国力とは何か―経済ナショナリズムの理論と政策

中野剛志 / 講談社現代新書
(29件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • aya00226

    aya00226

    グローバル化で、日本はデフレになった。アメリカは民営化されたケインズ主義によって、民間の債務が積みあがってデフレにならなかった。

    人間は将来の予測を正確にはできないので、将来の結果を期待するに過ぎない。結局資本主義は人間の期待に依存しているにすぎない。国際的な資本の移動性が高いと、金融危機が頻繁に起きる。

    民主主義国家のほうが、もっとも強力な国家。
    ルイ14世の絶対王政は、教会や都市ギルドの特権を修正する権力がなかった。民主主義は、法律で規制できる。

    勤勉の動機は利益の追求、ではなく、勤勉が利益追求の動機である。

    国民の意志は政党や議会の議論というフィルターでろ過される必要がある。その結果民衆のナショナリズムが穏健化する。議会、政党、行政組織、政治団体、市民社会など中間組織が存在しないと、民衆の意のままに先鋭化する。それが全体主義。
    戦後のルワンダやブルンジがナショナリズムが先鋭化したいい例。自由民主主義の制度さえ設ければ自由で民主化された社会ができるというのは、甘い見通しだった。

    経済自由主義は、社会防衛的運動の結果、全体主義の原因になる。戦後は、国際経済の自由化にはGATTなどの国家間の協議のおかげで、各国が先鋭化しないで済んだ。

    エマニエルドット=自由貿易は民主主義を破壊する。

    ラーナーの機能的財政=内国債は、国民の負担とはならない。
    国家資本主義=国家がプレイヤーとして市場を支配するシステム=アメリカの姿。
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    投稿日:2019.10.14

  • キじばと。

    キじばと。

    『経済はナショナリズムで動く―国力の政治経済学』(2008年、PHP研究所)の加筆修正版です。

    著者は、東日本大震災によってネイションへの共感、同朋意識が高まったことを受けて、危機を克服するために健全なナショナリズムにもとづく「国力」をただしく理解するべきだと主張しています。さらに、グローバル経済に抗して、経済ナショナリズムの立場からケインズ主義的な政策を擁護しています。

    近年になって、戦後民主主義を牽引してきた丸山眞男は国民国家論者として、また大塚久雄は国民経済論者として、厳しい批判を受けています。他方で、彼らの思想はむしろ保守の立場からこそ、戦後民主主義という現代のわれわれの直下にある「伝統」をただしく継承するために見なおされなければならないにもかかわらず、そうした仕事はいまだ十分になされているとはいいがたいように思っていたのですが、本書が提示する経済ナショナリズムの立場は、こうした問題設定に親和的な立場であるように思われ、個人的にはおもしろく読みました。

    ただ、「国力」によって実現されるべきものはなんなのかという問題への取り組みが欠けている点については、すこし不満を感じます。たとえば丸山は福沢諭吉を評価するにあたって、個人主義者であることにおいて国家主義者であり、国家主義者であることにおいて個人主義者であるところに、彼が理念と現実とのあいだで折り合いをつけようとしていたことを見ようとしていますが、本書における「国力」についての議論からは、そうした問いかけが欠けているように感じてしまいました。
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    投稿日:2018.10.24

  • 国策ピーナッツ工業

    国策ピーナッツ工業

    「TPP亡国論」で知られる著者による、ある種の「国家論」です。

    本書を読んだきっかけは、やはりTPPに関する一連の議論です。財界や経団連が支持する政策はたいてい「強者の論理」なので、わたしはほとんど思考停止的に反対の立場をとります。その思考停止状態のわたしの頭を整理・補強してくれたのが、TPP反対派の急先鋒に立っていた中野氏の議論でした。震災後、TPPの話題がメディアから消えた矢先にこの新書が出ましたので、TPP以外の経済政策に対する著者のスタンスを知ろうと思い、購入しました。

    まず、TPP反対論の骨子である、「比較優位論にもとづく特定産業への集中依存は、社会を不安定にするものであること、また特に農業は工業と較べて生産性向上のポテンシャルがそもそも弱いために所得格差が広がってしまい、ひいてはネイションの分裂につながる」というストーリーを再確認できました。

    また「国家はこれからどっかに雲散霧消してしまうのだ、そのような"グローバル化"時代にわれわれは対峙していかねばならんのだ」、という主張は既に失効している、という著者の立場には同意します。確かにいわゆる「グローバル化」は進んでいる。ただその弱肉強食の環境の中で、適応力の乏しい個人や共同体は生き残っていけなくなり、結局のところ国家の力が召還されているという現実があります。

    それなりに疑問点とか、少し荒っぽいかな、と思った部分もありました。そういったところはわたし自身、いろいろと復習しなくてはならないとは思います。

    例えばこれまで何かと叩かれてきたケインズ主義政策、金融緩和政策がほとんど無批判に受け入れられている点。ここは異論が多いところだと思います。著者は経済学そのものがお好きではないようですので、相手にしないということかもしれませんが。

    それから著者が批判的な「ステイト」の強化に向かうドライブが、結局はナショナリズムに起因するものであること。ここをどう考えるか。ナショナリズムという強力な動機は、著者が肯定的に捉える「ネイション」の強化へ向かう道と、「ステイト」の強化に向かう道、どちらへ進む可能性もはらんでおり、実際のところ世の中のナショナリスト諸氏はどっちも強化しようとしているように見えます。

    そうはいっても、ブレない主張は読んでいて分かりやすいし、特に第5章はいいガイドラインになります。良書と思います。

    (2015/10/03)
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    投稿日:2013.12.27

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    このレビューはネタバレを含みます

    著者のテレビでのコメントなどから興味を持って読みました。

    現在のデフレから脱却し活力を取り戻すために、どうすべきかといった内容をわかりやすく説明した本でした。

    国民の力は弱体化したままなのか、他国にいいようにされてしまうのか

    10年20年先の日本のがどうなっているか、気になりますね。

    読み切るまでにだいぶ期間が空いてしまったので、
    もう一度読み返してみたいかな。

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    投稿日:2013.08.21

  • fmthepooh

    fmthepooh

    TPP亡国論で知って、若者受けしそうな経済学者ということで興味持って読んでみた。「国力」というものをネイション(国民)とステイト(国家)に分けて、ステイトがネイションの利益の為に動いている様を国民国家と呼び、それが国力を構成している、と。ふむ。
    そのステイトが自国民の為に動く主義を経済ナショナリズムと言うのだ!とかとにかく煽動的な単語が多かったw新自由主義に基づく「小さな政府」により地方自治体へと権力が分散することでステイトとしての集中的な機能が果たせなくなっているので、大きな政府に戻して公共事業を増やすべきだ!とかw
    各国が自律していくことで、結果的にグローバル・インバランスが是正されると。要は地に足をつけた国民生活目線の経済政策を、でもそれを行うのは中央権力で、金を落とす先は国内で、まずはネイションを保護することから、ということかな?相変わらず経済のコラムはよく分からん。
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    投稿日:2013.05.26

  • あるふれっと

    あるふれっと

    経済ナショナリズムという新たな視点を提言。相変わらずの独特の説得力で、引き込まれてしまう。日本の強みと弱みをよく考えられた面白い考察。読んでみて下さい。

    投稿日:2012.12.27

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