【感想】漱石と三人の読者

石原千秋 / 講談社現代新書
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • aqua

    aqua

    このレビューはネタバレを含みます

    弟子たちとの空気感、新聞連載の読者を飽きさせない工夫や、世間の流行、ライバル社の小説を意識していたりと、今の読者が作品をただ読んでいるだけでは知り得ない情報・考察が書かれていて大変興味深かった。
    私の好きな『門』は読者をあまり意識していないと考えられているようで、苦笑した。そんな力無い文字しか書けないような状態で仕上げた作品だったとは。
    『三四郎』の美彌子と野々宮の隠された物語の話が特に面白かった。
    これらを踏まえた上でもう一度漱石を読み直したら、また違った感想を持つのかもしれない。普段とは違う読書の楽しみを得られそうだ。

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    投稿日:2023.10.10

  • nyankoteacher

    nyankoteacher

    151107 中央図書館
    漱石テクストへの没入スタンスが伝わってくる。いまなお「国民的」作家という「記号」として漱石は語られるが、実際の読者は甚だしく減少しているに違いない。特に漱石が生きた時代背景「近代」が、21世紀のフツーの若い読者にとってみれば、どうでもいいことであり、漱石の小説に惹かれるとは思えない。
    『三四郎』、『虞美人草』、『こころ』を取り上げて、漱石が読者として想定していた層がどういうものか、という視点から、当時の時代背景も踏まえて漱石が何を書こうとしたか、を一般の近代日本小説ファンにあてて解説したものといえる。
    巻末の漱石全小説の「あらすじ」は、さすが。こういうふうに要約するのか!
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    投稿日:2015.11.07

  • 鴨

    「三人にだけ伝わればいい」――。新聞小説家・夏目漱石が、小説を核に際して意識した読者像に焦点を当てながら、初期三部作・後期三部作、未完の『明暗』までを辿る。巻末に全小説のあらすじを掲載。
    第一章・二章では漱石の読まれ方及び当時の「小説」の扱われ方を概観、漱石が常に「書くこと」に対して意識的だたことを見。三章以降は、漱石の作品を通じて誰が「読者」として想定されていたのかを作品別に読み明かしていく。
    『虞美人草』で想定していた反応と実際の読者の反応にずれがあったことを踏まえ、以降の小説に「死角」を入れるようになったという点が印象。また、後期三部作は新聞連載→単行本という発表方法をとっていたが、連載時と単行本の読者が別に想定されており、それぞれの読み手に対して物語が用意されていたのではないかという点が面白い。
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    投稿日:2013.08.25

  • ぽしゅら

    ぽしゅら

    このレビューはネタバレを含みます

    自分自身の文学知識の無知に嘆き
    漱石の小説家としての試みに賞賛を送り
    それをみごとに読みといた石原千秋先生への
    敬意を表した一本でした。


    これは漱石一通りよんでから、また読みたくなる本です。

    また、漱石が生きた時代背景に関してもしっかり述べられているので、明治の文学史を漱石を基準に知りたい人にもお薦め。

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    投稿日:2013.04.01

  • hodakasan

    hodakasan

    漱石がだれを意識して作品を書いたのか。その対象が新聞読者、単行本読者ではねらいが違うということを明らかにしようとする。漱石の専門家が分かりやすく解説する。石原千秋は現在早稲田大学の教授であるが、精力的に執筆活動をしている。他に『「こころ」大人になれなかった先生』(みすず書房2005新書じゃありません)、『百年前の私たち―雑書から見る男と女』(講談社現代新書2007)、『未来形の読書術』(ちくまプリマー新書2007)続きを読む

    投稿日:2013.01.22

  • bax

    bax

    [ 内容 ]
    小説は実験である。
    あなたは漱石のたくらみを知っているか。
    漱石がわかる。
    小説がわかる。
    近代がわかる。
    画期的な入門書。

    [ 目次 ]
    第1章 夏目漱石という文化
    第2章 小説と格闘した時代
    第3章 英文学者夏目漱石と小説
    第4章 『虞美人草』の失敗
    第5章 『三四郎』と三人目の読者
    第6章 『こゝろ』と迷子になった読者
    第7章 まだ見ぬ読者へ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]
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    投稿日:2010.12.13

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