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太田和彦 / 集英社文庫 (3件のレビュー)
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kinya3898
冒頭から余談をひとつ。太田和彦といえば居酒屋探訪で あるが、その同一線上にはハンチングを被った吉田類が 立ち尽くす。僕は「人払いの太田和彦」「酒場実況の 吉田類」と見立てている。 太田氏は番組では決…まって開店前に収録を行なう。 カウンターの端に座り、地の肴に舌鼓を打ちながら 盃の形状にはじまり店の調度品至るまでを一通り愛で、 やおら店主と対峙する。方や吉田類は居合わせた 客の輪に入り、番組が進むにつれて酩酊度が増し、 お決まりのようにゴキゲンで大団円を迎える。 御両名とも居酒屋道の王・長島のような存在では あるが、僕は映像もいいが、居酒屋の紹介を筆一本で その佇まいや酒肴を眼前に立ち上らせる、 太田和彦の活写力に軍配を上げる。 さて本書。今回はいつもの居酒屋探訪ではなく、 京都では木の葉丼やきざみカレーそば、浜松では鰻を 求めてタクシーを飛ばし、神戸では中華屋なのに多くの 客が好んで食べるカレーを、盛岡ではサンマの塩たたき をアテに地酒を傾ける…。 とはいえ、そんじゃそこらのグルメ紀行には非ず。 いずれの場所でも、料理を遠目で眺めつつ、建築意匠・ 名画・美術・陶器…に関する造詣を発動し、薀蓄開陳に 至る。太田氏をして「薀蓄の多い吉田類」といわれる 所以で、この「脇攻め」こそ太田和彦の真骨頂なんですな。例えば蕎麦屋では、「床の間の塗り書院窓は竹林の 透かし木彫、巾着袋をデザインした釘隠しが立派」 といった具合に。 また箴言も横溢。「東京の玉子焼きは玉子を奥から手前に巻き寄せ、京都は逆」。「鰻は焼き鳥じゃないんだから、やっぱり婀娜(あだ)な年増の情けの濃い関東風がいい」。「天ぷらをやたらと塩で食べさせる店があるが、 天つゆにくぐらせて濡らすからうまいんだ」などなど。 齢を重ねると童心に還るというが、本書では居酒屋探訪に見せる、静の太田和彦のなりは潜め、好きに喰わせろ的な意見も吐露したり、居合わせた妙齢の女性にダンディぶりを見せたり、「太田和彦2.0」を垣間見る。 著者曰く「旅は日常を離れるがゆえに心がきれいに なる」。旅はアウェイ、旅人はよそ者。 だから、急がず、計画を立てすぎず、余白を残す。 これまで経験がその境地を生み出してるんですな。 読み終えてしまう頃には、ああ、旅に出たい! と強く思わせる肩の凝らない好著。続きを読む
投稿日:2018.11.24
権太
このレビューはネタバレを含みます
2018/5/5 喜久屋書店北神戸店にて購入。 2020/12/16〜12/17 太田さんのサンデー毎日連載エッセイの新シリーズ、おいしい旅。第一巻は、京都、松本、浜松、神戸、盛岡、東京。神戸で紹介されたお店で行ったことあるのが別館牡丹園だけであった。他のお店にも行ってみたい。
投稿日:2018.05.05
dysm3636
「サンデー毎日」誌上で人気の連載コラムから京都、松本、浜松、神戸、盛岡、東京の厳選30品を収録。太田和彦氏得意の酒肴だけではなく、丼、麺、中華に至るまで名店の絶品を紹介する。
投稿日:2018.04.24
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