【感想】児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

杉山 春 / 朝日新書
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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ブクログレビュー

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  • 鳩摩羅什

    鳩摩羅什

    タイトル通り、虐待に詳しいルポライター杉山春の考察がまとめられた本書。子どもを死なせてしまった親の実像から社会のあり方まで様々な考察が収録されている。先日読み終わった森達也著『U』と同じテーマが含まれている偶然に驚いた。
    あるシングルファザーはアパートに子どもを閉じ込めて働いていた。その末に死なせてしまうが、その後7年間家賃を払い続けていた。彼には知的障害があった。IQ69は境界知能より低いが、仕事はこなしていた。それを根拠に「子どもの死を予想できたはず」として長い懲役刑の判決が下った。
    そこにはマスコミと裁判員制度の問題が絡んでいる。マスコミが虐待に対する市民感情を煽る。虐待死させた親は「鬼畜」(石井光太著『「鬼畜」の家』)とされる。それを背景に、虐待に対する厳罰化が進んでいる。それを加速させているのが裁判員制度だ。裁判員にはレッテルを貼った説明が分かりやすい。「残酷な親」というレッテルが裁判員の感情を揺さぶる。
    虐待は親子という最小単位の問題だが、家族の問題でもある。そしてそれは、地域の問題であり社会の問題でもある。ゆえに、本書は様々な話題に展開していく。大変勉強になる良書であった。
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    投稿日:2023.04.22

  • takaida1983

    takaida1983

    このレビューはネタバレを含みます

    2章までは稠密な取材、調査を経た内容で納得しました。しかし、3章から突如満蒙開拓団の話になり、日本の家族観が虐待の要因になっているという展開は唐突観が否めません。
    他の国でも虐待は起こっているのに、要員をそこに求めるのは無理があるかと思いました。

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    投稿日:2022.05.15

  • Kanako

    Kanako

    ルポ虐待を読んでからすぐ拝読。
    苦しい話だが、ただただ感情的な個人の悲しい 目を背けたい事件 で終わらせず、背景や物語を丁寧に伝えてくれる。
    いま、自分が生きるために食事の準備をしたり栄養を考えたり運動したり、誰かと一緒にいきようとしたり、ペットのお世話をしたり、保育士になったり。それらは"普通のレール"かもしれない。けどそのこちら側の普通は、向こうにとっての"知らなかった生活"な場合もあるのだと。そうした若者が、小さい時にアタッチメントのなかった子どもが歳を重ね性に出会い親になっていく。
    社会の仕組みや戦争時代のレポートを含めた聴取や、何より孤児を出さないことが虐待防止になると知った。フィリピンの在留孤児についても学びになった。
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    投稿日:2021.10.15

  • yoshsa

    yoshsa

    TV番組で杉山春さんを知り、読みました。
    虐待ニュースを見聞きするたびに感じた何で?どうして?に答えてくれた本。

    投稿日:2021.05.31

  • 1477730番目の読書家

    1477730番目の読書家

    児童虐待のニュースを目にするたび、自分のことのように感じる。逮捕される親を映像で見るたびに、違和感を感じていた。
    私も3児の母だが、虐待をして逮捕される親と、自分との違いは何なのか。そんな疑問に答えてくれた本だった。続きを読む

    投稿日:2021.02.28

  • 1491201番目の読書家

    1491201番目の読書家

    国家の方針が基盤にあることを実感した。戦時中も現在も法律によって大きく変わる。法律の中で動いていることを思うと、子どもの権利条約や改正された法律を学ぶ必要がある。

    投稿日:2021.02.21

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