【感想】私の恋人(新潮文庫)

上田岳弘 / 新潮文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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ブクログレビュー

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  • saki

    saki

    前世の記憶も、朧げになりつつも前々世の記憶をも持ったまま生きている35歳の男の話。
    題材がおもしろい。そして相変わらず読みづらくもあり、それもまたおもしろくは、あった。

    投稿日:2023.06.02

  • MS(1763691)

    MS(1763691)

    三島由紀夫賞受賞作。

    10万年に渡る時空を揺蕩うロードムービー。クロマニョン人も、ナチスも、AIも、高田馬場もすべて同一線上でなんの矛盾もなく並んでいる。

    好きだー!

    投稿日:2022.12.02

  • akitukiyuka

    akitukiyuka

    このレビューはネタバレを含みます

    原子人の私は遠くの未来までをかなりの制度で予見し、それを壁画として残した。戦争中のドイツでユダヤ人だった私は、収容所の独房でひとりめの私の予見した未来を生きながら餓死させられた。そして三人目である日本人の井上由祐は前二人が超えられなかった34歳の壁を越えて、35歳になっていた。そして彼は、私たちの思い描いた理想の恋人にとても近い人物に出会う。
    純粋な少女、苛烈な女、そして堕ちた女となる、私たちの、理想の恋人。
    10万年の夢想は、彼女に出会って、はじめて片思いになる。

    やさしい文章で、三人の時間、そして三人共有の時間を行ったり来たりしながら進む物語は、その構成も面白い。
    自分たちの(正確には一人目の)思い描いた理想の女性を好きになる、というのが人間らしい。まだ出会ってもいなくて、出会っても最初はその人と気づかず、話をしていくうち思い描いた女性と同じだ!!これは絶対に(とくに二人目の妄執にも近い、信仰にまで発展してそうな)恋人にしなくては!!という思考の流れが、正直引いてしまう笑その人本人よりも、設定から好きを引っ張り込んでくるなんて、、、それって恋っていうの?恋に恋しているのと同じじゃない?そこにお年頃の欲望も絡み合って猛烈なアプローチを向けるのが何だかなあ、なんて思った。
    でもとても面白かったので、他の作品も読みたい。

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    投稿日:2022.02.02

  • saki

    saki

    「時間」と「空間」について著者独特の世界観が広がっている。「私の恋人」という甘やかなタイトルからは想像もつかないへんてこりんな世界であった。大好き!

    前世や来世の記憶を持つ主人公が、前々世の頃から思い描いていた理想の恋人と出会って狂おしいまでに心を揺さぶられる話。井上由祐もたいがいな人だけれど、高橋陽平もなかなかの人物で、実はこの人が主人公だよね?と思った。

    うーん、面白い。二人の今後が気になってしょうがない。でもきっともう答えはそれまでに描かれていたのだと思う。

    「来世から本気出そう」というセリフにグッときた。
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    投稿日:2021.07.06

  • hamanmnm

    hamanmnm

    このレビューはネタバレを含みます


    久しぶりにこんな面白い小説に出会った……!と途中から心臓をバクバクさせながら読み進めて最後は泣いてしまったんだけれど、ここを覗いたら意外と賛否が分かれてて驚き……。

    近年の物理の世界では時間というものは存在しないという説がそれなりに認められつつあるらしい。そう言われてみると、映画などの他のコンテンツでもいわゆるパラレルワールドなど時間の流れや空間を越境する話の流行を感じる。

    この小説も10万年という時と3人の「私」を行ったり来たりする途方もなく大きなスケールの物語。でもシンプルな文章で展開されていくので非常に設定を飲み込みやすい。そしてストーリーテリングはもちろん、登場人物たちの思想、それがいわば一つの「哲学」然としていて読んでいて面白いし、「私の恋人」の複雑な人物像も理解しやすい。

    何より、この物語はもちろんSF、一方で確実にラブストーリー。己の運命に翻弄されながらも「私の恋人」の為に3人目の「私」井上由祐はその運命を必死にすり合わせていく。そして最後は彼女が部屋のドアを叩く。号泣でしょ……。

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    投稿日:2021.04.27

  • もちたろう

    もちたろう

    「ニムロッド」が面白かったので読んでみました。

    物語の始まりはニムロッド同様読者を置き去りにしてずんずん行く感じがあるのですが滞りみたいのはなくそれが作者の追求する姿勢なんだなと思いました。一度後半でそれのすべてとりあえずの答えが出たあとにある「凪…」みたいな状態の文章が分かりやすくてわたしは好きかもしれません。
    前半の途中はちょっと状況語りが多く会話やエピソードが欲しくなったりもしましたが後半はそういうのもあり良かったです。わたしは読書初心者の方ですがなかなか難しいですね。

    ニムロッドの方の「仮想通貨」という実際には存在しないモノというのが読後わたしはずっと気になっていて、他者、集団、相対的なもの絶対的なもの、など色々とその思想の源流にあるものも書かれていたような気がします。いのちがループするという考えは独特で、ニムロッドとも繋がっているかもしれない。いまいろんなことが変わりつつある時代なんだ、というのは皆が感じていることで、その不安や希望の象徴ともいえるような「彼ら」の存在。それから、先端を選び続けるということ…などなど、あらたな概念が頻出してくるので考えるの好き哲学好きには刺激的でした。
    しかし多分どちらも、二回以上読まないと理解出来ないと思う。
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    投稿日:2019.03.29

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