【感想】古代さん家の恐竜くん 新沢基栄短編集

新沢基栄 / 週刊少年ジャンプ
(1件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • そらら

    そらら

    「奇面組」で有名な新沢基栄先生の短編集で、全9本の作品はそれぞれ約一年おきにかかれているものである。
    連載では見られない新沢ワールドが見ることができ、ファンとしては実に嬉しく思う。

    私のお気に入りの作品は、「Kの日記帳」と「Mr.愛NG」である。
    「Kの日記帳」は新沢先生の作品の中でも異色な作品で、
    他人に迷惑をかけつづけながら、自分は悪いなどとも思うことのない高校生Kをシニカルに描いている。
    Kは、他の新沢作品に見られるような強烈な個性をもったキャラクターの一人としてではなく、目の隠れた匿名性を持った人間として描かれる。
    最後に、卒業式を終え校門に向かう途中で校舎から椅子をなげつけられつつも
    「ぼくはごく普通のありふれた平凡な男です。
    ぼくは世界中どこにでもいます。そう、あなたの心の奥底にも」
    と結んでいるのは実に見事といえる。

    「人と違っていてなんぼ。自分の個性を大切にすべし」
    という新沢哲学がストレートに現れた45ページのおクサい作品である「Mr.愛NG」が一番好きな作品。
    「人にはだれにでも価値観というものがあります。本当ならばそれはみんな人それぞれ違っているはずなのです。けれどそれも人に影響され知らずにみんな似たりよったりになっていくものなのです。
    そしてそんなゆがめられた自分をいつかきっとだれか意外な人によって思いしらされるときがきます。」
    という転校生、宇白臣舞(うしろおみまい)ちゃんの名文句ではじまる作品。
    愛丘太郎(あいおかたろう)は、不良であるが、我が道をいく変人であり、そのことに対して全くの後ろめたいおもいも感じることなく生きているような奴である。
    はじめは、太郎のことを疎く思っていた舞も「普通の人はたいがい第一印象がよくてそのまま続くか悪くなっていくのに、逆なのね愛丘くんは」
    と彼の個性を認めるようになる。
    太郎が罪に疑われたときも、舞ひとりは彼ではないことを分かり、太郎に誤解をとくように勧めるが、太郎はひとり分かってくれたらそれでいいと言う。
    舞は言う「みんなは人に接するとき欠点は隠し背伸びしてでも自分のいいところを見せようとするものだわ。なのにあなたはまるっきり逆!ホントにバカよ!そんなのあまりに損じゃない!」という。
    そんな彼の生き方に非常にカッコよさを感じました。

    そういやこれはもう20年以上も前の作品なんだなぁ…
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    投稿日:2012.10.27

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