【感想】刑法入門

山口厚 / 岩波新書
(33件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • みなせ

    みなせ

    第1章 犯罪と刑罰とは何なのか
    第2章 犯罪は法律で作られる
    第3章 犯罪はどんなときに成立するのか
    第4章 犯罪はどんなときに成立しないか

    以上が目次。
    普段触れない分野なので、どうしても全て理解するのは難かしい。ただ、目次から分かる通り、刑法を学ぶための基礎的なことが書かれている感じがした。
    本書の内容を元に、実際にどんな判決が下されているか、判例を見て学んでみたらいいのかもしれない。
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    投稿日:2022.02.27

  • だい

    だい

    この本をひと通り読むだけで刑法の総則の大枠が掴めることができ、非常に読んで良かったと思います。

    大学の講義なんかを受けて、刑法総論はすごい哲学的な要素が多いな... と感じ、詳しく理解せずに終わってしまった感じがありました。今回、この本をゼミで勧められて読んでみたのですが、消化不良だったところもすごく分かりやすく説明されていました。
    特に、違法性阻却事由の基準なんかは、期末試験の答案を書く際には困ったらとりあえず書いとけばいいや!のノリで書いていたのですが、本書を読んでスッキリ理解できました。

    先述のとおり、刑法は哲学的な要素(「刑罰とは?」「故意とは?」といった定義を考えるだけでなく、「この事例の場合は、どの解釈をあてはめて、どの罪が成立するのが社会にとって最善なのか?」といった通常では起き得ないようなことまで考える思考実験的なものも含むため)が多分に含まれていると思うので、少なくとも他の法律の入門本よりも読んでて飽きないと思いました。
    また、刑法で問題となる判例は、人間の不完全さが感じられる判例がたくさんあるので、それも飽きさせない理由なのかなと思いました。(例えば、被告人の女性記者が男性官僚と恋仲になって、ホテルで致した後に、国家機密情報を男性が漏らすようにそそのかした行為が国家公務員法に当たるとして起訴された事件なんかは、「この男も、女にまんまと騙されてバカだな〜」と言った視点で見れるのが面白く、飽きないなと感じました。)

    刑法の条文だけが全てでなく、起こった事例に合わせて条文の解釈の変える(その時代の情勢に合わせて変える)立場と、先例を重視して判例解釈を変えない立場の上手な妥協点を見つけて今日の刑法学があると思うと、それを解釈して、判決を言い渡す作業をする裁判所は大変な仕事だなと改めて感じました。
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    投稿日:2021.08.24

  • キじばと。。

    キじばと。。

    現在最高裁判所の判事を務める著者による、刑法の入門書です。

    法律にかんする知識のない読者にもわかりやすいことばで、犯罪や刑罰とはなにかという根本的な問題から、具体的なケースについてどのように考えればよいのかということがクリアに解説されています。

    もちろん、刑法の世界をすこしのぞいてみたいと考える読者にとっても役立つ本ですが、もうすこし腰を据えて刑法の学習をはじめたいと考えている読者にとっても、刑法を学ぶことのおもしろさが実感できる、優れた入門書ではないかと思います。
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    投稿日:2019.05.17

  • モゲラ

    モゲラ

    書名通りの内容ではあるのだが、読んでて楽しい入門書だった。入門でシンプル故に、論理を追う楽しさがあるというか。塾講的な入門書も良いのだが、それではこうは書けなかっただろう。
    山口厚の刑法総論・各論に取り組む前に読んでおけばよかった。続きを読む

    投稿日:2017.09.04

  • snowdome1126

    snowdome1126

    仕事のための読書。
    苦手意識がありこれまで積極的に向き合うことから逃げてきた法律学。
    が、もう見てみぬふりはできない! と観念、いや、一念発起して手に取る。

    岩波新書としては、けっして分厚いほうではない本書。
    平明な日本語で書かれていて、専門用語にはルビがふられ、その説明が本文中にあり、法律学専攻でない身には、こうした配慮が有り難い。
    議論もひとつひとつ、丁寧に重ねられていく印象。
    しかし、やはり一筋縄ではいかない!

    著者の流れるような日本語に油断してつい流し読みしてしまうと、その先で???となって、1~2頁戻ってまた読み直す……というようなことを繰り返し、つっかえつっかえ、2週間以上かけてなんとか読了。
    犯罪や刑罰についての考察は、人の行動や幸せについて考察することであり、つきつめると哲学的な議論になっていくことを、「入門書」だからといって一切妥協せずに書いています。

    とはいえ、これまでいくらウェブ上の簡単な説明を読んでもピンとこなかった行為無価値論と結果無価値論の違いが、本書を読んではじめて腑に落ちた。
    入り口の門と書いて、入門。
    刑法の深い広い世界の、入り口のありかを示してくれる本だと思います。
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    投稿日:2017.01.28

  • mizukanebunko712

    mizukanebunko712

    法学部の1、2年生向けの副読本として、あるいは教養科目として授業を行う場合ならテキストとしても活用できそうに思います。

    筆者は実務家というよりは学者畑の方なので、必ずしも過去の判例や有力説の見解に絞って記述しているわけではありません。
    それだけに、裁判の判決が正解か否かという先入観が強い初学者には、少々戸惑いがあるかもしれません。
    同じ事例であっても幅広い解釈が必要なのが、法律の世界であると感じるには十分な一冊だと思いました。

    あとがきの一言ですが
    「刑法について、犯罪について考えるというのは、そうした問題を、それぞれの世界の論理に従って考えることであり、単に事実を条文に当てはめるというにとどまらない知的ないとなみにほかならないのです。」
    こういう発想ができる人は、法治国家であるはずの日本でもあまりいません。
    一般にこうした認識が広まってほしいと思っています。
    続きを読む

    投稿日:2016.03.05

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