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川合康三 / 岩波文庫 (1件のレビュー)
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むらさめ
下巻の中では、李賀の「雁門太守行」が好きでした。 最初に読んだときの強烈な印象が忘れられず、図書館でもう一度借り直して読みました。 戦を終えた城の夜の風景を、鮮烈に描き出す筆致がすごい、というのが…最初に読んだときの感想です。 一行目の「黒い雲の圧力で城が砕けそうだ」という印象的な比喩から、一気に不穏な世界観に引き込まれてしまう。 二回目に読むと、また違う魅力が見えてきました。 例えば五行目の「半巻紅旗臨易水」(力なく半ば垂れた紅旗が易水(川の名前)に臨み……)という描写。 最初の4行には、旗に関する記述は一切出てきません。 なのに、五行目を読んだときには、描かれている旗のイメージがすでに頭の中にぼんやり見えている。 その見えている旗のイメージを、五行目で「すぱーん!」と言い当てられているような感じ。 ものすごく主観的で、読んだ全員がこんな感覚になるわけじゃないと思いますが・・・ とにかく、いつも新しい読書体験をもたらしてくれる一作です。 これが、たったの56文字で表現されているんだから本当にすごい。 最近の言葉でいえば・・・コスパ良すぎです!笑続きを読む
投稿日:2019.10.25
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