【感想】「女性活躍」に翻弄される人びと

奥田祥子 / 光文社新書
(7件のレビュー)

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  • MOMENT

    MOMENT

    女性活躍、という言葉が政府の施策のひとつとして掲げられるようになってから、ずいぶん時間が経った。
    世の中はどう変わって来ただろうか? 未だに世界から遅れていると見られているこの国で、活躍を期待される女性たちは、今何を考えているのだろうか? そういう疑問に、たくさんの取材対象の女性(時に男性も)たちがそれぞれ答えてくれる。作者の人が、自分も悩みながら、丁寧に取材しているのが感じられる。
    出世していこうとして、さまざまな壁にぶつかり結局その道を選ばなかった人、結婚や出産という幸せをまず考えた人。どの選択にも絶対はないけれど、女性活躍が持て囃されているために、それぞれ悩みを抱え、迷ってしまう。同じ女性として、いろいろ考えるものもあった。
    すごいな、と思うのは、男性目線の視点も取り入れて書いた章があること。世間の流れの中で、男性もまた振り回されているのだと、女性もまた、知っておくべきだなと感じた。

    構成
    第一章 管理職になりたがらない女たち
    第二章 非正規でも前向きな女たち
    第三章 敗北感に苛まれる女たち
    第四章 男たちを襲うプレッシャー
    第五章 真に女性が輝く社会とは
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    投稿日:2022.02.04

  • rara16

    rara16

    ■感想:
    女性には、その時代のトレンドとされる生き方がある。けど、そもそも個々人の生き方について社会が「こうあるべき」と縛るな、という話。

    皆それぞれの生き方、価値観を受け入れて、もっと生きやすい社会になればいいな。



    ■メモ:
    ・女性はその時代の理想とされる生き方に翻弄される。

    ・1986年に施行された男女雇用機会均等法により、総合職など一部の女性には男性と同じように働く機会が与えられた。一方で、企業は1990年代半ば頃から一般職の自社採用を控えるようになり、一般職に取って代わったのが契約社員や、派遣スタッフだった。1990年代は女性の社会進出が本格化すると同時に、「非正規化」も急速に進み始めた時期であった。



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    投稿日:2021.01.01

  • yuk1513

    yuk1513

    男女のどちらが悪いというわけではなく、既存のジェンダーや新しく唱えられる女性活躍のスローガンのもと、生きにくさを抱え、それに抗おうとする人たちを見つめた本。筆者のマクロ的な分析もあるが、個人的には、実例紹介の方が興味深く感じた。続きを読む

    投稿日:2019.10.13

  • 香菜子(かなこ/Kanako)

    香菜子(かなこ/Kanako)

    「女性活躍」に翻弄される人びと。奥田祥子先生の著書。女性活躍は本来であれば女性にも男性にも幸福をもたらすもののはず。女性活躍が女性にも男性にも幸福をもたらさずに翻弄しているだけなのであれば、それは女性活躍のための制度や仕組みが正しくないということなのだと思います。日本は女性活躍後進国、女性活躍発展途上国であるという自覚を持って、女性活躍先進国から謙虚な気持ちで学ぶ姿勢が大切。続きを読む

    投稿日:2019.01.13

  • haruharudiary

    haruharudiary

    読了した本の付箋部分を抜粋します


    ・『女性活躍』の推進っていうのが、本当にうっとおしかった(p20)

    ・仕事も家庭もそれなりにいろいろあって、、自分自身の中でも考えが揺れ動いたりもしましたけれど
     結局は気負わず、自分ができることを70、80%ぐらいの力で余力を残して、そこそこの働き方が
     できればいいのかなあ(p20)

    ・そもそも、『産め』『働け』『活躍しろ』って、無茶な三重の役割を押し付けられて冗談じゃない!
     とても腹が立ちました(p30)

    ・そんな社会が一方的に決めつける模範的な女性の生き方に当事者として翻弄され続けるのではなく
     俯瞰して逆に面白がってやろう(p34)

    ・男性たちが、長年培ってきた、職場の「しきたり」に、何食わぬ顔で従ってゆくことがとても耐えられなかった(p48)

    ・私は独身ですから経済的に誰にも頼らずに生活していくためには働いてお金を稼がないといけません。
     そういう点からはやりがいは二の次になってしまいますね(p48)

    ・そもそも女性が、仕事と家庭の両立をいずれも100%の力を出し切って頑張る、というのは無理なんや
     ないでしょうか(p60)

    ・数合わせの女性登用ではなく、管理職に就くかどうかも含め、女性たちが自ら望む職場内のポジションを認め
     また子育てなどをしながら働きやすい柔軟な雇用システムを整備し、推進していくことが今、早急に求められている(p71)

    ・女の人生って、全然、計画通りにいかないと思いませんか?それ以前に、計画そのものが立てられない、ということかも 
     しれませんね。だって、就職や人事異動、退職、それにプライベートでは結婚、出産、離婚とか、その時々の状況によって
     自分自身の仕事や家庭に対する考え方が絶えず揺れ動くんですもん(p102)

    ・生き方のトレンドに翻弄され、アイデンティティーを見失ってもだえ苦しむ女性たちの悲哀は、社会で見過ごされている
     深刻な問題なのである(p128)

    ・さらにその上を目指すとなると、仕事の能力や実績というよりも、上司との付き合いとか、ゴマすりとかで偉くなっていく
     人のほうが、実際には多いんですよねぇ(p145)

    ・ただ、今、「女性の職場での活躍」「女性管理職を増やす」なんて、社会で盛り上がっているけれど、国や企業が
     私たちの人生に口出ししないでほしいですねぇ(p158)

    ・女性の生き方に「勝ち」も「負け」もない。家庭に入った女性たちも、それぞれの持ち場で懸命に努力し
     成果を上げているのは、働く女性たちと同じである(p181)

    ・女性課長、女性部長などと、肩書きを紹介するときにわざわざ「女性」と付けなくてもいい時代に早くなってほしいです(p199)

    ・女性の仕事での活躍を考える際、夫婦や家族という視点も必要なんじゃないかと思いますね(p214)

    ・対外的な体面のために子育てをしながら働く女性の存在をアピールしなくてはと焦っている。実際には女性に能力を高める
     機会を与えず、人材活用もうまくできていない会社に嫌気が差したんです(p222)

    ・男性の多くはいまだ、職場のパワーゲームに勝利して組織や社会から評価され、妻子をしっかりと養っていかなければ
     ならないといった伝統的な「男らしさ」の規範意識に囚われているからだ(p239)

    ・働き方や職場での身の処し方に対する考え方は異なっても、働く女性たちの多くに共通している点がある。仕事に
     「やりがい」を求める傾向が男性よりも強いということだ(p244)

    ・やりがいの捉え方や価値観は千差万別であることを認識したうえで、社会が一方的に押し付ける規範に惑わされることなく
     また他者と比較することもなく、自分のものさしでやりがいを見出すこと、すなわちやりがいの概念を再構築することが
     重要なのである(p250)

    ・旧来の男性中心主義を打破し、女性が社会に進出して仕事で目覚しく活動することは、重要である。しかしながら、仕事だけが
     さらに管理職という指導的なポジションに就くことだけが、女性の「活躍」ではない。・・・中略・・・女性の「活躍」のシーンや
     中身は、十人十色なのである(p268)

    ・そもそも、性別を問わず、個々人の生き方について社会が「こうあるべき」と縛ることなどあってはならないのだ。そうした
     鎖を断ち切り、男女がともに、また社会全体として、女性たちが抱える「平等」と「差異」のジレンマを乗り越えていくことが
     非常に重要なのである(p269)
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    投稿日:2018.08.13

  • sunny

    sunny

    長年取材してきた著者だからこそ本に著せた女性たちの人生や気持ちの変容。男性サイドの感じるプレッシャーやモヤモヤ感、退職した女性達が自分の代理や存在証明として夫や子どもに期待をかけたあまり家庭が立ち行かなくなるケースなども興味深い。人生なんか計画的にいかないことばかり。でも、そこから動き出そうとする女性達に勇気をもらった。
    自分を守るために法律や世の中の動きにアンテナを張るのは必須だと思った。
    続きを読む

    投稿日:2018.06.04

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