【感想】橋本治のかけこみ人生相談

橋本治 / 幻冬舎文庫
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • allgreendays

    allgreendays

    正論すぎてぐうの音も出ない!鮮やかな文章プロファイル芸に舌を巻く。たいていの悩み相談ごとはその内容に相談者の人物像が顕れてしまう怖さよ。弱ってるときに読んだものだから沁みる沁みる。はい、残りの人生はちゃんとした「バカ」を目指そうと決意するなど。続きを読む

    投稿日:2022.11.07

  • 田中ふう

    田中ふう

    自分は何が好きなんだろうと考えることは、自分の
    幸福を探り求めることと同義。
    問題解決の肝は事実とそれ以外を分けること。

    投稿日:2022.05.03

  • キじばと。。

    キじばと。。

    ウェブマガジン「幻冬舎plus」で著者に寄せられた人生相談に対する回答をまとめた本です。

    著者はかつて『青空人生相談所』(ちくま文庫)という本を刊行しており、そこで同様の企画をおこなっていたのですが、本書はその約三十年後におこなわれた企画で、年をかさねて以前より多少はやさしくなった著者の回答を読むことができます。といっても、「ストレートに言ってしまうと、あなたのご主人は「他人のことなんかよく分からないスポーツバカ」です」といったように、遠慮のないことばが記されています。ただそのばあいでも、相談者の文面を読めば、相談者自身がたしかにそのように考えているであろうことが浮かびあがってくるので、まずはそのことを明確にしておく必要があるというのが、著者の回答の基本的なスタンスのように感じられます。

    さまざまな悩みに対して単刀直入な回答をあたえるというよりも、悩み相談の文面を手がかりに相談者のかかえている問題の中核をたぐり寄せていくような議論の運びかたは、この著者ならではのものだと思わされます。
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    投稿日:2021.11.18

  • shu1rev

    shu1rev

    相談者全員に対してではないのだけど、ときにびっくりするくらい相手を斬る。斬るといっても、それは相手が相談してきた内容について、「あなたはそれを悩んでいるというけれど、私から見て悩んでいるようには見えない」という次元できびしく切り込んでいるという意味で、相手の人格を否定するとか、傷つけるという意味ではない。そこは整然と、ぶれず誤解を与えない直球で持って行っている。

     それが実は難しいと思うんだよなあ。

     大学院で勉強し、資格を取り、一応は相談の仕事をしたことのある身としてはさ。問題は別のところにありそうだ、と思っても、直球ではなかなか切り込めないよ。そんなことしたら、引っ込んじゃうもの。

     これは面談ではなく、文章上でのやりとりだから、まだできるのかもしれないけど。

     橋本治って、やっぱりおばちゃんなんだろうなぁ。ポンポンストレートにきついことを言って、イヤミがない。イヤミなおばちゃんはいるだろうけど。橋本治はイヤミではないと思う。

     言葉と論理を上手につかっているのだろうな。

     面白かった。
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    投稿日:2020.06.02

  • 夜型

    夜型

    これは人生相談モノとしてはとても面白かった。
    人生相談というと、朝日新聞のなやみのるつぼを始め、多くのメディアで数々の大人物が名回答をしてきました。
    加藤諦三さんや、中島らもさんや、瀬戸内寂聴さんなどは語り草です。

    読書猿さんがマシュマロという匿名でメッセージを送れるアプリで悩み解決を行っているのですが、ある時のマシュマロで橋本治さんの人生相談のようだ、とあり、気になっていました。

    読んでみるとたしかに頷く。
    見た目はお笑い芸人の村上ショージさんのようですが、筆致はきわめて冷静そのもの。
    毎回のトピックは、シャバを生きていればぶち当たる人生の障害ばかり。
    最初に質問と回答の要約があり、相談者のプロフィールと悩み事の詳細が続き、橋本さんがお答えします。
    答え方は、その見た目からは想像できないくらいほんとうに真摯な姿勢で、文章を丹念に読み解き、悩みの核心を割り出します。

    僕が気になった相談を掻い摘んでみる。
    彼氏が大学を三留し中退し、別れるか別れないかで悩んでいるという24歳の女性。
    橋本さんの回答は、「答えは簡単ですが、受け身のあなたが気になります」。
    そう、答えはシンプルで、『「彼と一緒にいたい」と思い、「彼と一緒であるなら苦労に堪えられる」と思われれば、それで解決です』
    しかし、原稿用紙一枚分程度の経緯から、言葉遣いを精査しただけで、橋本さんはその女性の真意をピタリと当ててしまいました。
    『「話は簡単だ」というのは、そういう(※彼の就職が上手くいかなくて彼の面倒を見なくてはならないこと)リスクやデメリットが「ある(かもしれない)」ということを考えた上で、「彼を愛せるかどうか」があなたのお悩みの根本にあるからです』
    『愛されるだけの自分を前提にして彼との関係をお考えになっても、答えを出すことは出来ませんよ』と厳しいご指摘。

    ……確かに、愛は共同作業であり、互いが思い合わなくては成立しない。
    婚活だとか、恋愛至上主義だとか、色恋にうるさい世間は、そんな考えなしに人様をルックスや金で値踏みしているご様子で、そんな下らん物差しに頼るのはなぜかと思えば、「いい思いをするだけの自分」が前提だからなのだろう。
    美輪明宏さんは金とセックスを引き算した残りが愛だと述べていたが、まさしく相手をどれほど思えるか、貧しい時も苦楽を共にできるほどのギブアンドテイクを超えた無償の愛がなければならない。
    愛されるだけでなく、心の底から愛し相手の幸福をねがえることがスタートラインであることをどれだけの人が理解しているだろうか。
    分かっている人とわかっていない人との間には雲泥の差があり、理解のズレが生じれば、縁を結ぶことなど到底不可能であろう、と僕は得心が行った。

    橋本さんは気を衒った解決策ではなく、こうした人に対する深い洞察から回答の言葉を紡ぎ出していく。

    『幸せそうな人はバカな人だ』と橋本さんは仰るのだが、他人のモノサシではなく、自分のあり方を見つければ、余計なことを考えず、バカになれるらしい。するとあんまり幸福でないと思い込む病を治す道に進めるという。
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    投稿日:2020.04.11

  • ニャーマネコトリック教 教祖代理

    ニャーマネコトリック教 教祖代理

    「相談なさる方の多くが、自分で、自分の悩みがどんなものか、理解なさっていることです。また、その悩みの多くが、対人関係にかかわるものです」

     親子関係、兄弟関係、職場関係、友人関係。そういう悩みを選別しているからなのかどうかは分からないが、本書に書かれている悩みはすべからく対人関係である。

     本書の秀逸な点は、質問文から、人となりを論理的に推測し、解決策を展開していくという点である。

     例えば「43歳無職の弟。職探しをする気配もなく、家族でもてあましている」といった趣旨の質問に対して、
    「弟さんは、“自分に欠点がある”ことを自覚しているのです。だから、“たわいもない会話には応じますが、肝心の話をしようとすると貝のように口を閉ざします”になるのです。自分にとって都合のわるいことを突っつかれたくないのです」

     また、19歳になる女性の、「勉強が嫌いです」に対しては、
    「あなたは勉強より、両親のいいなりになることの方が嫌いなんです」

     解決策も様々で、質問者に合うと思うであろう、解決策を示している。

    「人間の悩みは全て対人関係に帰する」はアドラーの言葉だが、著者も同じ考えなのだろう。
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    投稿日:2019.09.04

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