【感想】「狂い」のすすめ

ひろさちや / 集英社新書
(51件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
7
20
15
4
0

ブクログレビュー

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  • 4614

    4614

    閑吟集のなかにある歌「何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」を出発点に、生きにくさを感じる世間を自分らしく生きるための哲学を提供している一冊でした。
    キリスト教などさまざまな宗教で説かれているものを用いていたが内容としては禅的な要素が強い印象でした。とくに合一意識を持ちながら差別の多い現実を生きるという難しい点を狂いの哲学として筆者が提唱しているところが面白かったです。

    内容はエッセイ調のため読みやすかったです。
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    投稿日:2023.02.05

  • 田中

    田中

    隣人との付き合い方が特に参考になった。
    今まで正しいことを言ってしまった時もあったのが恥ずかしい。
    私自身も、正しいことを言われた時すごく嫌な気分になったし、言ってきた相手とは結局縁を切ったのを思い出した。続きを読む

    投稿日:2022.11.15

  • shihohkan

    shihohkan

    このレビューはネタバレを含みます

         -2007.06.30記

    昨夜につづき、ひろさちや氏の近著についての追書きである。
    第1章の「狂いのすすめ」から、終りの4章は「遊びのすすめ」へと結ばれ、遊狂の精神こそ世間-縁のうちに生きる人間の最良の智恵と説かれるが、その世間-縁なるものを思量するに引かれる具体的事象がいくつか面白い。
    たとえば、動物社会学の知見によれば、アリはそれほど勤勉ではない、という話。
    まじめに働くアリは約2割、残りの8割は怠け者。正確にいえば、2:6:2の割合で、ものすごく勤勉なアリが2割、6割が普通、怠け者が2割ということだが、6割の普通のアリを怠け者のグループへ入れれば、先述のようなことになる。
    そこで、2割の勤勉な者ばかりを集めて新しい集団をつくればどうなるか。勤勉だったアリの8割が怠け者に転じてしまうのだ、という。
    もうひとつ、養殖うなぎの稚魚の話。
    養殖うなぎの稚魚はたいてい外国から輸入しているが、これが空輸されてきたとき、8割、9割の稚魚が死んでしまうのである。これでは採算もとれないから、窮余の一策で、試しに稚魚の中に天敵のナマズを入れて空輸してみたところ、稚魚の2割はナマズに喰われてしまっていたが、残りの8割は元気そのものだったという。アリやうなぎの稚魚の集団における生態も、人間社会の生態も大同小異、同じようなものなのだ。それが世間というものであり、また縁のうちにあるということなのだ。

    あれこれと本書で紹介された事象の中で、それなりに新鮮で刺激的なものとして私を捉えたのは、「老衰とガン」の相関的な話だ。
    筆者には、放射線治療の第一人者として現代医療の最先端にいながら、逆説的でセンセーショナルな書として注目を集めた、「患者よ、ガンと闘うな」を著した近藤誠医師と対談した「がん患者よ、医療地獄の犠牲になるな-迫りくる終末期をいかに人間らしく生き遂げるか」日本文芸社新書-があるようだが、これを引いて、近藤医師曰く、ガンという病気は、本来ならば老衰のように楽に死ねる病気だ。高齢者がだんだんに食べなくなって、痩せて枯木のようになって、格別苦しまずに眠るように死んでいく。そういう死に方ができるのがガンなのだ、と。
    また、高齢者の死因において、老衰死が極端に少なくなり、代わってガンが増大したのは、摘出手術を当然視した現代医療の徹底した普及から、手術の後遺症や抗ガン剤の副作用、病巣の転移などを誘発することが圧倒的にひろがってきたからだ。むしろ老衰のような死に方を理想とするなら、ガンを無理に発見して治療しないほうがよい場合も多々あるのだ、と説いているが、少なくとも少壮期に発見されたガンならばともかく、壮年の晩期や初老期にさしかかってからの場合など、まこと肯ける話で、斯様に対処するが智恵というものかもしれぬ。

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    投稿日:2022.10.16

  • kassinge

    kassinge

    結論は納得できるのだが、その理屈が納得できない。例えば、「現在を楽しめ」と言われればそうだと納得できるだろう。
    しかし、「人生に意味はないし生き甲斐は不要だから、現在を楽しめ」と言われると納得できる人は少ないのではないだろうか。
    人生に意味はない・生き甲斐は不要だという理屈はもちろん書いてあるし言わんとしていることはわかる。しかし、例えが極端な物が多い。そのため、いやそれは違うだろうと思いながら読み進めると、最終的には確かにそうだなという結論に行きつきなんだかモヤモヤした気持ちになった。
    続きを読む

    投稿日:2022.04.02

  • 柳下正次郎

    柳下正次郎

    少し前の本です。

    自由人になる為にはどうすればよいのかを
    あらゆる宗教の教えに例えています。

    すごく文章に嫌味が無くスッと入ってきます。

    投稿日:2021.11.03

  • satoshioda

    satoshioda

    このレビューはネタバレを含みます

    まとめ

    □弱者の自覚、狂者の自覚が必要
    □世の中は狂ってる、自覚すれば自分は正常になるかも
    □でも逆らう必要はない、少し嘲笑して蔑んでいれば良い
    □自由=自らに由る になれ
    □近藤誠と対談して共感している
    □生き甲斐を押し付けられ、世の中の奴隷となっている
    □隣の三尺 小さな親切大きなお世話
    □ご縁=比較対象→ 比較してはならない=仏の物差し

    感想
    物事を流せない真面目な人には、もっと楽に生きても良いではないかと語りかけているので良いだろう。
    自由の為には、拠り所が必要、つまり情報が必要。評価してはならないとあるが、正確な情報を手にしてから、世間に流される事ではなく=どちらが機能的に優れているかではなく、どちらが自分に適するのかという評価は、それこそ個人の自由である。
    流れに竿立てず生きるのも大切だが、個人の価値観を軽んじて、仏の教えである「卓越した無執着」とは異なるものが読者に伝わらないか気がかりである。

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    投稿日:2020.11.22

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