【感想】P+D BOOKS 白球残映

赤瀬川隼 / P+D BOOKS
(1件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • おびのり

    おびのり

    1995年の113回直木賞受賞作。
    P+D BOOKで図書館からお借りする。
    初めてなのだけど、ペーパーバックとデジタルの略称なんですね。小学館で過去の名作を取り上げているようです。知らなかったですが、B6版で読みやすいなと思います。

    赤瀬川さんは、野球をテーマにしたり絡めたりした作品を多く書いています。
    こちらは5編の短編からなり、それぞれ独立した小説となっています。
    うち4編に野球が関わっています。

    「ほとほと…」
    主人公は、中学生。万葉集の
    かへりける人きたれりと云ひしかば
    ほとほと死にき君かと思ひて   
    の “ほとほと”から。
    父親を失い貧しい家計を助けるため、アルバイトに勤しむ心優しき少年。母の再婚を前に好きだった若い叔母へ恋心を告白する。少年乃恋心は、大人の都合の中で消えていく。
    「夜行列車」
    高校卒業した18歳。
    父親の失職から大学進学を諦め、東京で銀行に勤める青年。密かに翌年の東大受験を目指す。友人達の大学生としての今を見る。自分はどこへ向かうのか。受験は失敗して、好きな女性は東大卒のエリート社員に持っていかれる。
    当時ならよくある話なのだろうけど、なりたい自分を探す姿が懐かしく。
    「陽炎球場」
    ここから、成年時代となる。
    会社に見切りをつけようとしていた男性が、同世代のプロ野球選手の友人が、新しいチームで再び活躍するのを見る。彼の勇姿を見て自分もと。
    「春の挽歌」
    国鉄を理不尽に追われた父親。その父親の葬式に集まった野球選手達から、父親が彼らを支えていた事を知る。
    「消えたエース」
    壮年の男達。
    絶頂期に理由を言わずにプロ引退したピッチャー。30年ぶりに再開した元新聞記者。
    彼は、妻亡き後、息子を育てるため板前となっていた。父親の背中を見ながら育った息子。
    息子が選んだ道は、思いがけず、プロ野球選手だった。
    この親子と元新聞記者がキャッチボールする場所が、今回の地震の能登羽咋の千里浜でした。
    それぞれに、当時の小説家や野球選手の名前が挙げられていて、主人公の年代を徐々に変えていく。ストーリーに繋がりはなくても、5作がまとまっていく感じが好きでした。
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    投稿日:2024.01.19

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