【感想】北風 小説 早稲田大学ラグビー部

藤島大 / 集英社文庫
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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5
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ブクログレビュー

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  • じゅう

    じゅう

    藤島大の青春小説『北風 小説 早稲田大学ラグビー部』を読みました。
    廣瀬俊朗、生島淳の作品に続き、ラグビー関係の作品です… 藤島大の作品は6年半くらい前に読んた『楕円の流儀―日本ラグビーの苦難』以来なので久し振りですね。

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    早稲田大学ラグビー蹴球部、創部100周年。
    本書は、まさに早稲田ラグビー部の本流を当時の匂いまで再現している。──清宮克幸氏。

    「ひとつしかできねぇ」不器用だが常に全力、そんな福島のツッパリ少年、草野点は高校でラグビーと出会う。
    上京し早稲田大学に入学した彼は、日本一を目標に掲げる伝統のクラブの一員となった。
    「グラウンドを一秒でも歩くな」それが早稲田。
    技術、体力、精神力。目指すべき高みは遠い。
    凄絶な練習の描写に、OBからレギュラー、補欠にも貫かれる早稲田ラグビーの本流が宿る。
    武骨な青春小説。
    (解説/清宮克幸)
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    第10回ラグビーワールドカップ(RWC)2023フランス大会が開幕しました… ということで、蔵書の中からラグビー関係の書籍を選択しました、、、

    早稲田大学ラグビー部出身のスポーツライター藤島大が、母校を舞台に描き、2018年に刊行された作品です

     ■第一章 春の北風
     ■第二章 俺、何?
     ■第三章 青いタオル
     ■第四章 グラウンドの無限
     ■解説 清宮克幸

    福島から上京し早稲田大学ラグビー部の一員となった一年生・草野点(くさのともる)が体験する濃密な日々… レギュラーから控え選手まで貫かれる精神、同期とのひりつくライバル関係…… 愚直で武骨な青春小説。

    レベルの違いはありますが… 私と同世代以上の学生ラグビー経験者が経験してきたことがリアルに描かれていました、、、

    初めて履いたソールがブルーのスズキスポーツのスパイク、

    唾液で磨く本革のボール、

    ゴールデンウィーク、夏休み(夏合宿)を越えて、どんどん減っていく部員、

    下級生を対象とした特訓(早稲田大学ではシボリ、私の母校ではハシリ)、

    肘や膝、腿が擦過傷で化膿するセービング、

    身体中の膿と腫れと痺れ、

    へばって、へばって、もうひとつへばって、それでも足が自然に動き、ボールに飛びつき、とっさの判断を正確に行うことができるまでの理屈を超えた肉体の酷使

    等々、無性に懐かしさを感じ、タイムスリップしたような感覚で読むことができました。

    物語の体裁が取られていますが、ノンフィクションに近い物語… そういう面ではどっちつかずの感じで中途半端な印象、、、

    リアルを追及しているが故にマニアック度合いが高く、エンターテイメント性もないので、ラグビー経験者意外には読み辛く共感が得にくい作品だと思いました… また、主人公の「点(ともる)」という名前の読み方にずっと違和感があり、個人的には感情移入し難かったですね。

    学生ラグビーへの懐かしさ、自分の経験とシンクロする内容がなければ最後まで読めなかったかも。
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    投稿日:2023.09.18

  • fishbowl

    fishbowl

    まさに粗削りな小説です。そもそも本当に小説なのか?打ち立ての腰が強すぎるうどんを、粉も落とさず茹で上げた、そんな物語です。今の科学的なスポーツや部活の指導からは、想像もできないような練習の数々が紹介されていますが、その中に宿る魂は忘れてはいけない大事なものでした。何か大切なものを思い出させてくれる一冊でした。続きを読む

    投稿日:2021.11.03

  • ukaiys

    ukaiys

    1970年代の最後のあたりから1980年代なかばの早稲田大学ラグビー蹴球部を舞台とした小説である。主人公は福島県出身のフッカー・草野点(くさの・ともる)。彼の大学一年生の一年間が描かれている。※「岡田次郎」という大学二年生のキャラクターが、早大学院(早稲田大学の付属高校)が昭和52年度に初めて花園出場した時に高校3年生という設定なので、時代背景としては「1979年」の要素が大きいか。
    作者・藤島大は早稲田大学ラグビー部出身のスポーツライターで、卒業後はコーチを務めるなど長く早稲田大学ラグビー部に関わっているため、文章のあちこちから往時の「ワセダラグビーのリアル」が色濃く感じられる。もともと藤島大の書く記事も叙情的なスタイルであり、その文章に度々触れているせいか、フィクションであるこの小説の登場人物たちも実在するプレイヤーのように感じられるのがおもしろかった。
    とりあえず今作だけでも完結はしているのだが、主人公・草野点の成長を読んでみたいなと感じさせられた。
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    投稿日:2020.07.26

  • lasttrainhome

    lasttrainhome

    硬く素っ気なさを意識したハードな文体なのに所々で甘えん坊さんのかわいい系を狙った感じが出てしまうのはなんなんだろう。早稲田大学ラグビー部での日常こそが既に非日常であり異彩を放っているので、文体で遊ぶ必要は全然ないと思うのだけど。
    主人公の他者性のなさき自閉した感じで独特。ライバルとか同期とかってもっと鮮烈じゃない?先輩の最後の試合ってもっと華やかなものじゃない?中学時代に捨てた不良の仲間に対する思い入れはなくてラグビーの仲間だけがあなたの本当の友達なの?おおこわ、ドライに過去を切り捨てるのこわ。
    と文句ばかりになりましたが大変面白く手が止まらな9なるので読むべし。
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    投稿日:2020.01.15

  • Y.K

    Y.K

    早稲田大学ラグビー部の春から大学選手権決勝に至る1年間を新入部員の草野点の視点から追ったスポーツ小説。あくまでもフィクションですが、おそらくは著者の藤島氏自身の経験(著者は元早稲田大学ラグビー部在籍)と取材を基に、描かれており、80年代の早稲田大学ラグビー部の実情をかなりのリアリティーで描いています。巻末の解説でも清宮克幸氏(元早稲田大学ラグビー部監督)が触れておられますが、本書に登場する個性あふれる部員の姿は「おそらくあの人」という、実在の選手がモデルになっているようです。
    描かれているのは日常の練習風景が大部分です。冬の公式戦でのレギュラー獲得を目指して、部員一人ひとりが自らを鍛えぬく様子は、自らの実体験を通して描かれているだけに臨場感満載です。
    草野点がフッカーというスクラム最前列のポジションであるがため、スクラムを組んでいる時にどんな駆け引きをしているのかという部分は非常に細かく描写されていて、本書のそれはおそらくは「やった人間にしか分からない」レベルです。
    「サイドフォロー」、「ヘッドスピード」、「回転ヘッド」などの名称の各種練習メニューや菅平合宿の練習風景の描写、タックルの強化のために鉄柱に肩をぶつける個人練習を続ける先輩、後輩の指導に時折練習場に訪れ圧倒的なスクラム技術を披露するOB、多くを語ることなくラグビー部を引っ張る主将、草野点のライバル同級生の狂気じみたスクラムの様子等、魅力的な人物描写が読者を早稲田大学ラグビー部という独特の世界に誘ってくれます。
    本書終盤、対抗戦終盤の早慶戦、早明戦直前のピリピリとした緊張感は読んでいるこちらまで張りつめてくる程でした。すべての試合が終了した後の懇親会のシーン。1年生部員から見て、あまりにも大きな存在で直接言葉を交わす事など1年を通じてほとんどなかった主将が「ありがとうな。俺、お前らの事、一生忘れないからな」と語りかけるシーンは印象的でした。
    ラグビーを扱った小説はもともと数少ないですが、ラグビー好きの方なら絶対に一読をお勧めします。また学生時代に部活動を経験されている方なら、共感できる部分もたくさんあるのではないかと思います。私自身、弱小運動部ではありましたが、最後の公式戦に掛ける思いや、日々の練習に向けた気持ちとか、懐かしい思いを感じつつ読むことができました。
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    投稿日:2020.01.13

  • yuichy

    yuichy

    早稲田の強さとスタイルを知る意味ではとても参考になったけど、小説としては展開もちょっと遅いし、主人公以外のキャラが立ってないなと感じた。

    投稿日:2019.12.06

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