【感想】ターミナルタウン

三崎亜記 / 文春文庫
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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1
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ブクログレビュー

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  • Bookrium

    Bookrium

    三崎作品の中でも最大級のボリュームがある長編ですが、それにもかかわらず最後まで緻密に設計された非常に完成度の高い作品です。
    隧道および隧道士と影無き者が今回の三崎ワールドで産み出された非現実要素であり、また旧都や歩行技師が登場することで他の作品とも緩やかに繋がっている。
    地方都市再生という現実的な課題を取り込むことで物語の非現実性とのズレを巧みに融合させて、違和感なく読者が物語世界に入ることができる。
    個人的には三崎作品の中でもベストな一冊だと思います。
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    投稿日:2023.09.09

  • かなころ

    かなころ

    ま る か わ ( °-° )
    って感じです(笑)
    読めば分かります。
    面白かったのは、「ぞうさん滑り台」「隧道」みたいな世界観です。
    鉄道の名前とか、自治体の名前とか、ややこしいのでそこは読みにくかったですが、日常とファンタジー的なものが混じってる。
    そんなところが好きでした、
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    投稿日:2022.01.18

  • ikezawa

    ikezawa

    かつて鉄道によって栄えた「静原街」
    乗り換え路線の廃止、高速列車が通過する事になり、町は衰退の一途を辿っていった。三崎流町おこし小説。

    三崎亜記さんの他作品に出てくる「都」や本物の象が引退後の職として遊具となる「象さんのすべり台」、人が消える「消失」の現象(今作では列車ごと消える)、有り得なさそうな職業などが登場します。
    現実の中には微妙に現実とは違う「ありそうでないモノ」を散りばめてくるので毎回ネタの濃さ、複雑さにむせ返ってます(褒め言葉)

    衰退した町の復興という題材ではあるものの、物語に配置された要素
    「処置」として影を失った男や、無いのに有るとされているタワー、トンネルとは違う「種」から育てて作り上げる隧道と呼ばれる設備、それを育て上げる職人達など、今回も濃いめです。

    影なき者、新参者、町長、町長と対立する隧道師、類稀なる才能を持ちながら町のために暗躍する若者、そして全てを見つめてきた駅長…
    各章、登場人物一人に焦点を当てて進み、町の過去、謎、現在と未来について少しずつ全体像(鉄道風にいうと路線図)が見えていく構成でした。

    「列車」や「駅」はモチーフとして人々が交差する要素が強くなりますが、交差する中で心の支え(終着)となるような町の姿になっていく過程が描かれているように感じました。
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    投稿日:2021.07.01

  • miyous

    miyous

    この日本ではない州に分かれた日本に、トンネルができる前は種から育てて隧道を作るそんな隧道士が集まる地域での町おこしや秘密のタワーなどこの世界を受け入れるまでに時間がかかったが途中からサクサク読める。丸川君の話が1番面白く読めた。続きを読む

    投稿日:2021.04.07

  • macmarry

    macmarry

    このレビューはネタバレを含みます


    終着駅として鉄道と共に発展してきた静原町。衰退、再興を巡り、町民や元町長、駅長等各登場人物の視点で話が進む。三崎ワールド全開で今回も設定がなかなか。隧道と呼ばれる生きた闇のトンネル、影なき者、見えないが「ある」タワー、鉄道原理主義者。設定に慣れるのに時間がかかるが入っていくと町の興亡に揺れる人々の姿が見えてくる。町の未来を考え、清濁併せ飲む町長の姿にリーダーとして強さと辛さを感じた。町長の犠牲と残された町民の決意の上に町は発展する方向に。駅に捨てられ駅に育てられたという天才丸川も頭がよくカッコいい。

    全ての立場の者が納得できる、不満のない落とし所など存在しない。状況を冷静に見極めたなら大義を達成するために敢えて鉾を収める判断も必要。それは妥協や日和見ではなく、戦略であり、次へとつなげるための一歩。一つの町を束ねる立場に立つ者は、正義と悪、正しいと正しくない、そんな二元論ではどこへもたどり着けない。自らの信念に従って、清濁併せ飲んで進まなければ町民を路頭に迷わせるだけだ。

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    投稿日:2020.10.26

  • 橘

    面白かったです。
    鉄道と共に生きてきたけれど、乗り換え路線の廃止でほとんどの電車が通過するようになって寂れた町のお話でした。
    光陽台ニュータウンや、象さんすべり台のあった公園、駅を通り過ぎる下り451列車の光…と、これまでの三崎作品に出てきたワードがたくさんあって嬉しいです。
    80kmの駅、影を無くした「影無き者」、見えないタワー、隧道を種から作る隧道士、鉄道原理主義者や鉄道愛好者、という不思議な要素も三崎さんっぽいです。
    それぞれの登場人物の視点でお話が進んでいくので、この人はこういう考えを持っていたのか…と思わされます。
    消失した下り451列車の結末はじーんとしました。短い短編がこんなにふくらんだお話になるなんて。
    でも町長さんはもっと別の方法があったのではないか、と悲しくなりました。

    町興しの光と影をみました。
    良い方法、悪い方法…リアリティありました。
    町に留まる人、町を出ていく人…でも、彼らのターミナルタウンはずっとここなのだろうな、と思いました。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.29

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