【感想】ソビエト連邦史 1917-1991

下斗米伸夫 / 講談社学術文庫
(9件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • zoologic

    zoologic

    レーニンからゴルバチョフまで。二次大戦期に外相を務め、スターリン時代のNO.2でもあるモロトフを軸としてソビエトの始まりから終わりまでが書かれてる。よく分からないところもあったけれど、ソビエトの社会主義とはなんだったのか改めて考えさせられた気がする。続きを読む

    投稿日:2024.04.11

  • DJ Charlie

    DJ Charlie

    御近所の書店が閉店するというその日に立寄り、眼に留めて求めた一冊であった。ゆっくりと読んだ。
    随分と以前から関心を寄せている事項に纏わる本ということにもなる。主に“政治史”ということで、「ソ連」が辿った経過を振り返る内容である。
    ヴャチェスラフ・ミハイロヴィチ・モロトフ(1890-1986)という人物が在る。「モロトフ」は、「レーニン」や「トロツキー」や「スターリン」と同様、往時の革命家が使っていて、そのまま通称として有名になった“ペンネーム”である。本名はスクリャービンというそうだ。
    近現代の歴史に関心を寄せる方であれば、「モロトフ・リッペンドロップ協定」という、第2次大戦の前のソ連とドイツとの間の密約という話しを耳にしているかもしれない。この話しに出て来るソ連の外務大臣がモロトフである。
    モロトフは、ペンネームを通称として使い続けたことが示すように、革命が成る以前からのボリシェヴィキである。党の仕事や政府の仕事を手掛け、スターリンに近い幹部として要職を歴任した。フルシチョフ時代になって党を離れ、やがて1984年に復党する。そしてゴルバチョフ時代に入った1986年に96歳で他界している。
    本書はこのモロトフを“キーマン”と位置付け、彼が関与した事案等を軸に据えながら、「ソ連」が辿った経過を振り返る内容である。
    極々大雑把に顧みる。
    ロシア革命の後、第1次大戦の後始末や内戦というような状況が在りながら、レーニンを指導者として体制が構築されて行く。レーニンが逝去した後、スターリンを中心とする流れと、その他の流れとの抗争のような情況が在って1930年代に入って行く。
    1930年代には農業集団化の件等、実に色々と在って、やがて第2次大戦の時期に進む。戦争を乗り切った後、国際政治の様々な動きも在るが、やがてスターリンが逝去する。
    以降、スターリンに近かった人達が排され、フルシチョフの時代に入る。そしてフルシチョフはブレジネフに追い落とされてしまう。やがてブレジネフの下で「停滞の時代」になる。
    ブレジネフが逝去した後は、アンドロポフ、チェルネンコと何れも短命政権であった状態が続き、1985年にゴルバチョフが登場する。
    ゴルバチョフの下での動き、「上からの革命」が「下からの革命」の挑戦に晒されるような状況、ソ連共産党の維持することや、連邦体制を維持することが困難になり、ソ連の旗は1991年に下ろされてしまう。
    こういうような大雑把な流れに関して、様々な事柄を挙げて掘り下げているのが本書だ。
    現在、ソ連の旗が下ろされてから30年余りということにはなる。「ソ連の歴史」を振り返ると、バルト3国とソ連後の12の国々が成立して辿る経過、ソ連が旗を下ろすようになって行く頃の「色々と在った…」または「課題を残し過ぎた?」ということが在って、それ故に「昨今の様々な問題」も生じているのかもしれないというようなことを思った。
    「30年余り」というのも“微妙”かもしれない。本書の終章辺りに綴られている、1980年代末や1990年代冒頭の色々な出来事に関しては、極個人的な話しになるが、「自身の人生の中での見聞」というようなことで記憶に留まっている場合も多く在った。そういう情況でもあるが、それでも30年以前と最近とでは、色々な事柄を巡って随分と様子が変わってしまっていることも思わざるを得ない。そういう「個人の人生の中での時間」であると同時に「余りにも多くが大きく変わり得る時間」ということで、30年余りを“微妙”と表現したくなる。
    そういう訳で、「ソ連の歴史」というようなことになると、やや複雑な想いも沸き起こるのだが、それはそれとして「振り返っておきたい事柄」であると強く思う。これもまた「昨今の様々な問題」を考える大事な材料だと思う。
    本書は、最初のモノが2002年に登場していたが、その後の研究成果―ロシア革命の“担い手”というような役割を負った人達に関する事等―を加味して加筆し、2017年に「ロシア革命100年」を意識して改めて登場したモノであるという。「ソ連の歴史」に登場する人名等に不慣れな方に関しては、やや「入り悪い?」のかもしれない。が、自身はその種のモノに少し馴染んでいるので、何か凄く夢中になってしまった。
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    投稿日:2023.07.08

  • jinmin

    jinmin

    多すぎる数の犠牲のうえに存在していたソビエト連邦。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、再度この地域の歴史を勉強したいと思って手に取ってみた。

    現実を見ず、自らの理想を通すための政略だけで動かすには、領土も広大すぎ、人々の考えも多様すぎたのだと、無理に一言にまとめるとそうなるのであろう。続きを読む

    投稿日:2023.01.29

  • y-mitsu

    y-mitsu

    モロトフを軸に叙述するのは、ちょうどその生涯がソ連の誕生から崩壊に至る歴史とほぼほぼ重なる要素もあるだろう。それにしても、ソ連の誕生から崩壊に至る過程はまさに壮大な社会実験そのものという気がする一方、その実験で失われた命はあまりにも多い。
    米ソ冷戦が終結といったニュースを聴いた子供の頃、これから戦争というものは起こらなくなるのだなとぼんやり思った記憶があるが、現代は覇権主義やポピュリズムなどが台頭し、冷戦時の二極から多極化して混迷の度を深めている。未来の世界史の行方が気になる。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.04

  • どらどら

    どらどら

    モロトフを基軸に、ソビエトの勃興から崩壊までを最新の研究成果も交えながらコンパクトにまとめ上げた力作。
    アナクロニズムの連続、そもそも革命政権が肥大化していくことの内包する矛盾が、ソ連の崩壊の端的な理由だと改めて。

    ただ、ソビエト史と共産主義史へのある程度の知識がないと、事実の羅列を追うだけになってしまうので、入門的には使えない。
    スターリンの時期はかなり丁寧に記されているが、崩壊のメカニズムに迫りたい、という個人的なこの本を手に取った動機を満たすものではなかったかな、、

    個人的には、モロトフという着眼はとても面白く、彼の人生こそソ連の歴史そのものだというのはまさしくその通りだと思った
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    投稿日:2021.09.14

  • bluecoat

    bluecoat

    1917年のロシア革命から1991年のソ連崩壊までを、モロトフを切り口に描いた研究書。
    モロトフは
    1930-1941 首相
    1939-1949 外相 (39-41は首相兼務)
    1953-1956 外相
    と、スターリンの腹心として、スターリン存命中も1953年のスターリン死後も
    ソ連の国家中枢にいました。

    1949年以降はスターリンから疎まれたものの、モロトフは1986年に死ぬまで一貫して、
    大粛清ですら"仕方ないこと"とするほどに、スターリン主義者であったそうです。

    読みやすい文章で書かれているので、ソ連の通史を軽く知るには良いと思います。
    なお、もうひとつの切り口である、ロシア正教の古儀式派については、
    まったく知識が無いため、そのアプローチが良いものなのか否かは分かりません。
    続きを読む

    投稿日:2019.02.10

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