【感想】最古の文字なのか? 氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く

ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー, 櫻井祐子 / 文藝春秋
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 探耽(たんたん)

    探耽(たんたん)

    岩絵遺跡を調査する古人類学者による、文字や記号の誕生を探る活動が綴られた一冊。
    壁画などの芸術は学者だけでなく大衆からも注目されますが、文字かもわからない記号のようなものにはあまり関心が集まりません。
    調べなければ始まらないということで著者が本腰を入れて研究を進めます。
    文章のようなもの、単語のようなもの、単体の文字か記号のようなもの、色々見て回った結果として共通の記号や染料などが判明していきます。
    しかし、それが本当のところ文字なのかはわからないのです。
    シャーマンが儀式の最中か末に描いた物が記号に見えるだけなのかもしれませんし、一つの記号に複数の意味があるか単一の音を表しているのか、全てが謎です。
    我々が音声と文字でコミュニケーションを取り始めた切っ掛けや、古の呪術や芸術の始まりについては研究の余地がまだまだあります。
    本書は後進への道標となる内容であると感じましたし、今後の進展に期待します。
    続きを読む

    投稿日:2023.07.13

  • 充実大豆

    充実大豆

    ヨーロッパにある氷河期の洞窟に動物の絵があるのは有名だが、その動物の絵の周辺にある記号に初めて焦点を当てた研究についての書籍。
    氷河期の動物画は昔から知られていたのに、今まで誰もその周りにある記号に注目していなかったという驚きをまず感じる。
    この本では記号たちはは最古の文字ではないが、数を数えるための記号か地図等に使われていたのではないかという結論に至っている。
    氷河期の人間の認知能力はすでに高くなっており、未来のことを考えたり外界を認識したりできる証拠ではないかとなっていた。

    20世紀までの学者たちのヨーロッパ中心の考え方のために、アフリカで誕生した人類がヨーロッパにたどり着いたころに認知能力が高まったと考えていたが、アフリカにいたころにすでに十分な認知能力を得ていたことが分かってきたということも書かれていた。
    20世紀までの考え方を捨てていくと新しい発見はまだあるのだと感じた。
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    投稿日:2023.05.13

  • 99

    99

    読了。内容は面白かったけど、思ってたんと違って文字の話はあまり出てこず、主に壁画の話だった。あと説明している壁画や図形の図版がほとんどなくてイライラした。時々あっても小さくて不鮮明だし。そして調査のために洞窟に入るシーンは、閉所恐怖症の人にはきつい描写だった。続きを読む

    投稿日:2019.05.17

  • vitrumlabook0727

    vitrumlabook0727

    現生人類の祖先がアフリカをでて、ヨーロッパ大陸に進出した時の痕跡としてよく知られているのはフランス、ラスコーの洞窟壁画。躍動感のあるウシやウマの絵が特に有名ですが、著者がスポットを当てるのは、これらの絵の脇に描かれるような比較的地味な「記号」。驚くほど注目されてこなかったこれらの記号から、どのような情報を引き出せるのかが、本書を読む楽しさといったところです。

    著者は主にヨーロッパの洞窟壁画を探す調査であちこちの洞窟に入って行きます。あまりに注目されてこなかった記号は、記録に残されていることが少なく、記録があったとしても名称に統一性がないため、自分の目で形を確かめる必要があったとのこと。

    そうして集めに集めた記号の統計をとって、ようやく始まった研究はいきなり驚くべき結果を出すことになります。

    32種類。

    広大なヨーロッパ大陸、時間にして3万年。
    広く長い時空間で使われた記号の種類がたったの32種類。

    これが意味することとは?
    旧人類の研究において斬新な発想で進められる内容は、著者も認める通り今となっては証明が難しいのは確かですが、新たな側面を広げることによって、ヨーロッパ以外の旧人類の痕跡を統計に入れようとする新たなステップにもつながって、ますます面白くなりそうです。
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    投稿日:2017.11.15

  • min2fly

    min2fly

    授業内容更新用。ヨーロッパの洞穴に残る、人類の手による幾何学模様の中に共通する形が多いことに着目し、これを最古の記号と捉えて考察を進めていく。
    著者は博士課程在籍で、幾何学模様をデータベース化し、現在博論に向けて分析を進めているところであるという。

    結論から言えば最古の文字ではないのだが、幾何学記号の利用の話を組み込むことは必要そうだ。←組み込んだ
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    投稿日:2017.06.12

  • やすお

    やすお

    ラスコー遺跡の壁画に動物が描かれていることはよく知られている。一方で、平行線や点などの幾何学模様(記号)も描かれていることはあまり知られていないのではないだろうか。私も知らなかった。岩絵は何度も見たことがあるから、記号の存在に気がつかなかったのだろう。著者は、研究されていない古代の記号をデータベース化し、文字の起源であると思われるものを研究している。記号のデータを集めるだけでも大変な苦労がある。研究は始まったばかりであり、本当の成果は数年先でないと出てこないだろう。本書は、古代ファンを惹き付ける研究分野があることを知ることを目的に読んだ方がいい。著者が慎重なのか、推定でしかない事を断定することはない。そのため、結論を知らされない読者はもやもやするが、数年後には新たな発見がありそうな期待感で胸を膨らますことができる。続きを読む

    投稿日:2017.02.08

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