【感想】日本人のための平和論

ヨハン・ガルトゥング, 御立英史 / ダイヤモンド社
(3件のレビュー)

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  • 上之たくみ

    上之たくみ

    「平和学の父」と呼ばれるノルウェー出身のヨハン・ガルトゥングの著作。
    平和の大切さを訴える抽象的なものではなく、日本がより平和主導の国になるための具体的な方途が提示されている。
    例えば。
    日本の外交をさらに良くする4つの提案。
    ①領土の共同所有
    ②東北アジア共同体
    ③専守防衛
    ④対米従属からの決別
    特に①と④をガルトゥングは強調する。

    ①「私たちは、尖閣(その他、北方領土等に言い換えても同じ)を日本と中国のあいだの緊張の原因とするのではなく、平和を生み出す地にしなくてはならない。島の領有権をめぐる対立を、平和のために両国が協力する拠点となるように、天が与えてくれた贈り物と考えるべきなのである」(P.61)

    ④「今日の日本を見ると、いまや創造力も勇気も見る影はなく、ワシントンから聞こえてくる主人の声に従うという態度が蔓延している。国の独立と外交政策における創造力は足並みを揃えて進む。それこそが、日本が米国から独立しなくてはならない理由である。もし日本が米国の束縛から自らを解き放つことができれば、持てる創造力と勇気を――こんどは戦争のためではなく平和構築のために――解き放つことができる。そうすれば、対等な立場で米国と良好は関係を結ぶことができ、平和実現のために独自の外交を展開することもできる」(P.211)

    アメリカから日本が離れることができたとき、日本の外交は創造的に勇気あるものになっていく。先生の第二の七つの鐘「東洋と世界の平和の基盤を築く」に近づいていく。
    今、アメリカの世界における影響力は、昔よりは小さくなっている。日米の関係性を今一度、見つめ直す時が来ているのではないか。

    平和は到達点ではなく「プロセス」と。不断の変化によって、最善策を生み出し、平和を構築していきたい。


    〈引用〉
    ■平和も戦争も人の心の中に
    (1989年、「暴力に関するセビリア生命」の最後の一文)
    戦争が人間の心の中で起こるように、平和もまた人間の心の中で起こる。戦争を生み出した人間は、平和を生み出すこともできる。戦争も平和も責任は私たち一人ひとりにある(P.169)

    ■沈黙や嘲笑を恐れない
    (新しいビジョンが受け入れられる「ショーペンハウアーの4段階」を通して)
    何かを実現したければ、まずビジョンを提示しなくてはならない。そのビジョンは、沈黙や嘲笑によって迎えられることで、実現のための順番待ちリストに書き込まれる。紛争調停人である私の仕事は、そんな新しいビジョンを提示することだ。あなたにも勇気をもって自分自身のビジョンを提示してほしい。(P.213)
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    投稿日:2023.07.19

  • 晴川雨読

    晴川雨読

    著者のヨハン・ガルトゥング氏は「平和学の父」と呼ばれているそうです。
    「平和の父」ではないのがミソですね。机上の学問で何の役に立たないばかりか害悪です。

    「力頼みの安全保障によって平和を得ることはできない。平和によって安全保障が得られるのだ。」とか、はあ?何言っての?というレベルのもの満載です。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/478741425.html
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    投稿日:2020.12.13

  • hana

    hana

    平和を実現するための代替案の提示。アメリカとの新しい関係、そして二つのチャイナ二つのコリア、ロシアとの関係改善について。この分野で、感情論にならずに代替案を示してくれることって稀有なのでは。
    ヨハン・ガルトゥングさん、他の本も読んでみたい。続きを読む

    投稿日:2018.09.15

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