【感想】ニューヨーク1954

デイヴィッド C テイラー, 鈴木 恵 / ハヤカワ文庫NV
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 縹リツ

    縹リツ

    刑事のコンビもの作品として何処かでオススメして下さった方、コンビものには思えなかったけれど面白かったです。ありがとうございます。

    相方はいるけれど主人公キャシディ単独、もしくは家族の印象のほうが強かったです。
    このシリーズは原作では続いているようですが、このまま日本では出版されないんでしょうか。個人的に今作の邦題を「ニューヨーク1954」にして”Ngiht”で続けてる次作の邦題はどうするんだろうと気になります。

    キャシディが魅力的だったので何より次作が読みたいです。
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    投稿日:2021.11.18

  • saigehan

    saigehan

    昔の復刻版と思ってたのが、ごく最近書かれた作品と気付き、驚いた。もう、全然当時の雰囲気。ブルボンのお菓子工場でハイテクに効率良く生産されるのが現代の作家で、この人のは、孫達が来るから笹団子つくろ。誰も喜ばないけどな、とよもぎを積みに行く老婆のしたりがおが浮かぶ。具体的に言うと、昔の人にはスタイルがあった。気に入りのシェーブローションを頑なに使い続け、店にその人が入って来たら「あ、来たな」と存在が解る。
    クールな文体なんだけど表現がいい。特に前半の人生とは、という説明が粋でなあ。内容は事件で人が殺されるよ。
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    投稿日:2019.08.28

  • シュン

    シュン

     これは昨年末に読んだ本。先日読了したダグラス・ケネディ『幸福と報復』で、全米を襲ったマッカーシーによるレッド・パージ旋風と、その渦中で赤狩りの犠牲となる人々の細微に渡って綴られる悲劇に接し、過剰なまでの弾圧の実態を覗くことになった。本書はその同じ時代を警察小説という形で描いている。よりエンターテイメント性が強く、よりバイオレントな、いわゆる今どき映画風な小説として描かれている。著者デイヴィッド・C・テイラーは20年以上に渡って映画やTVの脚本家として活躍してきた人なのだそうだ。納得。テイラーの父親は名作『麗しのサブリナ』『めまい』の脚本家でもあるということだから、父子に継承されている血でもあるらしい。

     繰り返すが、『幸福と報復』は本質的には恋愛小説でありながら、赤狩りの実態については過酷なまでなリアリティで描かれていた。本書は、同様の社会的問題を突き詰めた小説というのではなく、ある警察官の日々と捜査とそれが作り出す荒っぽいアクションを、スリリングに描いたクライム・ノワールである。読んでいて言わば、映像的に翻訳しやすい小説と言える。

     早川書房が、警察小説なのに文庫化に於いて通HM(ハヤカワ・ミステリ)ではなく、NV(ノヴェル)に分類しているのも、謎解きミステリの側面よりも、アクションやドラマ性に主軸を置いた作品として楽しんでほしいと判断したのだろう。

     作中各所で起こる暴力の現場に必ず登場する謎の暗躍コンビが名前付きで登場するにも関わらず巻頭のキャラクター表に名を連ねていないのが気になるが、これも編集者の意向で最後まで読者を煙に巻きたい趣向の一つかと思われる。

     また、法の側と無法の側が善悪という意味では区別できぬくらい混沌し過ぎているのが、どこかジェイムズ・エルロイの一連の警察ノワールを感じさせるが、本書も同様にどちらの側に所属するのかわかりにくい登場人物が多い。しかし主人公の刑事マイケル・キャシディを軸に組織内外の暗闘は割と迷いなく読み進むことができる。

     全体的に犯人捜しというより、殺人や謀略の理由を探る目的でキャシディは動く。諜報機関や大物政治家の暗闘を匂わせる中で、キャシディが颯爽とタフに動き回り、時にはまずい場所に引きずり出され、危うい瞬間に巻き込まれ、これも個性的ではみ出し系ヒロインである溶接工ディラン・マッキューとのハードなラブロマンスに落ち、国政冒険活劇という辺りまで風呂敷を広げてゆくこの小説世界は、古い時代を新しくさえ感じさせるなにがしかのエネルギーに満ちている。

     ネロ・ウルフ賞受賞作品。ネロ・ウルフ賞はミステリに与えられる賞であり、本国ではやはり大枠でミステリ扱い。主人公マイケル・キャシディ続編ももう出版されているそうで、邦訳が待たれるところである。
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    投稿日:2019.03.07

  • やすお

    やすお

    赤狩りが横行する米国で、ニューヨークの刑事であるキャシディが、拷問の果てに殺害された男の捜査にあたる。FBIやCIAの横槍が入る中、捜査から外されたにも関わらず捜査を続行する。家族も巻き込まれながらも、大きな醜聞が背景にあることが分かる。

    この作品はミステリーであり、ハードボイルドでもある。キャシディの行動は一本筋が通っており、事件を解決する信念は確固たるものがある。キャシディに絡む女の存在やウイスキーを飲むシーンが作品のハードボイルドらしさに華を添える。とても“らしい”作品であり、映像を頭に浮かべながら世界観に浸って読むのが良い。残念なのは、キャシディに特殊能力が備わっているものの、中途半端で都合よく使われたこと。不自然さを感じた。
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    投稿日:2018.04.16

  • yanishmagic

    yanishmagic

    う〜む、極めて米国っぽい物語、しかも1954年というある意味中途半端な時代性がとても効いている。あ〜米国もそういう時代だったのだなぁと。
    全編に漂うNY 夜の街はとても心地よいし、あの時代のいろんな要素が絡み合ってとても刺激的快感。続きを読む

    投稿日:2018.02.13

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