【感想】庭師(ブラック・ガーデナー)

高瀬美恵 / 祥伝社文庫
(28件のレビュー)

総合評価:

平均 2.8
1
3
14
7
1

ブクログレビュー

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  • キじばと。。

    キじばと。。

    しがないライターの寺内さやかが、「エクセシオ三山」というマンションを購入し、そこに移り住んだところから物語は始まります。

    彼女が引越しした直後から、マンションで奇妙な事件が起こります。一人暮らしの老婆・野末さんの愛犬ココアが、何者かによって殺されます。それに続いて、林原さんの娘の亜由が犯人だと信じ込んだ野末さんは、林原母子にくってかかり、卵を投げつけるという事件が起こります。さやか自身も、隣に住む尾島さんから、土地をだまし取られたという言いがかりをつけられ、すっかりおびえてしまいます。さらに、大学生の河上くんは、野末さんの愛犬ココアを殺したのは自分だとさやかに告げます。

    ここに住む住人たちはどこかがおかしい、そう感じ始めたさやかにとって、気兼ねなく接することのできる隣人が、不登校の高校生・千葉くんと、主婦の沢田さんでした。そんなある日、千葉くんが「ブラック・ガーデン」という奇妙なウェブ・サイトを発見します。そこには、エクセシオ三山に住む住人たちに花の名前が与えられ、彼らの行動が逐一記録されていたのでした。自分たちの行動を見張っている「ブラック・ガーデン」の「庭師」とは誰なのか。不安に苛まれるさやかたちですが、マンションで起こる事件はさらにエスカレートし、住人たちはますます恐ろしい本性を露わにしていきます。

    それほど意外性のある結末ではないのですが、そこに至るまでの住人同士の猜疑心が膨らんでいくプロセスがうまく表現されていて、楽しんで読めました。
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    投稿日:2017.04.13

  • 林檎飴甘

    林檎飴甘

    利便性もよくセキュリティーもしっかりしている。
    どこにも怪しげなところなどないマンションに「私」は失恋を機に引っ越してきた。
    たったひと部屋、なぜか空き部屋になっていることを除けば変わったところなど見当たらないマンションのはずだった。
    もともと悪意を持っている人間が影響されて犯罪を起こすのか。
    それとも、誰にでも犯罪を起こす可能性はあるのか。
    犯人は闇の力に取り込まれてしまうほと追い詰められていたのかもしれない。
    それでも、少し地味だけれど普通に暮らしている人間の中に眠っている悪意は怖ろしい。
    けっして目立つことなく、疑われることもなく、思い通りにことを進めていく。
    次々と起こる惨劇に追われるように物語は進んでいく。
    その中にあってホッとさせる存在は由美子ちゃんだ。
    由美子ちゃんの恥ずかしがりやなところや無口(当たり前なのだけれど)なところは可愛らしい。
    最後に「私」に向けられた笑顔には優しい由美子ちゃんの心が表れていたように思う。
    どんな土地にも歴史はある。
    沼だったところが住宅地になって地震で被害を受けたというニュースも過去にあった。
    土地を買った人たちは沼だったことなど知らなかったらしい。
    現実的な情報だけではなくて、どことなく怪しげな場所、不吉なことばかりが起こる場所…というのもきっとあるだろう。
    新たな住人にはそれを知る術はない。
    そこに住む人々は変わっていっても土地そのものが変わることはない。
    そんなところに潜む怖さが物語にはあふれていた。
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    投稿日:2017.03.27

  • area054

    area054

    なかなかテンポの良い展開で
    ストーリーも「ザ-パニックホラー」って感じ。
    しかし、みなさんのレビューにもあるように、
    後半の幽霊やヌシの登場は微妙でした。
    それさえなければ、かなりおすすめの作品だと思います。

    残念ってより、むしろ、なぜその展開になったのか気になって仕方がないです。。。
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    投稿日:2017.01.25

  • まき

    まき

    初パニックホラー。たった一棟のマンションで起こる奇怪な出来事の数々。疾走感があり、ホラー映画などを良く観る人は情景が思い浮かび安くて楽しめる。しかし後半の落ちの部分はホラーを良く読む人以外には少し馴染みにくくて、納得行かないかもしれない。続きを読む

    投稿日:2013.01.15

  • aquasky

    aquasky

    このレビューはネタバレを含みます

    仕事も恋も失って失望の中で見た一つの広告。
    それは分譲マンションの広告だった・・。

    将来に希望が持てない今だからこそと、寺内さやかはそのマンションを買い、引っ越したのだが・・。
    老婆の愛犬を苛める幼女、プライドの高い幼女の母、引きこもりの青年、被害妄想の男、人の私生活に首を突っ込む主婦など、どこにでもいそうな人々が次第に狂って行く・・。
    始まりは老婆の愛犬の惨殺事件。老婆はいつも犬を苛めていた幼女を疑って襲いかかる。幼女は何者かにマンションから突き落とされて死亡。老婆が犯人だと疑った幼女の母親は包丁を持って老婆を襲い・・。

    また、大金を損失したのは、隣人の寺内さやかのせいだと思い込む被害妄想者の男は、さやかに敵意をむき出しにする。そして、さやかに「実は犬を殺したのは自分だ」と楽しげに話すもう一方の隣人の大学生・・。
    次第に狂気はマンション中を飲み込んで・・。

    これって、ホラーで片付けない方が面白かったのかも。
    ブラック・ガーデンというホームページに花に喩えられて、生活を暴かれるマンションの住人たち。そのホームページの書き方・内容はある意味面白いなぁと。ぐんぐん読めます。

    例えば、

    <B-1花壇、タラクサカムさんはデパートで一万円のスカーフをゲット!やったね、これまでの最高額です。これからは、スーパーでお菓子だの醤油だの万引きするのはやめて、大物狙いで行こう。・・>など。

    え?万引きだったの?!って。苦笑

    非常に悪意に満ちた文章が、相手を馬鹿にしながらHPに書き綴られていきます。
    これを書いているのは一体誰なのか?
    とても気になるのですよ。

    が、途中で何となく分かってしまうんですよね、しかもオカルトが加味されてしまって、幽霊オチになってしまうのが残念。
    ここら辺で、ライトノベルっぽいというか、少年少女向けの展開に。
    もっとサイコっぽいと良かったのかなぁ・・人の中に潜む狂気とか悪意とか。

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    投稿日:2012.10.05

  • mkmoon

    mkmoon

    このレビューはネタバレを含みます

    前半は面白くてぐいぐい引き込まれました。
    だけど、後半で突然出てきたあるキャラクターで一気に興醒め(汗)
    いや、悪くはないと思うんですけどね、あとがきを読んだら
    そういうタイプの作品を過去にも書いてるようなので、
    そういう作者のカラーならありだとは思うんですけど…。
    私の趣味としては最後までリアルな感じで攻めてほしかったなぁと。
    もしそうだったなら★5つだったかもしれません。
    誰かがみていてみんなが疑心暗鬼という心理パニックは興味深かったです!

    レビューの続きを読む

    投稿日:2012.05.28

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