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津原 泰水 / ハヤカワ文庫JA (39件のレビュー)
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sho3dai
眠り続ける少女の意識が都市に再現される物語。親がその都市で彼女を探し続ける1章が大好きです。 電波障害とともに幻覚がいり混ざる町で、少女の面影を探し過去を見つめ続けます。そして人物を変えながら1冊を通…して描く語りと巡礼も最高。続きを読む
投稿日:2023.01.28
鴨志田かおる
津原泰水版ニューロマンサー。ようやく読めた。一章が二人称、二章が一人称、三章が一人称複数で書かれているところなども含めて、あらゆる技術を使って遊んでいるような印象の小説。すごい。そもそも幻想とSFの混…じったようなこの世界観を人の頭に想起させつつ文章ひとつひとつも美しいのはどういうことなんだと頭を抱えてしまう。多分いろんな意味で理解できていないところもたくさんあるのでまた読み返したい。犬や馬の描写のあたたかみが好き。続きを読む
投稿日:2022.12.13
ぶらっくほーる
難しすぎる。 理解しようととするのが間違ってるのかもしれない。 津原泰水さんが亡くなったから、紀伊國屋でこの本が平積みされてた。 「バレエ」の文字が気になって読んでみたけど… 初め、SFだと知らなく…て、なかなか入り込めなかった。だがしかし、SFを読みなれない私は最後まで入り込めなかった。 SFってこんな難しいもんやっけ?! あと、津原さん、おそらく自分の趣向であろう音楽とかお酒の名前をチラチラ出してくるのが、村上春樹みたいだった。私そういうのあんまり好きじゃない。続きを読む
投稿日:2022.12.07
がと
著者の訃報を受けて再読。初読時はまだ『ニューロマンサー』を読んでなかったのでわからなかったけど、この小説は『ニューロマンサー』を逆向きに読むみたいな構成なんだな。最後のシーンが百閒の「冥途」なのも今回…初めて気づいた。 ガスや電気が使われ始めるのと同じく興隆してきた19世紀の心霊主義のように、テクノロジーを信じるがゆえに死後の世界がいつか可視化されると信じる人もいる。日常的にメタバースという言葉が飛び交うようになった今、VR空間で「不死を売る」ビジネスは前より容易にイメージできる。 津原さんは「電脳空間に幽霊が生まれる」のではなく、「幽霊が電脳空間を生みだす」未来を幻視した。そこがギブスンと比べて人間中心主義だと言ってもいいだろう。都市を神経的に操るのはウィンターミュートでもニューロマンサーでもなく、7歳の少女なのだ。でもはじまりはきっとこうなんじゃないかと思う。そしていつかお互い混じり合って気がつかないうちに人間とAIの主従が逆転するのだろう。 題名の元ネタになったレジェの映画とアンタイルの音楽をYoutubeで視聴したけど、やっぱりこの小説には坂本教授の同名曲のほうが合っている。人類がかつて幻視した未来のイメージに対するノスタルジア。世紀末に十年遅れてアナクロニックになった滅びのヴィジョンが、逆にこの作品を普遍的なものに引き上げたのではないだろうか。続きを読む
投稿日:2022.10.29
ジャミラ
夢想渦巻く夢幻の世界へ。 幻想きらめくシュルレアリスムの世界から始まりSFの世界に着地する、一幅の奇譚。 3部構成は、少しずつ主要人物と時系列をずらしながら繋がっていく。 さて、話を要約してしまうと…面白くとも何ともないレビューになってしまうのが悩ましい。 感想だけ述べるなら、情景描写も世界観も、話の展開もすべて心地よく、作品世界にすっかり埋没し、感動させられた。各部とも、その結末部で鳥肌が立った。 本書が分かりづらい、という感想も見かける。 最初から理屈で考えると難しい作品に見えるのかもしれない。しかし一言でいえば、これは"夢"である。 夢だと思って、まずはその奔放なイメージを素直に受け止めて頭の中で情景をそのまま展開すると、そのうち作品のほうから割とサービス精神旺盛に秘密を次々披露してくれる。 そういう意味ではテンポが良いし、しかも各部ともしっかりとオチをつけてくれる。 その種明かしが、どれも美しく、どこか物悲しく、そして、人は一人で生きられないという人間の本能に根差した世界観が根底にあるように感じられ、それが得も言われぬ共感と感動を呼ぶ。 少しとっつきにくいところもあるかもしれないが、個人的には大変お勧めできるエンタメ作品だと思う。 すっかり魅せられてしまったな。続きを読む
投稿日:2022.10.16
二色
感想のための語彙が完全に消失する超傑作。あらすじはシュルレアリスティックな要素を散りばめたようでありながら、読み始めてみると文章も世界観もストーリーも登場人物もガチガチに組まれていることがわかり、全て…の要素が収斂していく3章を読み終えた後はさながら美麗な巨大建築を下から上まで順に眺めていったかのような気分にさせられる。人称の使い方も3章で出てくるあらゆる設定も、「これだけで絶対本書けるだろ!」みたいなアイディアが300ページの中にぎっちり詰め込まれるめちゃくちゃ贅沢な1作である。小説ってこんなに面白いことができるんだ!という新鮮な感動に出会わせてくれたことに感謝しかない。この小説の魅力を日本だけに留めておくのは絶対にもったいない、もう翻訳されてるのか? 一章だけでも今敏が映像化したやつを見てみたいと思ってしまう……続きを読む
投稿日:2022.02.08
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