【感想】24人のビリー・ミリガン〔新版〕 上

ダニエル キイス, 堀内 静子 / ハヤカワ文庫NF
(18件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
8
3
0
0

ブクログレビュー

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  • ほのか

    ほのか

    多重人格について、知るきっかけになった。
    気づいたら記憶がなくて、勝手に事が進んでるのはどれだけ怖い事だろう。

    投稿日:2024.02.03

  • アラエッサ

    アラエッサ

    このレビューはネタバレを含みます

    人格同士の争いや、他者と各人格とのやりとり中心の話かと思って読み始めてみたら、前半はレイプ事件中心なので、あくまで他者から見聞きして得られた情報のみを記していくのかと思いきや、後半から人格同士の対話が増えてきて、期待どおりの面白さだった。

    ノンフィクションでありながら執筆にあたり、全てが事実通りではなく脚色も入っており、公にされると犯罪として立証されてしまうため伏せられた案件もある(本人の希望を尊重)等の注意書きから始まる。
    そして複数人の登場人物の名前として、人格の名前と簡単な性格などの説明。

    上巻はレイプ事件の捜索からビリーミリガンという人物の登場、裁判にかけての一連の話。
    そして本著を執筆することになったやりとりを挟みつつ、"教師"の登場により改めて、ビリーミリガンの幼少期から順に語られることになる。
    最初の、ほんのちょっとした遊び相手として要したクリスティーンの出現から(既に自分は他者からなぜビリーと呼ばれるのか疑問に思っていつつ、黙って受け入れて過ごしている)、叱られそうな時に肩代わりする聴覚障害のショーンなど、続々と登場する。特に、アーサーが他の人格の存在に気づいて覚醒し続けて声を掛けていったり、人格によって興味を持つことが異なり、それぞれに趣味を見出しているのが面白い。
    そして、精神分裂の一番の影響とも考えられる、母親の2度目の再婚相手チャーマー・ミリガンとの離婚までが上巻となる。
    アーサーのように意識的に覚醒していないと他の人格での行動などを把握できないことや、アーサーとレイゲンが保護者としてタックを組み、自殺しそうになるビリーの代わりに管理すること、レイプ事件は強盗目的のレイゲンとこっそり便乗したレズビアンのアダラナによるものだったということなどなど、話として面白いことばかりで、退屈しなかった。

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    投稿日:2023.07.26

  • ひじり

    ひじり

    『アルジャーノンに花束を』が良かったので。

    私のビリー・ミリガンに関する知識は、多重人格の犯罪者、といったものだった。実際読むまではその”犯罪”は殺人だと思っていた(なぜだ)。
    多重人格という題材はある意味アイキャッチーで、興味本位で書かれたものには食指が働かず、よって本書にも手が伸びなかった。
    ノンフィクションというのもためらった理由の一つだったのだが(現実は救いがないからだ)、本書はまるで小説のようだった。

    一気に読んだ。

    まずはダニエル・キイスは誠実に描こうとしており、私の勝手な先入観とは全く異なり、決して興味本位の本ではなかった。
    執筆のきっかけはビリー本人によるものであり、ビリーが純粋に虐待や多重人格について世間に知らせたいと願ったからであった。担当医からの紹介の通り、キイスはその期待を全うしたと感じる。

    先に”小説のようだ”と書いたが、これはキイスの読みやすさを意図しての手法か、あるいは作家故にこのような表現になったのだろうか。いずれにせよ私にとっては読みやすさの助けになり、良い効果が得られた。

    構成も(あくまで上巻読後時点)、まずは注目の発端となった事件から始まり、理解が進み、クライマックスのような”教師”の登場、そして過去を語る、という、読者を飽きさせないものとなっている。
    ノンフィクションだからと言って事実を淡々と描かなければということはなく、周知を目的としているのならば、読者を飽きさせない方法を取ることは賢明である。そういう意味でもうまく書かれているなあ、という感想。

    表現としては”時間を奪う”がいい。
    比喩ではなく、本人の実際の感覚なのだとは思うけれど。

    ここからは作品自体からは離れてしまうが、多重人格について、個人的な考察。
    統合されると能力が均されるというのが興味深い。人というものは、やはり伸ばそうとすると、様々な能力をある程度かなり高いレベルにまで発達させることができるのかもしれない。ただ機会や興味がないだけで。もちろんビリーが元々様々な能力の素質があるのかもしれないけれど。
    また別人格は自分を守るために出てくるのだと思うが、根底にあるものは自分なのだろうか。
    興味本位な本は食指が、とは書いたが、やはり興味深い症例であることは否めない。
    下巻に期待。
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    投稿日:2023.07.05

  • ギヌソン

    ギヌソン

    自分の心を守るために、人はいろいろな反応をする。多重人格もその反応の一つ。

    空想の人格なのだけど、その一人一人が「人格」と言われるのを嫌うように、それぞれに過去があり個性のある別の人のように思う。実際にどこまで表情や仕草、口調が変わるのかは分からないけれど、訛りはなかなか真似できるものじゃないだろうし、どこで彼はそういったものを習得して一人一人を生み出していったのかと興味がわく。それを23人分も。
    そうまでして守られる、人の心の不思議。
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    投稿日:2022.04.04

  • motoko

    motoko

    面白いです。辛い描写もありますが、心温まる場面や言葉もあります。
    まとめて読む時間が取れず細切れに読んでいるので、最初は第一部が始まる前の『心のなかの人々』を参照しつつ読みましたが、だいぶその頻度が減ってきました。
    後半で、ビリーの中の人々が次から次に他者の前に姿を表す部分はとてもテンポよく面白かったです。彼らが実在した人たちなのか、どこからどうしてビリーの中にやってきたのか、まだ分からないことが多い。ただ、アレンがドクター・ジョージに言った「ドクターが人格たちと言うと、彼らがほんとうにいるとは考えていないみたいに聞こえます」という言葉は印象的で、彼らは確かに「人格たち」ではなく「人々」なのだろうと思えます。
    楽しみに下巻を読みたいです。
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    投稿日:2021.11.17

  • toto

    toto

    「アルジャーノンに花束を」を読み、同じ著者の作品を読みたいと思い手に取りました。
    題名は聞いたことがありましたが、こんな衝撃的な内容がノンフィクションとは信じられないと思いました。別の人格になる事で自分を守らなければ余りにも辛い現実のビリーの運命がこれからどうなるのか、下巻を読みたいと思います。続きを読む

    投稿日:2021.08.07

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