【感想】夜の脅迫者

西村京太郎 / 祥伝社文庫
(2件のレビュー)

総合評価:

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  • おじまゆうや

    おじまゆうや

    ○暗い暗い(西村氏には珍しいくらい)えぐってくる話をまとめた短編集。6編収録。
    「危険な若者」
    冴子は、松崎という人気役者を抱えるプロダクションの社長。そこに瑛一が入ってきた。松崎が売れっ子になり天狗になっていくと、なぜか付き人の健治が会社を辞めた。そしてそこの穴を瑛一が埋めるという。
    さらに、松崎が警察に連行され、そのスターの穴を瑛一が埋めるようになった。冴子は不審に思いタレこみの電話を取ると、真実が・・・

    「ある男の肖像」
    マスコミの帝王・沢木信介が死んだ。出版社を経営する田代は部下に、田代の私的なブラックな部分の伝記を書くことを提案する。不思議に思う部下たちだったが、その頃謎の手紙が投かんされた。それを読むとそこには・・・

    「脅迫者」
    ある会社の営業部長・安田が、行きつけのホステスを乗せて運転中、男を轢いてしまった。幸い軽傷だったが、実は同じ会社の部下・松崎だった。松崎からは暗に昇格させろと脅され、その通りにした。その2年後、再び同じく脅された。今度は行きつけのホステスだった女がしゃべったらどうなるか、と言ってきた。その女を問い詰めてみると・・・

    「電話の男」
    頭痛で会社を休んだ俺は、奇妙な電話を取った。どうやら妻の文子が浮気をしている相手らしい。どうりで最近冷たいと思った。その男が文子を呼び出した場所へ行ってみると見事に会うことができたが、殺されそうになったので殺した。そして別れようと思い文子を問い詰めると・・・

    「優しい死神」
    週刊誌の記者加倉井と京子は、高級マンションを購入した土田昭子の取材をすることになった。その直後、2日連続して周辺の人間が死んでしまう。怪しいと思った加倉井たちはもう一度土田の周辺を調べてみる。すると襲われてしまい、気付いた加倉井たちは・・・

    「めでたい奴」
    刑務所から出たばかりの三木と安田は、せめて年越しくらいはいい暮らしをしたいと盗みを企てようとした。そこに偶然、土管の中に金がありその金で奥伊豆に行くことになった。泊まっていた部屋に急に女が乗り込んできたが、翌日警察が来て、実はその女は・・・

    どれも読みごたえ・悶えがいのある短編でした。
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    投稿日:2016.05.13

  • ニコル

    ニコル

    ノンシリーズの短編集。
    ミステリーというよりはサスペンスで、どれも不気味な捻りのある物語です。

    【危険な若者】人当たりの良い好青年が、徐々にどこかずれてくるのが怖い。何が悪いと指摘できない漠然とした不安感が膨れ上がります。
    人としてどこか欠けている彼が、他人の心の一端に触れたところで身を滅ぼす演出が上手いです。

    【ある男の肖像】マスコミに権力を持つテレビ局社長が逝去。その途端不審な行動を起こす小さな出版社の社長に過ぎない男・田代。同じマスコミとはいえ、まったく接点のなさそうな二人の男の間には何があったのか。
    気味が悪い田代の言動ですが、その理由が明かされてからラストに至るまでがとても切ない。田代が最後まで真の胸の内を見せないところも哀愁漂います。ミステリアスで渋い余韻のある一編でした。

    【脅迫者】この程度の脅迫ならどうにかないそうなんですが、ジワジワと低姿勢で迫る男が不気味。
    敵とキーパーソンがタッグを組んだ絶望感は良かったです。

    【電話の男】妻の不倫疑惑から、ついには殺人にまで手を染めて狂気に転がり堕ちていく男の哀しさと恐ろしさ。と思わせておいて、最後にタイトルに沿った捻りをこういう形でもってきたのは面白い。実に真っ当であるが故に意外な結末。

    【優しい死神】豪奢なマンションで相次ぐ不審死。入居者がいなくなり幽霊マンションと化していく様や、それでも住み続ける謎の美女などホラーな雰囲気がとても良いです。オカルトな真相になったのにはびっくり。

    【めでたい奴】刑務所を出所したばかりの、小悪党で情けなくも憎めない男二人の珍道中。
    突如舞い込んだ大金、ミステリアスな美女となんだか楽しい。人情味あふれる洒落た小噺でこういうのは好きです。
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    投稿日:2015.04.22

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