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千早茜 / 角川文庫 (40件のレビュー)
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ふうか
強さと弱さ、野生と抑制、絶望と生命力。正反対の性質が共存する者は、生々しくも美しい。 支配欲に満ちた父親に育てられた小波は、意志を持たない。自我を持たない人間は、何も求めてこない。また側にいる者の…欲求を、自分のものだと錯覚している。だからなのか、小波と関わった男性は、彼女に強く惹かれ、取り込まれ、そして破滅していく。 自己主張は少なからず、加害性を帯びる。小波のように強固な人格形成をされていなくとも、繊細な心を持つが故に、大切な人といる時には我を持たないという選択を、無意識的にしている人は案外多いと思う。 しかしたとえ望んだとしても、人間は本当の人形にはなれない。常に小波の腹の底には、理不尽に傷つけられたことに対する怒りがある。だから敵意を持つ者には敏感に反応して、躊躇なく潰す。また深い絶望を味わっているから、痛みや恐怖をほとんど感じない。 「マカロンも果物のケーキも…ぺたんこの靴も本当はどうだっていい。耀に似合うものが好きなの。幸せのイメージに近づいていく気がして。」小波は最終的に、彼女から決して何も奪おうとしない耀と、「理解し合えなくても一緒にいること」に希望を見出す。人の心には、決して他人が無闇に暴いてはならない、神聖な領域が存在している。 人は変化する。よって、「あなたを信じている」と言うことは、実は暴力に近い。誰かを愛することは、祈りを捧げることと殆ど同義だ。続きを読む
投稿日:2024.04.15
花
う〜ん、よく分からない、、 魔性の女っていう事なのかな?周りの人間がみんな夢中になっておかしくなってしまう。 自分は頼んでないのに、と言いつつ、周りを思い通りに操って、被害者ぶるのがなんだか嫌。
投稿日:2024.04.13
まいまい
千早さんの作品は、色彩描写、風景描写、感覚描写が丁寧で美しい。 ファム・ファタールを彷彿とさせる女に魅入られ、絡め取られていく男たち。 空っぽな女は怖い。
投稿日:2024.02.16
mamiko
前半の「アカイツタ」と後半の「イヌガン」。後半を読み始めた時は別の話なのかな?と思ったけど、10年後のお話でした。今まで読んだ千早さんの中では1番の耽美さや幻想が漂う作品でした。 明確な解釈が記されて…いるわけではなく、読者に委ねられているお話です。 私的には結末がちゃんとしていて、なるほどねーそうきたか。でもこういうのもありだよなぁと想像するのが好きなので、千早さんの決めた結末を知りたいなーと思いました。続きを読む
投稿日:2024.01.21
maika
このレビューはネタバレを含みます
始まりから終わりまでずっと不気味で、薄暗かった。あまり好みじゃなかったな。小波と萩原の関係が気持ち悪いと感じた。性格にいうと、萩原が。初めは小波が萩原のことをどう思っているか全くわからず、想像さえできなかったから萩原と関係を持ち出した時にはびっくりした。萩原は、なんの抵抗もできない小波を利用しているようにしか見えなかった。
投稿日:2024.01.09
saito
最後まで読んだら、その続きには希望があるようにみえるけど、最初に戻って読み返してみると、やっぱり絶望しかないのかもしれないと思って怖くなった。 耀が重なる。
投稿日:2023.11.06
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