【感想】2050 近未来シミュレーション日本復活

クライド・プレストウィッツ, 村上博美, 小野智子 / 東洋経済新報社
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • mtkwsk

    mtkwsk

    原書刊行(2015)の頃までのデータを前提に、その後日本の問題点多数が紆余曲折を経ながらも解決されて2050には日本経済が復活するというお話。
    問題点を列挙している点ではよくご存知だと思うが、その後の経緯も解決策もあまり裏付けのある議論には見えない。強いて言えば、日本留学や日米通商摩擦時の交渉担当者の経験から著書が意見を述べたということになる。
    正直なところ、それができるくらいならとっくにやってるだろう。
    ただ、日本に関心を持っていて、復活してほしいと願うことには感謝する。
    もっともエズラボーゲルの「ジャパンアズナンバーワン」を「日本はすごいぞ(そんなことを許していいのか?〕」と読む向きもあるそうなので、本書も読み方は難しい。
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    投稿日:2021.02.23

  • ゆーすけ

    ゆーすけ

    現在の日本が変えるべきことの提言
    アメリカ人の目線で(グローバルな?)変えるべき点を指摘され、2050年までシミュレーションされてますが、変更方法がドラスティック。
    なかなかそこまではできないだろうなぁと思いつつ、そこまでしないとダメですよ、ということか。
    経済危機程度では日本人はやり方をドラスティックには変えないと思いますが、ゆっくり変わっていくのかな。かなり楽観論にも見えましたがどうなるか。
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    投稿日:2017.06.08

  • bookoon

    bookoon

    このレビューはネタバレを含みます

    概要
    著者の私見に基づく2050年の日本予想図。日本の決定的弱点であるエネルギーの自給自足化にグローバリゼーションに必須な要素を多く備えることで日本がアメリカに比肩する経済力、国際影響力を持つ国に生まれ変わる。

    所見
    著者の指摘する日本の課題とは戦後の経済成長を支えたステレオタイプなモデルであるため、皮肉にも、思考を停止した人には読みやすいものになっている。対策には英語の使いこなし、女性の活躍、小さな政府、地方自治など自助努力でかなえられるものから、メタハイの商用化など、ばくち的要素のものまでが対策として描かれており、信じる方が悪い。本書を読むなら、対策部分は単なる案として記憶の片隅にとどめ、日本の課題を整理したものと受け止めるべきだろう。

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    投稿日:2017.05.06

  • isseiabe

    isseiabe

    途中までが現実にあったこと、その先がシミュレーション。
    荒唐無稽な話ではなく、厳密な分析に基づいた上での予測なので、実際にこういうことになるのではと思わせる反面、なかなかそれは難しいと思うことも。
    かし、全体を通じてこれは日本という国を応援してくれているのかなという印象も受ける。
    どちらに進むのか、今まさに岐路に立たされているということなのかも知れない。
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    投稿日:2017.01.07

  • ucym100

    ucym100

    再生委員会 9条廃止、防衛費GDP 2%、第2次世界大戦国際記念碑、竹島の領有権の主張を取り下げる、

    女性に魅力的な労働環境を作る、産休や育休に関わる女性の社会的経済的負担をなくす、外国人労働者の呼び込み

    英語化

    イノベーション 主流の企業群から外れたところで発生、移民強化、助成の削減、給与体系見直し、ハイテク動向モニタリング室、国防高等研究計画局のようなものをつくる

    原発 新しいものの運用を許可 その他廃炉
    送配電害者(スマートグリッド)
    家庭用、大口電力 増税 中小企業向け増税を少なくする
    太陽光、潮流・海流、メタンハイドレート、IFR(統合型高速炉)
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    投稿日:2016.10.25

  • yasz

    yasz

    日本経済に関する予測本です、この本によれば日本経済は根本的な改革を行い、2050年には今とは完全に別の素晴らしい国になっているという内容です。

    日本の底力は素晴らしくて、筆者の書いた提言を取り入れていけば「きっとよくなるはず!」という内容の本は多くあると思いますが、この本のように、時間軸をいれて、具体的な提言をした本は私にとっては初めての衝撃でした。この本の筆者である、クライド氏は、米国のお役人さんで日本も含めた貿易交渉をしていた方で、日本の良い点も悪い点も知り尽くしている様です。

    2050年には素晴らしい国になる結論に対して、私のとったメッセージは、それに向けて来年(2017)からこの本に書かれれている内容に準じた改革をしていかないと、現状よりもさらに酷いことになることを暗示している様な気がしました。

    それらの提言を実行するには、今までのメリットが受けられなくなる勢力が確かに存在していて、彼等の抵抗をどのように上手に処理できるかがポイントです。

    1998年頃に私の勤務していた会社も含めて多くの会社が、戦後以来とも言える「赤字決算」を経験し、それ以来、いままで聖域であったことにもメスを入れ始めて、会社が変わってきた記憶がありますが、これと似たような、もしくは更に大きな改革が、この数年で起きる覚悟はしなければならないと思いました。

    その改革は将来の日本経済にとっては、きっと良いはずです。その改革の余波を私が個人的にどれほど受けるか分かりませんが、それに対する備えだけはしておきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・日本企業の特徴、つながりの深い企業で作る準カルテル「ケイレツ」による支配、ジャストインタイム生産(カンバン方式)、カイゼン(継続的な業務改善)、シックスシグマ(品質管理)、戦略的産業(機械・半導体・コンピュータ・鉄鋼等)の発展を目指す政府の目標と補助金、円安政策と輸入関税(p7)

    ・日本の自動車会社が米国市場に参入するときには、自前の販売網をゼロから構築することなく、既存米国企業の販売網に便乗できたが、日本市場はそうではなかった(p10)

    ・ウルトラロープの出現(2012)以前は、超高層ビルの最上階にたどり着くまでにエレベータを数回乗り継がなければならなかった。これがオフィスビルや集合住宅の高層化を促した(p28)

    ・日本で人口が増えて経済が成長するにようになったか、幹部のほぼ半分は女性や外国人、5時過ぎにはオフィスは空っぽ、バーや居酒屋では閑古鳥が鳴いている(p33)

    ・3D印刷の技術は、さまざまな素材(金属粉、プラスチック等)が入ったカードリッジを、まるでインクのようにプリンターに装着することで、三次元の製品を作り出す。この技術によって、スケールメリットの重要性・組み立て作業の自動化・作るのに人手がかからなくなった(p36)

    ・日本経済危機のさなか、2017年5月、国会は第二の「岩倉使節団」を創設する法律を定めた。(p63)

    ・2022年、日米安全保障条約の枠組みに、インドが参加。さらに、オーストラリア、インドネシア、フィリピンも加わり、かつての日本の二国間協定は、いまや「大同盟」と呼ばれるようになった(p68)

    ・冷戦終結にも拘わらず、東アジア地域配備の米軍兵力が変わらなかった背景として、1)湾岸戦争、2)北朝鮮による核兵器・弾道ミサイルの開発、3)中国の急激な軍拡、があった(p71)

    ・人口減少を食い止めて逆転させることに成功した一部欧州の国の制度として、児童手当・保育制度・父親、母親にも手厚い育児休業制度・同性婚カップルによる養子縁組の合法化・非摘出子にも平等な権利を与える法整備(p98)

    ・法的に正統な父親がいない子供たちは、母方の祖父の戸籍に入れられる(p105)

    ・フランスは世界で最も手厚いとされる家族支援制度を導入、その一つに、家族の定義を緩和したこと。生活を共にする非婚カップル、母子家庭、父子家庭も支援対象とした(p109)

    ・最高水準の出生率を実現している国は、ある程度の移民を受け入れ、優れた保育所や就学前プログラム整備、勤務時間に融通がきき、働く女性の地位が高い、女性役員が活躍、女性の安全が守られ、家事・家族への責任を男性も分担している(p116)

    ・日本語で論争すると、下手をすれば相手を侮辱したとか個人攻撃したかのように受け止められかねない。日本語は意見の一致や社会調和を保つには良いが、イノベーションを妨げ、停滞を招きかねない(p135)

    ・2014年初め、安倍首相は大学受験資格の重要な要件として、TOEFLで一定以上の点数をとることを求める方針を出した。これに対する根本的問題として、1)学校での教育内容は、聞くこと・話すこと・コミュニケーションすることが重視されていない、2)教師のほとんどが英語を話せない(p138)

    ・テレビ番組や映画業界が、吹き替えを廃止して字幕を取り入れた。日本語の番組には英語字幕、英語番組には日本語字幕をつけた。日本にやってきた外国人は、日本語がわからなくても旅を楽しめるようになった(p148)

    ・英語は日本文化を守る手段であるばかりか、日本文化を世界に発信し、外国を部分的にでも「日本化」することに役立つことが分かった(p153)

    ・戦争によって徹底的に破壊された日本にもたらされたメリットとして、1)社会構造・商業的構造が開かれたものになり、数多くの企業が創業した、2)政府・産業間の協力体制が復活して、政府の権力が強化された(p160)

    ・日本の研究開発が不得意としていた分野として、1)モバイルインターネット、2)知的労働の自動化、3)モノのインターネット、4)クラウドテクノロジー(p175)

    ・電力会社に対して、自社地域内で電力を自給(独立した10系統)し、送電網を他の電力会社と大規模に連系させないように求めていた。これば原子力発電hの推進へと向かわせた要因があった(p190、201)

    ・IFR(統合型高速炉)では冷却材が停まると核反応も停まるため、メルトダウンすることがない。そのようなメリットがあるにも拘わらず、アルゴンヌ研究所(米国)で行われていた開発プロジェクトは、米連邦議会に予定より3年早く、1994年に終了した(p211)

    ・高経済成長時代、銀行融資額は企業の資本金の8-9倍であり、株主配当より銀行への利息支払いが重要であった(p222)

    ・占領軍当局は、経営者や保守政権、有力国会議員たちと結託して産業別組合の力を削ぎ、全国連合組織の結成が認められる、企業別組合(前身は、戦前の工場委員会)へと誘導した。その時の労使双方の合意として、1)正規雇用者は終身雇用、2)経営陣・従業員の賃金格差小、3)ストライキしない、であった(p223)

    ・高い関税と、様々な非関税障壁により国内市場を輸入製品から守った、国内向け価格は高い水準に保たれ、それが企業の健全な経営を支えていた。同時に、資本規制および、為替市場への介入により円相場が割安に保たれていた(p225)

    ・再生委員会が決めた根本的改革を行う分野は、社会保障とセーフティネット、職業訓練、農業、医薬、競争の5分野(p259)

    ・農業生産はGDPの0.9%、農業従事者は3.8%に過ぎないのに、衆議院の45%、参議院の60%は農協票が入っていた(p267)

    ・2017年には、農産物の流通販売を行う全農を、農協から独立、それまで適用除外とされていた独占禁止法の支配下においた。農協の金融部門は、農林水産省ではなく、他の保険・金融機関と同様、金融庁の監督下となった(p268)

    ・2017年末の提案により、かつての47都道府県は、15の大きな行政区分である州政府に改変された。知事(州政府)と議会には大きな権限あり、国防・外交・中央銀行以外はほぼ完全な自治体制をもった(p289)

    2016年9月11日作成
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    投稿日:2016.09.11

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