【感想】偶然世界

フィリップ・K・ディック, 小尾 芙佐 / ハヤカワ文庫SF
(10件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 一条浩司(ダギナ)

    一条浩司(ダギナ)

    ディック27歳のSF長編第一作。権力者がくじびき機械のランダム性によって決められるという設定を皮切りに、テレパシー、最終戦争、植民惑星、管理階級社会、人造人間、など、この時期からすでに世界観ががっつり作り込まれていて、読者を引きずり込むディックらしさが感じられる。ただ、得体のしれない不安感を誘うところや、現実崩壊感覚などはまだ強くはなく、刺客ペリグの設定と手に汗握るアクション的な攻防が最大の見所だと思う。近年大ヒットしたあの3D映画を思い出した人も多いだろう。この小説が1955年発表のものであることに驚く。未知の世界へ宇宙船でたどり着いた果てに聞こえる最後の言葉は、若かりしディックの前向きな心情を感じる。続きを読む

    投稿日:2021.03.30

  • ぶつぶん

    ぶつぶん

    このレビューはネタバレを含みます

    ディックの長編処女作ということで読んでみた。
    権力者を完全ランダムに選抜する社会システムや、ティープやキース・ペリグといったガジェットは面白い。
    が、物語としては短調に感じた。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.05.05

  • nscore

    nscore

    とてもストレートなSFだった。ディックらしくないといえばそれまでだけど、「炎の月」へのある種の信仰などは、その後の作品にも通じているような気がする

    投稿日:2016.08.14

  • ひじり

    ひじり

    正確に書くと3.5かな。

    ハヤカワ文庫が相変わらず嫌いなんだけども買ってしまった。
    どうしてサイズ合わせないかな。
    これはずっとぶつぶつ言い続けてやる。
    ツイッターでも書いてやる。

    久しぶりのディック。
    最近はこういう完全なるエンターテイメントのものは再読ばかりで
    新しいものは仕入れていなかった。
    試験が終わって一息つきたい目的で
    純粋なる楽しみとして購入。
    作品はディックの長編一作目ということで選択(一説には三作目)。
    この文庫版には表紙にわざわざ
    「PKD's First Published Novel」
    と記載してある。
    短編はNovelじゃないのか(実際中編以上らしい)。

    表紙ついでに書くと、
    「Solar Lottery」
    という原題が書かれていて、邦題に?と思ったら、
    放題はイギリス版のタイトル
    「World of Chance」を元にしているんだそうだ(後書きより)。
    何故イギリス版から邦題が?
    も謎だが同じ英語でタイトル変えるのも謎だ。
    アメリカ版のタイトルもディックがつけたものは却下され
    出版社がつけたらしいので、
    やっぱり出版社の意志は大きいのかな。

    くじによって権力者や階級が選ばれるという
    ザ・ディックなディストピア設定。
    物語進行と状況描写のために複数の主人公視点があるのも
    ディックらしい。
    安定のディックらしさなので、
    それを求める人には良いと思う。
    ディックを多数読んでいて、
    意外性や刺激を求めたい人には違うかも。

    しかし、
    この物語は希望がある終わり方だったけれど、
    ディックの闇は選ばれし者とその他という二極化にあるんだな、
    と感じずにはいられない。
    まあそこが好きなんだけど。
    続きを読む

    投稿日:2016.04.30

  • kysino

    kysino

    このレビューはネタバレを含みます

    未来は完全な階級社会で自由はない。世界の最高権力者は上位階級から無作為で選ばれるが、そこには常に暗殺の危険がつきまとう。暗殺に差し向けられる者と、これを阻止しようとする者。そこには他人の考えを読み取る超能力者も存在し、権力をめぐって闘争する。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2016.01.04

  • mich

    mich

    フィリップ・K・ディックの処女長編は、ランダムによる無作為な権力交代が行われる九惑星系社会が舞台。クイズマスターなる最高権力者は、ボトルという偶然をつかさどる装置により選り抜きされます。時のクイズマスター、ヴェリックはこのボトルにより失脚。代わって権力の座についたのは、無級者のカートライトですが、指名大会で選出された刺客により、命を狙われることに… そんな中、主人公ベントリーは解職を機にヴェリックと雇用の誓いをたてるが…

    ディックの長編はやっぱり無秩序な印象を受けます。
    二十三世紀の九惑星社会、先にあげたボトルによる権力交代制度、パワーカードに無級者、そして《炎の月》などなど、背景やガジェットが入り乱れて登場します。しかし、これらがうまく物語に組み込まれているかというと、そうではありません。ランダムな社会制度といいつつも、実際には作為的な関与がありますし(これはその社会が既に破綻しているとみることもできますが…)、なにより《炎の月》の存在意義なんて、読解力不足でしょうが、読み終えてもよく解らなかった笑
    ただ、だからといって、面白くないわけではなく、ディックの場合はこの無秩序さがなんだか心地よく、楽しめるんですよねぇ。短篇がきれいにまとまった作品が多いだけに、長編のこういう無秩序さは、かえってディックらしさを感じるのでした。
    続きを読む

    投稿日:2015.05.31

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