【感想】中学受験で子供を伸ばす親ダメにする親

矢野耕平 / ダイヤモンド社
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    以下、本文より抜粋

    対象が中学受験であっても、最高の学習の場は日常の暮らしの中にこそあるのです。そこでは特別なことは求められていません。いたって当たり前の日々を、子どもに過ごさせているかどうかなのです。家庭内での会話は頻繁に行われているか。子どもにおつかいや料理の手伝いをさせているか。子どもの部屋は、子ども自身に掃除させているか。子どもの手芸や木工、外遊びなどにも、親が根気よく付き合ってあげているか。

    子どもの近未来像が、ちゃんと描けているのであれば、中学受験をさせる意義があるでしょう。ただし、目指す大学や職業まできっちり決めるのは早急すぎます。小学校の段階でのビジョンは、あくまでもゆるやかな描き方でよいのです。性格的に子どもがどんなタイプなのかを見極め、どんな学校が向くかくらいの判断でかまいません。子どもがその学校に通うことによって、大きな宝物を子どもに与えられるという判断ができた時点で、中学受験にゴーサインを出しましょう。

    最終的な志望校は六年生になってから決めてもいいのですが、大雑把でも「行きたい学校」を親子で考えておくといいでしょう。その際、自分の目を信じましょう。例えば登下校の時間帯に校門の傍らに立って、その学校の子供たちの様子を見るだけでも学校の雰囲気はなんとなくわかるものです。

    塾は習い事のひとつ。本人に「楽しいから通いたい」と思わせること。「いやだったらやめてもいいよ」と明るく体験授業に送り出してあげてください。塾に通わせて、もし3ヶ月たっても子どもが塾に馴染めず、勉強をいやがるようやら、その時点でやめさせてもいいのです。前述した通り、中学受験は絶対にしなければならないものではありません。本人がどうしてもいやだというなのに、無理矢理通わせ続けてもよい結果は得られません。

    一方、勉強の量も質もアップする小学校五年生以降は、どんな子どもでも一度は「やめたい」と言い出すものです。そのときは、本人に中学受験をする意思があるのかどうか確認し、「やると決めたらにはがんばり通す」という決意をさせることが必要です。そこから先は、自分で決めたことに対する責任を持たせましょう。子どもが目先の辛さだけで「やめたい」と言い出しても、親は決して揺らいではいけないのです。ここでものを言うのは、先に述べた親のビジョンを子どもに再確認させることです。確固たる信念を持っている家庭は、「あなた何を寝言言っているの?」と、蹴飛ばしてでも塾に行かせるものです。本人も納得のうえで受験勉強を開始したのですから、「何のために受験するの?」ということを改めて本人に問いただし、「あなたにとってこういういいことがある。こういう育て方をしたいから中学受験をさせるんだ。あなたもそれを納得して勉強してきたはずだから、泣き言を言うのはやめなさい」と、ズバッと言い切りましょう。ただ、本当に子どもにやる気がなくて、「親のための受験」になってしまっているようであれば、あるいは中学受験勉強が子どもに歪んだ価値観を植え付けるのであれば、中学受験はきっぱりとあきらめたほうがよいでしょう。今までの受験勉強がムダになってしまうと考えられるかもしれませんが、その後の子どもの成長を長期的なスパンで捉えれば、数年間の受験勉強なぞ捨ててしまって一向に構わないものです。

    中学受験は一人の戦いです。難しい問題が出てきて、パニックになりかかったとき、それを乗り越えていくのは自分自身。中学受験で伸びる子ども、成功する子どもは、自ら困難を乗り越えられる力を備えることができた子どもです。子どもに自主性を持たせることが中学受験の成否の鍵を握っているのです。中学受験で得た困難を乗り越える力は、その先の人生で必ず生きてくるでしょう。子どもが自らの人生を前向きに切り拓くことができ、自身の将来についてビジョンを持った段階で、「中学受験は成功だった」と言えるのではないでしょうか。
    中学受験に関して不安を持っている親は、「目標に向かって努力することは素晴らしいことだ」という意識をまず持ってください。受験勉強に取り組む子どもを「かわいそう」などと同情のまなざしを向けると、子どもにその同情が伝播します。そして、その「かわいそう」な子どもは、何か困難があると、かばってくれる親のところへ逃げ場を求めるようになります。打ち込むものがあることは、幸せなことなのです。
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    投稿日:2011.06.18

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