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泡坂妻夫 / 新潮文庫 (17件のレビュー)
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総合評価:
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Kazu
当初、読みたいと思ったのは「しあわせの書」だが、ガンジーシリーズの第1作であるこちらを優先。 表紙の絵から ヨギ ガンジー は、いかがわしそうな奇術師で、インチキ臭い感じがプンプンしてる。 表紙の絵…では「名探偵」と書かれたターバンを巻いているが、しあわせの書では「迷探偵」生者と死者では「酩探偵」と変化するそうだ。 ふざけた野郎だとガンジー像を作って読み始めたが、意外と真面目と言うか癖がなかった。 このへんは亜愛一郎も同じで、主人公のキャラで遊ぶのはほどほどにして、トリックの内容をきちっと語らせることに徹している。 さて、その肝心の作品内容だが、 最初の「王たちの恵み<心霊術>」の謎解きから、まさかそうくるとは!…と予想外の展開だった。 普通は皆が考えがちな判断が実は間違っているという、ごく常識的な決めつけを逆手にとられ「やられた」感を受ける。 「ヨギ ガンジーの予言<予言術>」も勝手な思い込みを利用して騙す手口の種明かしが語られる。 予言の内容を書き留めるために使った、どこにでもある道具にそんな仕掛けをしているとは微塵も思いもしない。 何とかトリックを暴いてやろうと思って読んだのだが、どの話も全く予想できなかった。 全てが明かされた後、もう一度読み直してもトリックがわからないように書かれている。 全編、素直に「へぇ~、そういうこと?!」と、からくりを楽しむ内容だった。続きを読む
投稿日:2024.02.22
ミイ
ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の血をひくというヨギガンジー、超常現象の謎を解明していく短編集。 見た目こそ胡散臭いが、推理や口調はロジカルで、人格も破綻していない。相棒?の不動丸も大柄で吹き矢名人と…、キャラ設定は特殊だけど、わりと普通の推理モノって感じ。楽しくさっと読めます。続きを読む
投稿日:2023.02.18
ますたぁ
超常現象を奇術で解決するミステリ ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の血をひき、ロンドンではヨーガを教え、シカゴではすりの実演、東京では医者を相手に催眠術の講義をする、謎の男ヨギ ガンジー 「しあわ…せの書」と「生者と死者」が気になり、シリーズものは1作目から読みたい派なのでまずはこれから読んでみた 連作短編で、収録は7編 ・王たちの恵み〈心霊術〉 ・隼の贄〈遠隔殺人術〉 ・心魂平の怪光〈念力術〉 ・ヨギガンジーの予言〈予言術〉 ・帰りた銀杏〈枯木術〉 ・釈尊と悪魔〈読心術〉 ・蘭と幽霊〈分身術〉 奇術師が超常現象の裏側を見破るという設定はドラマ「TRICK」を思い浮かべるけど、ドラマのずっと前にこんな発想の物語はあったのですねぇ 使われているトリックに関しては、説明されればミステリではありがちなものだけど そこに至るまでのミスリードなどが上手い 著者自身が奇術師であり、観客や読者の注視する部分の誘導に慣れているんだと思う いかにも怪しそうなもの、常識や物語の定番など、読者は思考を誘導されてしまいがち そんな思い込みをひっくり返す構図はなかなかよい さて、ヨギ ガンジーとお付の者の概要を知ったので、「しあわせの書」と「生者と死者」も続けて読みます続きを読む
投稿日:2023.02.08
akikobb
面白かった!でもその魅力を説明するのが難しい(笑)。 ヨギガンジーと不動丸という、何者なのか説明しづらい男ふたり(一応、師弟関係)が探偵役?のミステリー?ですが、よくよく考えると殺人事件も窃盗事件…も怪現象も起こってない…?でもトリックはある!作家でありながらアマチュアマジシャンでもあったというアワツマならではのミステリー、なのかな。ミステリーを読みたいけど怖いの苦手な人におすすめかも。 ガンジーは、「霞以外は食しませんので」と言いながら出されたご馳走をバクバク食べたり、片言の日本語で登場したと思ったら後できれいな東京弁を話していたり、「陰陽の特性からして助手は女性でなければなりません」と言って女性の手を握ったりと、胡散臭いこと極まりないのだが、「人を喰ったような」というちょっと悪意も滲むような形容はそぐわない。作品全体には下世話なネタもちらほらあるのに、不思議と下品じゃない。なんとなく品がある。どこか星新一味を感じる(最近私、感想でこのワードを使いがち)。 赤染明子・照子姉妹がなんか好きです。続きを読む
投稿日:2022.08.05
ただ
ヨギ ガンジー。年齢不詳(意外に若い?)。 陽焼けした顔は鉤鼻で目が大きく、見るからに外国人で、筋肉質に痩せており、ヨーガが得意。 日本語を辿々しく話すときもあるが、各地で講演会をするくらいには、…普通に話せる(要するに、わざとそうしているのだ)。 その内容は、ピックアップショウ(すり)、催眠術の講義、心霊術の実験、等々…、非常に胡散臭い(笑) しかし、それらが彼の持ちうる人間性のほんの一部にすぎないことは、この連作短篇集を読むにつれて、自ずと実感できるようになり、殺人事件は全くなくても、彼は素晴らしい探偵だと納得させられることでしょう。 それは、マジックにタネがあるのと同じように、物事をよく見、かつ、それに心を奪われないことが大切だと、彼自身が話していたことそのものを、実践している点にあり、そこには、いかさまではなく、トリックであると述べる、彼自身の拘りも同時に感じられて、胡散臭い外面は、あくまでカムフラージュの可能性が高いのである。 また、物事だけではなく、人間の内面もよく見ている彼の人の良さも、いくつか見受けられ、「王たちの恵み」の、町の文化の未来を見守る姿勢に、「隼の贄」の、信者たちの将来を気遣う気持ち、「釈尊と悪魔」での、小さな大衆劇団への温かい眼差しなど、こうした一面もあるから、ガンジーの胡散臭さが、より魅力を増して見えてくるのも、作者のマジックであろうか? いや、それはないだろう。彼には天の邪鬼だったり、好色の一面もあるし、何より講演会の質をケチったり、関西弁で喋ったりと、やりたい放題ではないか(本当にそう)。 まあ、それが面白いからいいか、と最終的には納得させられるのですがね。 ただ、知性があることも確かで、その境界線がしっかり見えるので、私は彼を信頼しております。 ちなみに、ガンジーと、二作目の「しあわせの書」で登場していた、「不動丸」、「本多美保子」との出会いのエピソードも本書で知ることができ、これが一作目だということに、再度納得しました。続きを読む
投稿日:2022.01.22
枝乃
このレビューはネタバレを含みます
連作短編集。飄々とした人柄で、見た目も職業も、いかにも怪しいガンジー先生が、論理的に謎解きするギャップが面白い。日本であって日本ではない、妙な世界に迷い込んだような感じ。登場人物に、珍しい名字の方が多いのも印象的でした。
投稿日:2020.12.19
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