【感想】樹脂

エーネ リール, 枇谷 玲子 / ハヤカワ・ミステリ
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
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8
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ブクログレビュー

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  • ハイイロ

    ハイイロ

    読み終わったというか脱落しました。
    なんていうかヨーロッパ北部の小説でときどきこういう本にあたる。とりとめなく、不穏な不気味な雰囲気が始終漂い、不気味さではなくとりとめのなさに疲れる。描き出される演出ではなく作者自身やその文化的なものにどんよりした固執を感じてすごく疲れる。厨二病とかじゃなく本物の病的さみたいな。
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    投稿日:2023.12.16

  • bukurose

    bukurose

    デンマークのある地。地峡でつながった「頭」(ホーエド)にすむ私リウ。家族はお父さん、お母さん。そして双子の弟、お祖母さん。地峡は狭い面積でつながったところ、ということらしいが、その「頭」にはリウ一家しかいない。が、ちょっと行けば小集落はあり、さらに船で行けば大きい町もあるようだ。そこで語られる父母、祖父母、父とその兄、の樹木の中の物語。

    とっぴょうしもない設定と物語なのだが、針葉樹の中で自然に溶け込んで、さらには溶けてゆく? 父と娘の姿に引き込まれる。父に恋した母だったが、やがて巨大に太って身動きがとれなくなる。巨大な母とその最期がちょっと「ギルバート・グレイプ」を思わせる。


    2015発表 デンマーク
    2017.9.15発表 図書館
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    投稿日:2023.06.12

  • 湖永

    湖永

    このレビューはネタバレを含みます

    不気味な…とても不気味で恐い。
    デンマークの僻地に住む一家族の物語。

    双子の弟は死んでいて祖母のせいだと父は思っている。
    クリスマスに父は祖母を殺す。
    母は、まったく動かなくなり巨大化していく。
    父と娘は町へ出ては盗みを繰り返す。
    学校も行かず死んだことにされる娘。
    ゴミ屋敷化していくその家のそのあとは…。

    もう、閉塞感しかない家で希望だとか夢だとかはいっさいないのが、ある意味凄いとしか言えない。
    樹脂の意味を考えてしまったほどに…。



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    投稿日:2023.05.17

  • fukayanegi

    fukayanegi

    このレビューはネタバレを含みます

    よもや2作続けての父親の狂気を題材とする物語を読むことになるとは。

    デンマークのとある島のそのまた離島、”頭(ホーエド)”の奥地に世間から隠れるように暮らす一家。
    クリスマスイブに父親のイェンスは娘リウの目の前で祖母を枕で窒息死させ、庭で焼いてしまう。
    「闇は痛みを取り去るから大丈夫」と早速の狂気を見せつつもリウはそれをすっと受け入れている。

    なんなの!?この不穏さ。
    サイコファミリーの話か?と思うも、リウの反応は他者との関わりが極端にない世界で生きてきたが故の素直さによるもの。
    父のイェンスが、これでもかというくらい心の平衡を失っていく物語。

    どんなものにも価値があるという信念から、家の中はところ狭しとガラクタが山積まれていく。
    一方、母親のマリアはかつての美しき面影を失い、どんどんと大きくなっていき、しまいにはベッドから動けなくなってしまう。
    そんな閉塞感たっぷりの狂気の家庭で、人目から隠されるように(実際死んだことにされてしまう)育てられる、というよりもはや一緒に暮らしているだけのリウ。

    とある迂闊なリウの行動をきっかけに”頭(ホーエド)”での暮らしに外界から注意が向けられることになり、一家のテリトリーに他人が踏み込んでくることに。

    そこで描かれる、それまで内部目線からの語りだったちょっと不穏な家族の生活を、一転、外部から一家の異様なまでの暮らしぶりとして見せつける対比に、とてつもないグロテスクさを感じた。
    狂気からの救済の物語なんだろうけど全編を覆うなんとも言えない歪みにより、モヤモヤ感残。

    『殺人者の顔』、『ミレニアム』、『冬の灯台が語るとき』、『猟犬』など数々の北欧有名作が受賞している「ガラスの鍵」賞受賞とのこと。
    ごめんなさい、正直ちょっと冠負けしているかな。
    独特ではあったけどね。

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    投稿日:2022.12.10

  • ふころぐ

    ふころぐ

    閉鎖され、破綻に向かう家族の中で、力強く生きる少女の物語。グロテスクな表現もあるが、自然に逆らわない生活には考えさせられる部分も。終盤はハラハラさせられるが読後感は良い。

    投稿日:2022.08.11

  • ゆめこ

    ゆめこ

    このレビューはネタバレを含みます

    内容自体は面白いと思うが、訳のせいなのかもともとの文章のせいなのか読みにくく感じてしまった。
    外の世界を全く知らない子供を可哀想だと思う反面、親子には愛情と信頼関係はあったのでただのネグレクトとも違う。そんな親子関係の描き方は上手いと思ったが、カールのことやイェンスの兄など、もう少し深く描いて欲しかった。
    樹脂についてなんて初めて聞いたので、もうちょっと読みやすかったらすごく興味深い作品だったと思う。

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    投稿日:2021.05.02

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