【感想】ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則

ミッチェル・レズニック, 村井裕実子, 阿部和広, 酒匂 寛, 伊藤 穰一, ケン・ロビンソン / 日経BP
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 行

    子どもの、ひいては人間がつくり生み出すものであるには、仲間と共に、自らの好奇心のままに想像力を持って学び手を動かすことが必要で、要はレゴSUGEEEってこと。
    面白いし子育て、教育にめっちゃ参考になるとは思ったけど、とりあえず2年後くらいに読み直したい。今はまだリアルに迫ってこないな。続きを読む

    投稿日:2023.07.22

  • heepeeco

    heepeeco

    プログラミングを小さい頃からやる意味は…と考えることがなきにしもあらずな日々なので、読んでみた。「Scratch」を開発した人の本。まず、プログラミングで育まれる力として、日本でよく使われている「論理的思考」という言葉がどこにもでてこなかったのに驚き。タイトルにもあるように「創造的思考力」を育むものであった。そのことが(おおよそ)理解できただけでも、読んだ価値はあった。そして書かれていたことは、教育全般に言えることであった。

    ほか、感じたことは他で書き留めておこう…
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    投稿日:2022.10.13

  • ghostrider

    ghostrider

    Cultivating Creativity through 4P(Projects,Passion,Peers and Play)に集約される。例によって具体例で埋めるパターン。既存の学校制度に親和させる形式での導入は難しい。やるなら大学か?大学も意外に学生が忙しい(勉学という意味以外でも)。遊び心と十分な時間,取り組める空間と仲間,Planning<Tinkering,・・・。
    ポートフォリオの考え方は参考になった。数値化できないものをの原則。心理学者や教育学者,哲学者の「遊び」に関する箴言もなかなか。
    PISAの誤訳にクスリとさせられた。
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    投稿日:2020.07.20

  • TAKASU@Nico-Tech Shenzhen ニコ技深圳コミュニティ

    TAKASU@Nico-Tech Shenzhen ニコ技深圳コミュニティ

    今の教育とゴール含めて違う、創造性を育むための「新しい教育」
    既存の教育とは違うゴールを目指す、「新しい教育」について書いた本。
    僕個人のこの本での最大の気づきは、「書かれている新しい教育は既存の教育の上位互換じゃなくて、ゴールそのものが違う」ということだ。

    本全体のテーマはこれだ。
    「優秀な成績Aを取るA学生に対して、新しい何かを作るのがX学生。このX学生を生むにはどうするか」
    そして、そうしたX学生を生む新しい教育は、Project,Passion,Peers,Playの4原則からなる。

    著者のレズニックは、MITのライフロングキンダガーデンプロジェクトの発起人で、同プロジェクトはレゴマインドストームやスクラッチなどの広く使われているツールを生んでいる。大御所の本なのでもっと古い本だと思ってた。2018年なのでびっくり。

    この本はそのレズニックを中心に、「創造的なX学生を生むには単にツールを使うのではなく、教育に関する考え方やアプローチ、ゴール、つまりは社会ごと変えないとならない」として、ライフロングキンダガーデンプロジェクトの背景や思想が書いてある。

    もちろん、思想がわからなくてもツールは使える。ジョブズやゴードンムーアが誰だか知らなくてもスマホは使えるし、オープンソースソフトの開発者でストールマンの本読んだ人は半分もいないだろう。

    とはいえ、STEMがバズワードになってる今、僕はそうした取り組みの一環としてこの本を読んだのだけど、大変にビックリした。本書は科学、技術、工学、数学のどれについても語っていない。つまりSTEMとはまったく関係ない。
    本書の主張はもっと過激で、「押しつけでテスト勉強になる既存の教育はダメだ、新しい創造的な教育に変えよう」というもの。

    紹介される「創造性を生み出す考え方やアプローチ」は違和感ないし、実際にマインドストームもスクラッチも素晴らしいツールだと思う。
    ・人間は自発的に行動したときにいちばん多くを学ぶ、大人も子供も関係ない
    ・そのために低い床と高い天井、無用な苦労なく始められる敷居の低さと、やればどこまででも高度化できる高い天井が必要。
    ・また、「広い壁」として、特定の目的でしか使えないようなツールでなくて、どういうこともできる方向性の広さが望ましい
    ・成果物が他人のアイデアの土台になるような、シェアができることが望ましい。
    ・おぼえることが少ないのが望ましい。成果物を見たら使い方がわかり、それを土台に作り始められるようなものが望ましい
    ・それはツールだけで解決するものではなく、ワークショップの運営ほか様々なことに及ぶ
    ・究極的には社会ごと創造的になるのがよい
    などはいずれも「言うのは簡単で、やるのは難しい」ことだが、レズニックたちが作り出したレゴ・マインドストームやスクラッチはどちらも成功している。また、こうした考え方はメイカー関係では常識になりつつあるが、レズニック達がいわば「本家」なのも間違いない。

    ただ、僕自身が本を読んでいてビックリしたのは、随所に出てくる「A学生から背を向けないとX学生になれない」という考え方と、既存の教育や計画主導のアプローチに対する粗雑な指摘だ。おそらく知能や発達に対してなにかの誤認があり、普通に間違いなんじゃないかと思う。

    たとえば文中にA学生大好き国家のシンガポールがX学生養成に手を広げ、マインドストームでロボットを作り出した話が出てくる。彼は学生に応用的なリクエストを出し、学生が見事に修正した様子をみて、「創造的な学生に育ってる、素晴らしい」と感動したあとに、学生たちが放課後だけロボットを扱って、授業ではきちんとテスト勉強をしてることを「テスト勉強は創造性を阻害する」と嘆く(目の前でそうでない例をみてるはずなのに)
    また、たとえば創造的な人としてファインマンが挙げられているが、彼はテストの成績もいいし彼ワナビーも明らかにAの数は「ファインマン・ワナビーじゃない人」より多いだろう。Aの数だけにこだわる考え方に限界があるのはわかるが、「Aを取ろうとする行為がとにかくだめ」となるのがなぜなのかはよくわからない。著者のレズニック、「まったくAが取れない学生」とは、そもそも会話が成立しなさそうだもの。
    他にも全般的に「A学生になろうとするとX学生ではなくなる」的な指摘が出てくるが、それらは普通に間違いだと思う。MITメディアラボの人たちを含む多くの研究者はA学生でもあるだろうに。
    「自分から興味を示してヤル気にさせて因数分解や公式や掛け算九九をやるのはOK、押しつけるのはNG」というのはわかるのだけど、やってみてから好きになる、嫌いなものの印象が変わることはよくある。それも僕は創造性だと思うし、実はA学生とX学生は、かなり共通点が多いと思うのだ。
    そうした、「反復練習は大事で、努力だけが人間を作りますよ」テーマの「非才!」は、本書と共通するところも相反する所もあってオススメ。

    もちろん、ガリ勉批判が粗いことは本書の価値をいささかも落とすものではない。スクラッチのソフトやコミュニティの価値を落とすものでもない。AppleのジョブズやGNUのストールマンはメチャメチャなことも言っているがプロダクトは素晴らしい。クリエーターの仕事は正しいことを言うことでなくて良いものを作ることだ。
    また、もしもマインドストームやスクラッチが「テストの点を上げるツール」として扱われている誤解が多いなら、それは悲しいことだ。僕はそういう誤解がどれぐらい多いかわからないけど、ゼロでは絶対にないと思う。また、補章で阿部先生が指摘しているように、本質をよく理解せずにマインドストームやスクラッチを使ってカタにハメた教育を行っている事例は多くあるだろう。
    また、「A学生を生む行為だけが勉強」と思ってる人は今も多いだろうから、そういう人がレズニックの考え方に触れることは悪くないと思う。

    僕自身はこれまで書いてきたとおり、STEMと「新しい教育」の関係についてよくわかっていなかった/誤解していたので、本書はいくつもの「なるほど」をもたらしてくれた。
    「なるほど、この人たちは新しい学校について考えてるけど、今ある学校には興味がない」
    「なるほど、彼らに評論家的な'いろいろ見て最善を判断する'という視点は期待してはいけない。あくまで自分たちの作品しか考えてない」
    「なるほど、ここで提唱する新しい教育は、たとえば英語や数学の成績を上げてくれない」
    つまり、本書を読むことで「創造的な教育」が、今の教育とまったく別の(互換性のない)ゴールを目指すものであることがしっかりとわかったわけだ。上位互換ではない。そして、もちろん「創造的な教育」は今求められている大事なものだ。

    随所に出てくる「計画を立てるより先に手を動かして修正していくアプローチは有効」については異論ない。
    「既存の教育のダメさを見つける」という教育システム研究者みたいなのは、レズニックの仕事としてもこの本としてもメインディッシュではないし、その話をたくさんするのはクソリプだろう。(僕は勝手に期待していたので、そこが一番ビックリしたんだけど。)
    クリエーターとしてはそれでいい気がするし、そのぐらい心を固めなければ良いものは作れない。スタートアップの社長は、自分たちの会社が唯一無二だと信じてなければやってられないし、僕もイベント運営や原稿書きなどの創造性を伴う活動をしてるときに、「こんなの他の人もやってるから僕がやらんでもいいのにな...」と考えてたらやってられない。
    そういう「創造性と客観性,科学性」みたいなものを考える一つとしてもこの本は面白かったんだけど、本としてはどういう人にオススメなんだろう?
    たぶんこの本読むより実際にスクラッチ触るほうが著者たちの意図に沿う気がする。


    https://note.com/takasu/n/ne9062e3aa4e2
    続きを読む

    投稿日:2020.05.10

  • 和尚さん

    和尚さん

    Scratchを開発したMITメディアラボの著者が、どんな想いでそれを創ったのかが綴られている本。
    私が日頃子育てをする上で思っていることを書き表してくれた、この本に感謝します。スクラッチをやったことがないので、所々分かりにくい箇所がありますが、子供に創造力を持ち続けて欲しい親であれば読む価値はあると思います。
    プログラミングを学ぶことは、コーディング自体を学ぶことに非ず!プログラミングというデジタルツールを通して、以下を学ぶのが大事なのだ。このことを子供に言い続けていきたい。
    1.失敗してもいい(そもそも失敗なんてない)。思いついたらどんどんトライすべし。
    2.仲間とともに共有し、自由に遊べ。
    3.そして、たまに振り返ろう。
    (どうやって思いついた? 一番驚いたことは?それで何をしたかった?)
    続きを読む

    投稿日:2019.07.06

  • ma1979

    ma1979

    ひとまとまりの体験を、情熱をもちあえる仲間と、遊び心をもって学ぶ。とてもエキサイティングな本だった。ScratchのWhyが見えた気がした。この本が描いている創造的な未来に向かうことへ貢献したい。それはこどもの学習環境だけに限った話ではないともおもった。続きを読む

    投稿日:2019.02.10

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