【感想】CX(カスタマー・エクスペリエンス)戦略―顧客の心とつながる経験価値経営

田中達雄 / 東洋経済新報社
(11件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • K K

    K K

    このレビューはネタバレを含みます

    15大手小売販売店閉鎖の根本原因はテクノロジーの進化とそれに伴う消費行動の変化
    ・24cx‥商品やサービスを購入する過程、利用する過程、その後のサポートの過程における経験的な価値(心理的、感情的な価値)
    ・51疑問トラブルは必ず申し立てしてもらうこと。トラブルを体験した後の顧客ロイヤルティーの変化はp50
    ・43プロセスを均質化するように管理‥顧客評価はバラバラ。プロセスは、自由裁量とした場合、顧客評価の高い水準で均質化
    72 CS(カスタマーサティスファクション)を拡張強化→CX(カスタマーエクスペリエンス)
    CSでは顧客ロイヤリティーは測定できない。CSは収益と相関性が低い。合理的に満足した顧客は不満の顧客とあまり変わらない行動をとる。感情的に満足した顧客は、企業に収益をもたらす行動をとる。
    76 CS調査では顧客が感情的に満足しているかどうかを測定できない。顧客ロイヤルティー測定方法の1つNPS(ネットプロモータースコア)
    93CSでは顧客が合理的に満足しているのか感情的に満足しているのか判別できない。感情的に満足しないと顧客ロイヤリティーを獲得できない。CXは心理的感情的な価値を提供するもの。顧客ロイヤリティー獲得を積極的に獲得する活動•戦略
    CSの目的‥不満をなくして顧客満足を獲得する
    CXの目的‥もともと心理的感情的な価値を意識して提供し、感情的に満足したファン(顧客ロイヤリティーを積極的に獲得する
    100審査、商品サービスを、CXはカスタマージャーニーを提供する
    101 emotionカーブ。優位性のある項目のやや不満を満足にあげるより、やや満足をおすすめに上げる方が顧客ロイヤリティー獲得の近道。
    102何をされたか忘れても印象感情は忘れない
    106 CSはPDCA CXはSTPD
    106業界内順位は収益に影響与える重要要素ではあるが、顧客目線であれば顧客が日頃比較するのは同業他社ではい。顧客が1日の中で接触する複数企業の中での順位も気にする必要がある。
    108 CSは、部署単位の改善、CXは全社活動

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    投稿日:2023.09.16

  • くのーる

    くのーる

    目新しい考え方などはないですが、カスタマーエクスペリエンス戦略についてコンパクトにまとまっているので入門書としてはいいと思います。顧客満足度やNPS などわかりやすく、マーケティング初任者におすすめです。
    audibleで視聴
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    投稿日:2023.04.15

  • japapizza

    japapizza

    「CSを拡張・強化したものがCX」
    ・CSでは顧客ロイヤリティは測定できない
     顧客離反においても、合理的に満足しているだけの顧客は、企業・商品・サービスとの感情的なつながりが希薄で顧客ロイヤリティも低いため、競合他社から少しでも機能・性能が高い商品・サービスが出たり、少しでも価格が安くなったりすればいつでも浮気する。それに対し、感情的に満足している顧客は顧客ロイヤリティが高く、多少、機能や性能が劣っていたり、価格が高かったりしても簡単に浮気することはない。

    ■NPS以外のCX指標
    Customer Engagement11…ギャロップ社が開発した企業と顧客との結びつきの強さを測る11の質問。ロイヤルティの重要な3要素「満足度」「継続意向」「推奨意向」に加え、感情的な愛着の8つの指数「信頼」「約束を守る」「適切な対応」「公平」「誇らしさ」「尊重」「申し分ない」「なしではいられない」の合計11の質問。

    Customer Experience Index
    Temkin Loyalty Index

     CSでは、顧客が合理的に満足しているのか、感情的に満足しているのかを判別できない、感情的に満足しないと顧客ロイヤルティは獲得できないことを開設した。CXは心理的・感情的な価値を提供するものであり、顧客ロイヤルティ獲得を積極的に獲得する活動・戦略といえる。

     CSでは既存の商品・サービスに対する満足度を聞く。そのため、「アンカー効果」が働き、既存の商品・サービスの顕在化した要素(機能、性能、価格など)に意識が引っ張られ、真のニーズ・ウォンツを見つける機会を失う可能性がある。それに対し、CXでは潜在的なニーズ・ウォンツにまで踏み込んで顧客を理解するため、顧客の真のニーズ・ウォンツを見つけられる可能性が高まる。

     CSが対象とする価値提供の単位は「商品・サービス」である。商品・サービス単位で管理し、不満があれば、それを改善し不満を減らしていく。
     それに対し、CXが対象とする価値提供の単位は、…一連のカスタマー・エクスペリエンスである「カスタマー・ジャーニー」となり、商品・サービスはその一部という位置づけになる。

     CX戦略を普及させていくには、現場の理解を得る必要がある。それには、まず、現場経験が豊富で、現場からも信頼の厚い役員や人材をCX推進組織に配属されたり、CXに関する活動を賄う予算を確保したり、CXに関する意思決定の権限を付与する仕組みが必要となる。

    ■事例 サザン・カリフォルニア・エジソン
     カリフォルニア州大手電力会社のサザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)は、180都市の個人顧客1,500万人、大手法人顧客5,000社、中小法人顧客28万社に電力を供給する大手電力会社である。
     カリフォルニア州では1998年に電力小売市場が全面自由化された。2000年から2001年にかけてカリフォルニア電力危機が起こり、電力自由化は一時中断された。2010年に家庭用以外の需要家を対象に自由化が再開されている。
     特に省エネルギーに力を入れており、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年レベルから40%削減する目標が掲げられている。SCEでも「エネルギースター」プログラムの啓蒙活動やスマートメーターの提供など省エネルギー活動に力を入れている。
     CXへの取り組みでは、SCEは信頼・安定性を重視したCXを標榜しており、マネジメントサイドSTPDに当てはめると次のようになる。

    See (調査・観察) の活動内容
     J.D.パワーのCustomer Service Index(CSI)を成果指標として使い、 2017年の総合満足度は727ポイントで西海岸大手電力会社部門の第4位を獲得している(業界平均は720ポイント)。
     顧客の声の収集では 「IVR Survey」「SMSを使ったモバイルフィードバック」「SNSへの書き込み」「アンケート(NPSなど)」「コンタクトセンターへのコール」「大口顧客へのヒアリング」「従業員からのフィードバック」「ウェブサイトのアクセスログ」などさまざまな情報源から収集している。
     コンタクトセンターのオペレーターの指導や評価にNPSを使っているが、評価が偏らないように最低でも20件のサンプルを確保したり、社内のアセスメントメンバーが現場の活動を観察したりして、NPSのスコアだけに頼らない評価や根本原因特定を行っている。

    Think (思考・分析) の活動内容
     CSIの測定要素には、「品質と信頼性」「請求と支払い」「価格」「地域貢献」「コミュニケーション」「顧客サービス」がある。それぞれに対しても満足度を測定しているが、これらの満足度を個々に見るだけでなく、“顧客はどの項目を重視しているか””総合満足度に影響を与える要素は何か”を見るようにしている。
     図表5-13は、個人と法人顧客がそれぞれの要素に対し、どのくらいウェイトを置いているかを示したものである。 これを見ると、個人も法人顧客も「品質と信頼性」に高いウェイトを置いていることがわかる。
     他にも「コンタクトセンターのオペレーターの満足度」 「感情分析」「NPSの日次、週次、月次集計」「課題のリストアップ」などを、カスタマー・クスペリエンス管理ツールを使って分析している。

    Plan (検討・計画) の活動内容
     各要素の満足度を業界平均と比較し、そのギャップの大きさと要素に対するウェイトを加味しながら総合満足度を向上させる計画を立案している。計画内容は、Seeで収集した顧客の声を参考に立案する。そして、J.D.パワーのCSIとは別に、その計画を実行したときの効果を測定しうる新たな 指標を用意している(図表5-14)。
     さらに、総合満足度向上を実現する具体的な活動の候補を「J.Dパワーのスコアに影響を与える活動」「最初のコンタクトで解決可能にする活動」「使いやすさを高める活動」の観点で70以上挙げ、そこから実装努力スコアと顧客満足度スコアへの影響度の2軸から15の活動に絞り込み優先順位づけを行っている(図表5-15)。
     顧客満足度スコアへの影響度が高く、実装努力が低い活動の優先順位を高くしており、この順序で活動することで、J.D.パワーのCSIスコアが上がると見込んでいる。

    Do (試行・実践) の活動内容
     具体的なCX施策として、2016年から提供している「停電時にメール通知するシステム」がある。 カリフォルニア州では年に4~5回停電する。これまでは、いつ頃復旧するかを確認するにはコンタクトセンターにいちいち電話しないと確認できなかった。その上、復旧予定時刻は時間が経過するとともに遅れたり早まったりする。非常に悪いCXであった。
     新たに提供したシステムでは、停電するとすぐに「何時間後に復旧する予定です」という通知が送られ、1時間ごとにアップデートされた状況を通知する。それほど実装努力を必要としないシステムだが、J.D.パワーのCSI向上には好影響を与えた施策であった。


    ■さまざまな調査方法
    ●行動モニタリング ●生体情報(脳波、脈拍、孔など)

    調査手法
    デプスインタビュー:インタビュアーと対象者の1対1のやり取りによって核心的な内容・潜在意識に迫る
    エスノグラフィ:観察者が日常に入り込んで対象者のありのままの姿や行動、背景にある情報を観察する調査手法
    行動観察:観察者がある状況の対象者の行動や背景にある情報を観察する調査手法
    コンテクスチュアル・インクワイアリ:対象者に普段の行動を実際にやってもらい、その行動と背景にある情報や文脈を理解する調査手法
    セルフドキュメンタリー:対象者に商品・サービスの利用シーンや感じたことを日記のように記録してもらう調査手法
    投影法:コラージュ法:対象者が選んだ写真やイメージから深層心理を読み解く調査手法
    投影法:メタファー:対象者に商品・サービスを想起する写真や「たとえば・・・のようだ」という表現をしてもらうことで深層心理を読み解く調査手法
    投影法:文章完成法:未完成の文章を完成してもらうことで対象者の心理を読み解く調査手法。マンガの吹き出しに言葉を入れてもらうなどの方法がある
    ZMET:認知心理学や脳科学の理論をベースに、OLSON ZALTMAN ASSOCIATESが開発した「潜在意識を深く理解する」手法
    カードソーティング:対象者にカードを仕分けしてもらうことで顧客の心理やニーズ・ウォンツを読み解く調查手法
    ラダリング法:「なぜこの商品・サービスは価値があるのか」を繰り返し質問することで、特定の商品・サービスを選んだ潜在的な理由を深掘りする調査手法
    違背実験:特定の商品・サービスについて、強制的に一定期間その使用を禁止することで深層心理を読み解く調査手法
    エンパシーマップ:Say(言う)、 Do(する)、Think(考える)、Feel(感情)の観点で調査する手法
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    投稿日:2022.04.17

  • しぐるみ

    しぐるみ

    CX・・・カスタマー・エクスペリエンス。
    今日、顧客は「モノ」から「コト」に価値を置くようになった。
    また、顧客による自由度が高くなったことで、企業の立場が従来よりも
    弱くなった。デジタルの普及によって、顧客は情報を隅々まで調べることが
    できるようになり、アップセル・クロスセルなども慎重に行う必要性が出てきた。
    本書はそういった背景で今後何をしていけば顧客は満足するのかをCX戦略というフレームで纏め上げている。

    顧客価値を可視化するために必要な質問は、たったひとつで良いことに改めて驚いた。

    業界で競争していくと、その商品・サービスはコモディティ化する。
    その中で大切なことは、顧客のwhyに寄り添うような価値を提供することである。
    Whatではどの商品を使おうが一緒であるが、Whyがあれば同じ性能でもこれを使うという行動になる。

    究極はすべての顧客が満足するような商品を一人ひとりに提供すること。
    しかし効率化と顧客体験価値の提供はトレードオフであるため、戦略を考える必要がある。

    メルセデスでは経営陣が定期的にコールセンターで対応を受けているというエピソードには驚いたとともに、現場を常に把握する重要性を再認識した。

    バリューズ・ウォークであったり、GABカードなどの取り組みはまさにCXを体現すためのモノであったことをしり、改めてStarbucksは素晴らしい企業であると思った。
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    投稿日:2020.09.06

  • じょ~ろん

    じょ~ろん

    CX、すなわち総合的な顧客体験に重きを置き、推進していくためには何が必要かを示している本である。

    自分のキャリアパスや「顧客体験の教科書(ジョン グッドマン)」に振れたことにかんがみ、顧客体験を良化したい、という思いでいろいろと触れてきた。今ひとつ効果や広まりが出ていなかった私にとって、読んでいて衝撃をうけ、かつ、他社の事例も豊富なことから、まさしく望んでいた本であった。

    特に「NPSの活用方法」や「CX推進部門の設置」は、今後の業務を押し広める有用であることはまちがいなく、今後もおそらくことあるごとに開いていく本になると思う。
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    投稿日:2020.08.23

  • 圭子

    圭子

    全然違う部署にポイッと辞令が出て、訳がわからなかったのでとりあえず本を買う(頭でっかち)。
    冷静に考えたらまあそうよね、と顧客対応している人なら何となくわかるのでは。
    ただ、体系的に理解するにはまだ追いついてないので、あと1〜2冊くらいは読んだ方がよいかな。
    5章が難しかった(マネジメント経験がない)。
    続きを読む

    投稿日:2020.06.01

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