【感想】決定版 銀行デジタル革命―現金消滅で金融はどう変わるか

木内登英 / 東洋経済新報社
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • aya00226

    aya00226

    このレビューはネタバレを含みます

    フィンテックは日本ではメガバンク自身が乗り出している。
    全銀ネットは、決済尻を日銀ネットに送信して、当座預金の残高を決済する。
    日本では、フィンテックはライバルというよりコスト削減の技術として捉えられた。
    銀行の土管化=フィンテック企業に取引を奪われると単にお金をやり取りして手数料を受け取るだけ、になる。
    フィンテック事業に乗り出さざるを得ないが、手数料を失いかねない。
    ビットコインの決済は、ブロックとして認定されるまで確定しない。約10分かかる=DLTの10分の壁。
    民間銀行の独自のデジタル通貨=三菱UFJ、みずほFG
    スマホ決済の安全性の疑い、現金志向、コストが障害になっている。
    ケニアではエムペサが決済の主流=金融インフラが未発達だったため
    アリペイは顧客の手数料は無料。日本では銀行が決済情報の利用ができないため、難しい。
    アマゾンエフェクト=通販の拡大が物価を押し下げた
    日本では、個人情報に敏感で匿名性のある現金を好む、低金利、治安がいい、ATMが多いなどの理由で広がらない。
    日本は高額紙幣の割合が多い。
    現金流通はコストがかかる。日銀と民間銀行が負担しているが、最終的には消費者が負担している。
    現金利用は所得格差を拡大させる。海外では口座維持手数料が高額なため。
    日本は金融機関の店舗数がドイツに次いで多い
    ボラティリティターゲッティング投資戦略がリスクを増幅している。
    高ボラティリティ=高リスクだが高金利。ボラティリティが低い状態では投資が集中してさらに下がるのに対して、上昇局面では投げ売りがでるためさらに上昇する。
    仮想通貨はサイバー空間の金。
    マイニングの電気量を考えると、1ビットコインは40万円。DLTの費用を賄うためには手数料が高くなる。
    コダックコイン=ICOの一種。自治体もICO。
    日銀はDLTは技術として成熟していないという判断。
    景気ウォッチャー調査のテキストデータの分析=AIの活用
    ウルグアイでデジタル通貨eペソを発行
    スウェーデンでは付加価値税が高く、脱税を避けるためにレジスターに装置をつけている。そのためキャッシュレス化推進の大きな誘因。
    eクローネを発行。
    民間銀行が発行するか、中央銀行が直接発行するか。中央銀行が取引履歴を持つ可能性。
    銀行をナローバンク化すれば金融システムはリスク伝播を防げる。信用創造機能がなくなる。
    現金流通コストの低減とマネーロンダリング防止の効果
    シニョレッジの減少を回避できる。
    日銀の付利はマイナス0.1、0,プラス0.1の三段階ある。
    デジタル通貨がゲゼル紙幣を実現させる。
    日本の現金志向はやすやすとは改まらない。

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    投稿日:2022.03.23

  • Ogawa Koichi

    Ogawa Koichi

    ブロックチェーン・ビットコインの話もあるが、本書の本筋は「銀行」そのものがどういう変化をしていくのか?の話。
    お金そのものの変化がこれからどうなるのか?
    本書では「案外、現金がまだまだ残って、電子マネー化は時間がかかる」旨が書かれている。
    単純に保守的という話でない。
    日本の文化的背景や、現在の銀行システムの状況を考えての回答の導きなので、説得力はある。
    自分でも意外と今でも現金を使っているからだ。
    何より本質は「現金を不便と感じない」に尽きるだろう。
    逆に電子マネーなどの方が不便を感じてしまうほど。
    チャージしたりも手間だが、そもそも種類が多すぎる。
    SUICAしか使えなかったり、ドコモIDしか使えなかったりもある。
    大体日本銀行が新札発行を発表しちゃったものだから、「え?キャッシュレス社会目指すんじゃないの?」と、ずっこけてしまったほどだ。
    しかしそれこそ究極の無駄使いだ。。。(日本らしい)
    銀行は新札対応をするためにATMを入れ替えるのだろうか。
    町の自動販売機も入れ替えるのか?
    確かに、急激なキャッシュレス社会にしたら、使いこなせない老人はどうする?などの問題はあるかもしれない。
    だからと言って、多大なコストをかけ続けて今のままいくのだろうか。
    本書にも書かれているが、実は「現金」を維持するのは、銀行も含めて社会全体で潜在的な大きなコスト負担となっている。
    これらがもし全部キャッシュレスになれば、相当にコストは改善され、お金の流れは滑らかになり、銀行の収益も改善され、結果税収が増えるのではないだろうか。
    一方、世界でキャッシュレス化が進んでしまい、「円」そのものが必要なくなった場合の世界はどうなってしまうのだろう。
    それはそれで便利な気がする。
    海外旅行の際も、両替をする必要性もない。
    海外送金もレートを気にせず、手数料も気にせず利用可能だ。
    ただし「国」の存在意義が、「お金の発行権利」である以上は、世界統一の電子マネー化はなかなか厳しいか。。。
    そんな中でfacebookのリブラコインの発表。
    お金そのものがどうなっていくのか?
    銀行がどうなのるのか?についてもそれ次第だ。
    まだまだ安心してはいられないから、常に意識していかないと。
    (2019/10/1)
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    投稿日:2020.05.16

  • gatumaruhahaha

    gatumaruhahaha

    文章のなめらかさ、分かりやすさのレベルが高くて読みやすかった。深いナレッジを得たい人向けではないけれど

    投稿日:2020.03.25

  • Tomota

    Tomota

    「デジタル通貨」の現状、可能性、課題などについて
    の解説。

    民間銀行も新しい金融サービスに参入しないわけにいかないが、参入すればジレンマに遭遇する。
    例えば、デジタル通貨がクレジットカードに代わって利用されれば、預金決済で得られるはずの手数料を失うことになる。
    また、フィンテック企業は、銀行システムを利用して利便性の高いサービスを顧客に提供する。手数料は銀行に支払われるが、顧客情報や取引履歴などのビッグデータがフィンテック企業に集中する。

    デジタル通貨は「ビットコインなどの仮想通貨」「民間銀行のデジタル通貨」「中央銀行のデジタル通貨」の3つに大別できる。

    仮想通貨は「決済の処理スピードが遅い」「価格変動が激しい」といった欠点があるため、決済手段としては普及しないと考えられる。
    中央銀行デジタル通貨は、法定通貨建てで発行されるため、価格は大きく変動しない。
    民間銀行は破綻することがあるが、中央銀行の破綻はないため、デジタル通貨の価値が失われることもない。

    中央銀行が発行するデジタル通貨には2タイプある。
    1.民間銀行仲介型:取引銀行の預金口座から、中央銀行デジタル通貨を入手する。
    2.直接発行型:中央銀行にデジタル通貨の口座を開設し、その口座を利用して決済を行う。
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    投稿日:2019.07.20

  • あり

    あり

    銀行の近未来について書かれているのは、分かりやすくてよかった。けど日本の高齢者は、キャッシュレス化なんてついていけないだろうなぁ。技術的にも、気持ち的にも。

    投稿日:2019.02.07

  • manakenchan

    manakenchan

    このレビューはネタバレを含みます

    日銀政策委員を務めた著者による、今後の”通貨”についての分析。現金、仮想通貨、デジタル通貨(銀行発行、中銀発行)の中で、日本においては現金に軍配を挙げる。”地に足のついた”分析であるし、納得感も高いが、他の論者、例えば野口悠紀雄氏の最近の著作に比べると、金融機関以外をも視野にいれた分析(あるいは期待の吐露)には欠けて、面白みは無い。以下、本書の要約なので、ご注意。

    著者の試算によれば、日本における現金の流通にかかるコストは5兆円以上に上り、ATM手数料や日銀国庫納付金の減少といった形で直接、間接に国民の負担となっている。また、現金はマネーロンダリングにも活用されやすく、海外学者を中心に高額紙幣廃止論も唱えられる。

    現金に代わる選択肢としてまず思い浮かぶのは、昨年ブームとなった、ビットコインを筆頭とする仮想通貨。しかし、仮想通貨については①取引発生からブロックチェーン記録まで、決済に時間がかかる、②価格変動が激しすぎ、決済手段として受け入れ難い、といった難点もあり、決済手段としては機能しない(なお、著者は、ビットコインの妥当値として40万円程度と試算)。

    次に、MUFGやみずほFGが構想する銀行発行型デジタル通貨。コスト削減、ビッグデータ利活用による収益を狙いとしたもので、価値変動を抑える仕組みが予定されているが、日本人のITリテラシーの低さ、インフラ整備コストを民間銀行が負担しきれるか、銀行の流動性リスク拡大の恐れ、等の問題があり、早期に現金を代替する見込みは無い。

    代替手段として最有力なのは中銀発行型デジタル通貨。スウェーデンの中銀、リクスバンクは現金と平行してデジタル通貨、eクローナを発行、同国の現金流通額は対名目GDP比1.8%(2015年)にまで減少している。アメリカのFRBもデジタル通貨発行を検討、と報道されている。中銀発行型デジタル通貨には、中銀の金利政策がより効果的となる可能性がある一方、個人の購買動向等が中銀≒国家に集中する超管理社会がもたらされる恐れがある。

    日本において、決済手段としては現金が勝者であることは明らかであるが、現金の流通にかかるコスト削減、国際的なデジタル化の競争に劣後しないよう、政府と日銀が主導して通貨のデジタル化を進めて行くべき。

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    投稿日:2018.12.02

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