【感想】ダーウィンの覗き穴――性的器官はいかに進化したか

メノ スヒルトハウゼン, 田沢 恭子 / 早川書房
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
2
3
1
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • jube

    jube

    面白いことは面白いんだが、大規模雪崩のように襲ってくる様々な生物とその生殖器と交配サンプルの多さに、途中からちょっとしんどくなってくる。網羅?って感じ。オランダの生殖器進化研究者。生殖器研究の歴史、現在の研究最前線、古生物から人間までのありとあらゆる生物の性行為について。先日、性淘汰というか、少し前にプラムの『美の進化』を読んだが(鳥類学的な性選択とかの話)、進化とか性選択というと、オスが美しくなってメスに選ばれようとするという説明はとても受け入れやすい。本書では、受け入れられた後にも(交配が行われた後にも)、そうは問屋が卸さない、というような例が多数引用されている。子孫を残すというのはビッグディールなんやと、つくづく感じさせられた。
     
    邦題が変ではあるが(主観)
    いろんな意味で一読する価値のある本だと思う。
    続きを読む

    投稿日:2022.07.12

  • アカセン

    アカセン

    最近、『○○なんてことするのは人間だけだ!』みたいなセリフを聞かなくなったのは、生物の多様性が人間の範疇を超えていることが知れ渡ってきたからだろうか。

    ・オスのアゴとメスの腰の穴で交尾するコシボソダ
    ・振動して音を鳴らすペニスを持つガガンボ
    ・メスの役割を押し付け合う雌雄同体のカタツムリ
    ・交接腕を付け根から切断し、自力でうねってメスの中に侵入するカイダコ
    ・ばね式の精包が爆発して皮膚から精子を侵入させるイカ
    ・同性の雄の死体を集団で死姦するマガモ
    ・交尾栓をつくる霊長類

    マット・リドレーの『赤の女王』よりもカタログ的で例が豊富だが、論理と解説はその簡易版。
    なぜそうなっているのかの探求よりも、刺激的な事例を集めることに心血が注がれている趣味本だが、
    こちらを先に読んだほうが、後に仮説に対応する事例を思い浮かべられるので、理解の助けに出来るだろう。

    生殖に失敗する個体は子孫を残せず、成功した性機構のみが時代に受け継がれる。
    強いものでも環境に適応したものでもなく、生殖したものこそが存続するこの世界では、
    これらの生殖システムのすべてが"正解"であることを本書から学べば、
    人間が考える"多様性"が如何に矮小な範囲内であるかということを、思い知らされるだろう。
    続きを読む

    投稿日:2020.05.23

  • ottersho

    ottersho

    フォアプレイがまえがきとなっている時点で、すでに性的なニュアンスがプンプンの本書。
    生物の誕生に必要な性交とそのための装置である生殖器を、様々な生物についてじっくりと観察した様子が、盛りだくさん。
    トの祖先にはペニスにトゲがあったらしく、その時代の雌は大変だったろうな、などどワケのわからない感想を抱いたり。
    そんな雄と雌が別々の雌雄異体はもちろん、驚くのは雌雄同体のナメクジの性交。
    もう、めくるめく生物の合体に、あたまがくらくらしてきそう(もちろんいい意味で)な本である。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.04

  • nur1202

    nur1202

    各所の評判に違わぬ面白さ。
    雄と雌で化かし合いをしているけれど、雌の方がやや優勢って感じですかね?(^^;
    研究としてはそれこそどうやって繁殖しているのかという大事なところなのに、ちょっと本道から外れているような扱いになっている(なっていた)ところが気の毒ですね。(^^;
    一般教育における性教育で学んだ知識とは幾分異なったことが事実だったりしそうなので、これは必読かも。
    続きを読む

    投稿日:2018.11.02

  • Flooding Throne

    Flooding Throne

    生殖器という分野は何故だか、基礎生物化学の世界でも研究の対象とはされにくく、まして一般向け科学啓蒙書でも触れられてこなかった領域だという。オランダの生化学研究者である著者は、その原因は第一次性徴を自然淘汰の結果としてある意味当然視したダーウィンの説にあるとしてこれに異議を申し立てる。彼によれば、異性らしさの発現である第二次性徴のみならず、第一次性徴を体現する生殖器そのものが性淘汰、即ち異性の好みによる選別を受けているという。性淘汰は自然淘汰と異なり、例えば「より真新しいものは何か」といったアドホックな評価軸で相手を選別するため、ともすれば適者生存の前提となる「より適応したもの」とはかけ離れた方向に進化していく。これこそが自然界の生物の生殖器に呆れるほどの多様性をもたらしている原因だとするのだ。

    この仮説が様々な生物が営む生殖行為を例に挙げながら解説されるのだが、とにかくこの実例が面白く、またよく調べたものだと思うほど細部にわたって記述されており生々しいことこの上ない。生殖器の解説がこれでもかと言わんばかりに羅列されるため満員電車の中で読むには細心の注意が必要だ。随所にニヤリとさせられる表現が散りばめられた(題材が題材だけに、か?)文章も魅力たっぷり。

    この豊富な実例により、一見艶めかしくみえる様々な生き物の性の営みも、つまるところ精子と卵子の希少性のギャップを原因とする、雄と雌との戦略的なせめぎ合いだということが良く理解できる。なお、本書ではこのことを説明する理論について、「雌による隠れた選択(Cryptic female choice)」説と「性拮抗的共進化(Sexually antagonistic coevolution)」説を並置するが、僕には違いがよく理解できなかった。雌がイニシアチブを保持し続けるか、雄雌共に戦術を繰り出しあって終わりのない囚人のジレンマに入り込んでいくかの違いだろうか?まあ、著者によれば両者の違いは僅かだというから門外漢は気にしなくても良いのかも。
    続きを読む

    投稿日:2016.10.09

  • whitepapersort

    whitepapersort

    生物の性器や性交渉の多様性に驚かされた
    ヒトについての記述がメインではないのであまり構えないず読んでほしい

    投稿日:2016.07.08

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。