【感想】じぶん・この不思議な存在

鷲田清一 / 講談社現代新書
(85件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
16
21
25
4
2

ブクログレビュー

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  • 頼む

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    古代ギリシャ、ソクラテスの時代には存在していた、「『わたし』とは何か」という問いに、易しい言葉で切り込んでいく、哲学的思考の入門書。

    「わたしたちは普通、成長するということは様々の属性を身につけていくことと考えているが、ほうとうは逆で、年とともにわたしたちはいろいろな可能性をうしなっていくのではないだろうか」とは、宮崎駿先生も言っていた。
    「わたしがだれであるかということは、わたしがだれでないかということ、つまりだれをじぶんとは異なるもの(他者)とみなしているかということと、背中合わせになっている」とは、ソシュール先生の一般言語学講義に似ている。
    「『自分らしさ』などというものを求めてみんなはじぶんの中を探し回るのだが、実際わたしたちの内部にそんなものがあるはずがない。」とは、内田樹先生も言っていた。
    色々な本の中で繰り返し語られることによって、これらの考え方に対しては、ずいぶん慣れてきた。そして、鷲田先生の言葉は平明で、それらの考え方を振り返るのにちょうど良かった。

    私にとっての「自分」とは、「他者の他者」としてしか認識できないのであるから、その答えは、他者との関わりの中にしか見えてこない。自分の他者性を理解してれる他者を見つけて、そのような複数の他者との関わりによって、「自分」の輪郭はぼんやりと見えてくるのかもしれない。

    ところで、僕はそんなに、自分を知りたいと思っているのだろうか。
    こんなおぞましい者の輪郭を、そんなにくっきり見たいとは思わない。
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    投稿日:2024.02.26

  • 芳の

    芳の

    自分って細かいこと気にしすぎなのかな?と自分の性格に悩んで買った本。「だれかのためにお茶をいれる」ただそのことが、これほど難しいこととは思わなかった。無理せず自分らしくあることは素敵なことだけど、それを追求しすぎて辛くならないようにしたい。続きを読む

    投稿日:2023.10.15

  • オモテ

    オモテ

    言われてみれば、体の内部で何が起こってるかわからないし、自分の背中なんて見たことないし、自分のことって思ったよりも分からないものだなと思った。

    投稿日:2023.09.24

  • あがり

    あがり

    自意識についての考察は古今東西、多くのものがある。本書も同じ。ただ現代の大学生あたりの境遇に則して平たく解説されている。

    筆者の感覚、感情が突飛な感じで次々に記載されており、読みにくいし、余計ではないか。

    新たに得るところなし。

    読了25分
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    投稿日:2023.07.06

  • つー

    つー

    自分探しといった簡単な話ではない。自分という存在、自分という何かの定義を考える事になる。人は誰しも自分て何者なんだろう、自分は必要なんだろうか、自分の存在価値について考えてしまう時がある。大体は仕事やプライベートで心配事ができた時にそういった感情に苛まれる。また、おかしな夢を見た朝も同様だ。夢の中では少なくとも自分の記憶のない場所でほとんど話したことの無いような学生時代のクラスメートや仕事で関わった人が現れて一緒に過ごしていたりする。一体全体何故?という不思議な気持ちがその日1日を支配する。
    そうした時に他人と自分の関係性について暫く考え込むし、そもそも自分が何かについて考え始めてしまうのだ。答えは簡単。自分にも自分はわからないくらいだからハッキリとした答えは無いという事だ。
    本書はこの自分という謎について他者との関係性によって成り立つ存在として捉える。他社から自分がどのように見られているか、例えば頭のいい人、スポーツができる人、読書が趣味、優しいなどの内面的なものといった属性的なもので形造られているものとする見方。また外見的な見映えや男性女性といった人としての形などもそうだろう。それらに程度の差こそあれ、他人と自分のを比べた際に出る差異が自分であると言える。あくまで他人の他人(他人からすれば自分は他人)として存在する実体である。自分が如何に内面的にどの様な存在として考えてもはっきりとした輪郭が見えないのは、この他社から見た自分が人それぞれに違ってくるし、自分の考えとも異なるからである。悪い印象なら自分で改善しようとするし、良い面ならもっとその様な人物像に近づこうとするから(これがよく言う自分探しの一つではなかろうか)、それにより輪郭がより鮮明になると共に自分の認識へと逆流する様に思える。
    厄介なのは他人が感じた自分の印象が自分のそれとは異なるケースだ。好きでも無い他人から「(自分がその他人を)好きな事を知ってる」と言われたケースを用いて分かりやすく説明するが、このギャップは結末としては悲惨な状況を生み出す危険性を孕む。こういったケースでは激しく自分の自分に対する認識との差異が発生する一方で、自分の確固たる考え(相手を好きで無い)が自分を形造るのに役立つこともあるだろう。いずれにしても他社からの問いかけに対する自分の形である事には変わりない。
    中々自分という存在ははっきり見えないのだが、間違いないのは外見だけ、性別だけ、テストの点だけでは語れない自分がいるのは間違いないし、例え人からどの様に思われても、自分の中に本当の自分はいる事には違いない。結論からすれば他人にも自分にもたどり着けない永遠の謎なのである。
    本書読了時には漫然としない気持ちの一方で、よくわからないなら、楽しく生きればいいか、といった何か開放感に近い感覚で心がフッと軽くなることができる。
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    投稿日:2023.06.11

  • オキ

    オキ

    人は関わりの中でしかじぶんが分からない。人は人生のストーリーを考えては壊すことを繰り返すのだから、予想外は当然ある。このストーリーを語るには相手と文脈を共有している必要がある。

    投稿日:2023.04.01

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