなしめの第一巻ですが、それでも見どころたくさんでおっもしろいんだな〜

    図書館派の方で近くの図書館にある方は是非とも読んでほしいなぁ〜
    ※古い本で絶版なので取り扱い注意です!
    続きを読む

    投稿日:2022.05.31

  • nattak

    nattak

     中学生か高校生の頃に非常に楽しく読んだ、ファンタジー小説。読みながらあの頃のワクワクした感じを思い出した。そして、途中のちょっとしたフレーズに、このフレーズは読んだことがある、と思い出すところがいくつもあったのも驚きだった。もっと本格的な「指輪物語」に比べると、俗っぽい感じもするが、それでもそのぶん読みやすく、純粋に楽しむことができる。続きを読む

    投稿日:2017.08.07

  • rihorihoriho

    rihorihoriho

    名作。

    危機的状況の切り抜け方、その独創性に驚くばかり。
    それでいて、状況、動機が無理なく自然とそうなるのだ。

    それだけでも楽しいのに、
    登場人物たちの葛藤がそれぞれ素晴らしい。
    好きにならずにはいられない。
    押し付けがましくキャラ立ちなんてせずとも、
    ここには地に足ついた“本物の人間”がいる。
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    投稿日:2017.04.10

  • netreth

    netreth

    ホビット、指輪好きとしては前説からしてテンションが上がって仕方がない。
    しかし、読み始めてもテンポがイマイチ乗らない。
    小説として冗長な記述(表現ではなく!!!)が随所に見られ、まるでリプレイの冗長な描写を見ているような気分になった。
    かと思うと、場面転換はブツ切りである。

    と、いうのが一巻を読んでの感想なんだけれども、二巻、三巻と進むにつれ多少マシになっているし、四巻あたりで気にならなくなりました。
    書き進めるにつれて著者の腕が上がってる。
    続きを読む

    投稿日:2015.09.25

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