【感想】なぜ国家は衰亡するのか

中西輝政 / PHP新書
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
5
5
3
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ブクログレビュー

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  • つー

    つー

    好き嫌いが分かれるところだ。
    未来は歴史から学べる部分が多くなる程確かにと頷ける箇所とそうかな?と立ち止まって考えてしまう部分も多々ある。普通は読んでいてもそれ程違和感なく頁をめくれるが本書はそうならない。過去に起きた事実は間違いない事象として描かれているが(当たり前)、その経緯や要因が断定的な記載(必ずしもそうなの?)が大半なため、これが「ではないだろうか?」であればスルーできる箇所もどうしても立ち止まる。歴史がそうだ、通説だ、と言うものだけなら良いが、幾つかは持論に基づく想定である箇所も見られる。一度批判的な目で見てしまうと、いちいち気になって先にも進まない。勿論、筆者の主張が見受けられないかの如く、断定的表現が一切無いものは余計に困るが。
    さらに遅々として進まない原因は多用される難解な(私にとって)熟語の連続。これも漢字の得意な方には問題ないだろうが先を読みたくさせる気が失せてしまう。
    それに内容に違和感を持つとなおさらだ。もう少し勉強しろと言われればそれまで。歴史や漢字(国語?)に至るまで着いて来れないものは非常に切り捨てる事が理解できないわけでも無い。最後まで読むのに時間がかかりすぎて記憶にも余り残らなかった。結論、本書のタイトルに繋がった内容の中心点がどこにあるかわからないような、勉強不足な自分を大いに反省する。
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    投稿日:2023.03.17

  • 名古屋歴史観光

    名古屋歴史観光

    概要
    ・おかげ参りは江戸時代のカタルシス。
    ・日本史は物質的な欲の時期と、迷信のようなものを信じる人が多くなる時期が交互にくる。
    ・天明のききん、浅間山の噴火などの災害⇒田沼の失脚
     田沼時代はバブルの時代であり、不道徳な時代
     モラルの破壊の時代 
    ・寛政の改革 きゅうくつな時代と思われたかも・・・
     田沼の時代を奇妙に時代にあったともちあげる歴史学者や江戸を論ずる人が今もいる
     改革とは高い志が必要になる!!日本をどうすべきか真剣に考えた改革だ!

    アクションプラン
    ・今の時期、この令和の時代のあるべき国家像とは何だろうか、それを自分なりに考えていきたい。だから、もっと本を読んでいきたい。
    ・松平定信の改革は中西輝政氏が言うほどそんなに評価されるべき改革なのか、寛政の改革をもっと知りたい。
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    投稿日:2022.08.10

  • 海外おやじ

    海外おやじ

    このレビューはネタバレを含みます

     端的に言うと、うーむ、残念。という一言。

     本作は、佐藤優氏と手嶋雄一氏の対談で言及されていて興味を持ったと記憶しています。(武器なき戦争引用)
     現実世界を取り巻くパワーバランスは米国中心。彼の国がどうなるのか、中国はどうか、インドだってわからない、中東の平和は、というか日本の行く末は、等々の疑問について、衰亡の理(ことわり)が開陳されるのではとの期待から購入しました。

     期待は大きく裏切られました。
     骨太なロジックにより主題が展開されることを期待しましたが、疑問を呈する短絡的な論述が多く、これらがいちいち気になって集中できません。

     例えば。イギリス人がスポーツ(サッカー)を愛するのは人生が先の分からないゲームであるからであり、だからこそ開き直ってイギリス人はプロセスそのものを愛する(P.51)とある。サッカーは主に下層大衆に愛好されていると私は習いましたが、そうした大衆がプロセスを愛するとは到底思えません。サッカー好きは男性に顕著であろうと思いますが、それをもって全英国を特徴づけるというのもどうか。演繹が過ぎると感じました。
     他にも、大英帝国の衰退の因として享楽的になった部分というのがあり、海外旅行ブーム、温泉ブーム、イベント好きという事象を挙げ、ローマでの「パンとサーカス」や温泉好きと絡めて、そこに共通因をみている。ひいては日本のレジャーブームや軽薄化から衰退の原因をほのめかしている(第三章)。これもなぜ英国人が享楽的となったのかを聞きたいし、その結果としてどうやって当時の英国の「エッジ」が失われなかったのかをしりたい。

     また結局本旨も良くわからないという状況に陥りました。
     序章には、国家の衰退について論じる、とあります。なかんずく著者が日本人であるからには日本の衰退局面に生かそうということは類推できます。ただ、本論では明示しないことで一層わかりづらくなっています。
     結びではようやく、日本のあるべき姿が述べられています。因みにそれは、
    「一口で言えば、「自由で、活力に富み、伝統と歴史を重んじて、世界で自立し名誉と協調を重んじる国」(P.234)」
    ということです。私としては具体性を全く感じませんでした(そもそも衰退を認定する現状分析が希薄であったこともありますが)。
     結局私はこのように解釈しました。『日本は今、なんだかヤバい。過去を振り返るとローマとか英国は過去享楽的になってヘコんだ。日本は今なら間に合う、誇りと伝統と自信をもって気合いで生きていこう』、こんな感じにしか解釈できませんでした。

    ・・・

     ということで、ネガティブなことばかり口にして反省しています。勿論私の理解力不足は火を見るより明らかであります。きっと深遠なことが書いてあったのであろうとは思います。 
     なにしろ筆者は京都大学の名誉教授であるし、間違いなく私よりもインテリジェントな方でしょう。ただ、議論の進め方は、昭和日本風で、結論から切り出す明快な欧米的なものではありませんでした。また、衰退を論じるにあたり、色々な可能性や仮説が考えられる中で、それでもこれが一番ふさわしい何故なら・・・という他の可能性の検討を経ず、筆者の感ずるままの話に付き合わされた感がありました。
     安易な答えを求めすぎたことを反省し、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』を読み進めることにしました。

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    投稿日:2021.07.01

  • 板橋区民

    板橋区民

    結局何が言いたいのかサッパリ理解できず。第1章を読んでも衰退とは何かが読み解けないし、全体を読んでもなぜ国家が衰亡するのか明示されていない。
    英国エドワード朝との共通点が嫌というほど列挙されている。曰く、インフラ整備で住みやすくなった大都市に若者が流入し、中産階級が膨らんで貧富の差が縮小し、わざわざ危険で暮らしにくい海外に出ていく必要もなくなり、その代わりに楽しい海外旅行ブームが起こり、伝統にとらわれない新しい「軽薄な」文化が芽生え、個人の尊重と女性の権利が認められた、らしい。何て素晴らしい社会なのか! この理想社会に到達した後、それ以前に比べて発展のペースが減速することを「衰退」と呼ぶのなら確かに衰退なのだろう。おまけに1920年代は世界恐慌で全世界的に衰退したのであり、このような「享楽的」(?)な社会変化が衰退の原因とはとても思えない。
    本書を読んで結局「発展が衰退の唯一の原因」「盛者必衰の理」は真理であると確信した。著者の視点では、個人を犠牲にした全体主義国家でビジョンを持ったリーダーが蒙昧な国民を指導して衰退を防ぐのが好ましいと言っているように聞こえるが、そもそも衰亡論が誰のための議論なのかがすっぽり抜け落ちている。仮に国家が全体として繁栄しても、大多数の一般市民が犠牲になるのならまったく意味がない。
    おかしなことを言う人だと思って経歴を見てみたら、石原や安倍の右派政策ブレーンか。こいつらの言う「美しい国」とはそういうことなのね。納得。
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    投稿日:2021.06.20

  • まさきち

    まさきち

    江戸時代のお蔭祭りというものでガス抜きをして江戸は続いていたという話が印象深い。
    また、中国はアジアではなくヨーロッパに近いという感覚を持っているというのは意外だった。たまからこそアメリカとも本質的なところでつながっているのかと続きを読む

    投稿日:2020.06.25

  • パンダの眼は何かたくらんでる

    パンダの眼は何かたくらんでる

    再出版されたんですよね
    それでも、もう時評ですらも忘れられて。
    内容的に今現在でも斬新と言いますか、歴史の繰り返し
    を突きつけられてオドオドするしかなかったですね。

    投稿日:2019.11.13

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