【感想】パノラマ島綺譚~江戸川乱歩全集第2巻~

江戸川乱歩 / 光文社文庫
(23件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
4
9
5
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ブクログレビュー

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  • マサル

    マサル

    表題作「パノラマ島綺譚」のみ既読。
    まず、「闇に轟く」に惹かれた。褐色寄りの艶かしい肢体を持った女性、そして、カニバリズム。エロとグロが絶妙に混ざり合っている。乱歩自身は初めての長編で苦悩し、未完になりかけるも後から結末を書き足した、と。にも関わらず、派手な終わり方で素晴らしい。
    「湖畔亭事件」も良い。結末はあっさりしているが、覗き趣味から事件が始まるなんて、絶好調。
    「空気男」は迷作の香りがする。案の定、終盤に話が変わり、未完。
    「パノラマ島綺譚」は素晴らしいの一言。テレビドラマ版より原作の方が好きだな。
    そして、ラストは「一寸法師」真相に向かう中で、二転三転する推理。そして、それ以上に魅力的な当時の東京の描写。
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    投稿日:2024.03.27

  • kazubook21613

    kazubook21613

    装丁や本造りが気に入って全巻揃えたが、第一巻を読んでから5年が過ぎてしまった。

    「パノラマ島綺譚」と「一寸法師」は読んだ記憶がある。なんと言っても驚いたのは「闇に蠢く」。
    衝撃的な問題作と言ってもいいだろう。かなり強引で無理のある展開のような気がする。話の中身もハチャメチャ。好き嫌いは分かれるだろう。

    本格推理として割とまとまっているのは「一寸法師」かな。「パノラマ島綺譚」は割と有名だが、設定には少し無理があるかな。今の技術で映像化すると面白いかもしれない。
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    投稿日:2022.07.23

  • anri0912

    anri0912

    久々の乱歩。
    闇に蠢くがかなり衝撃的。
    ただ少しだけ小難しく、長いこと読んでると飽きてくる。
    しかし乱歩の世界は不思議だなぁ。
    耽美と言うよりもメルヘンな気がする。

    投稿日:2017.10.26

  • マサユキ

    マサユキ

    「闇に蠢く」
    「空気男」
    「パノラマ島奇譚」
    「一寸法師」

    まず「闇に蠢く」について。これは恐ろしく不気味な話だ。「え、そんな展開!?」と、序盤と終盤の差が激しい。野崎三郎という画家と、その友人が怪しい男を追って洞窟に閉じ込められるところから、すさまじい方向に話が進む。飢えの描写。乱歩は飢えがどういう状態なのかを具体的に知っているかのよう。胃がねじ切れんばかりに痛くなるというのは本当だろうか。飢えのあまり、人間の腐乱した死体に食らいつく場面があるが、食中毒にならないのだろうか。

    「空気男」は感想なし。
    「パノラマ島奇譚」は自分にそっくりな金持ちの男(双子のように似ている)になりすまし、そのお金を使って「理想の世界」を実現させようとした、人見という男が主人公。瓜二つとはいえ、そんな程度で周囲を欺けるとは思わないが、それをいうとおしまい。映画の『FACE OFF』などもそうだが。人見は、死んだそっくりさん(菰田)が実は生きていてお墓から出てくる、というのを偽装するのだが、菰田が墓の下に埋められてから10日ほど。それで生き返ったなんてよく通用したものだ。
    「闇に蠢く」でも墓場のシーンがあったが、このころは土葬がメインだったのか?


    「一寸法師」は全集②では唯一の明智小五郎もの。不気味は一寸法師が東京の街で悪事を働く。小林という人物が進行役。彼なりに推理をし、次々と容疑者が浮かんでは消え、また浮かんで・・・という感じでうまく部隊を回す。
    しべての満足者(五体満足)のものを呪うという一寸法師が少し可哀そうな気がした。
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    投稿日:2017.01.30

  • niyopiyo

    niyopiyo

    5作とも大正15年開始で初めての長篇小説含む、と。どれもめくるめく気持ち悪さで好きだけど、<パノラマ島綺譚>は「余りに独りよがりな夢に過ぎた」とある通り確かに濃くてしつこくてそれが良い。とても好き。<空気男>がこれからってとこで掲載誌廃刊と共に途中までなのが!<一寸法師>は素人探偵明智君もの。探偵役がいると読者は解決待ちつつ気楽に一喜一憂できて楽ね…と思うけど、でも<湖畔亭事件>の方が好み。 5篇とも悪趣味さ満載な本編(もちろん褒め言葉)からの自作解説の言い訳がましさも良い味だなぁと。続きを読む

    投稿日:2014.10.02

  • ルビー婆

    ルビー婆

    闇に蠢く:前半と後半の別の話をなんとかひとつにくっつけた話に。これは乱歩自身の解説でも事情を書いている。後半はある事件を思い出したが、乱歩も似たような小説からインスピレーションが働いたとのこと。恐ろしい話。

    湖畔亭事件:全体の話が決まってないうちに書き始めてなんとか辻褄を合わせて書いたらしい。そういうことができるものなのね。少し無理がある話だとは思うけど、辻褄はなんとか合わせられ、なかなか面白かった。

    空気男:連載していた雑誌が廃刊になり、途中で終わっている。結末まであればどういう話になってたんだろう。前半のみなので、中途半端すぎる。

    パノラマ島綺譚:無理があるような話ではある。現代では通用しない。最初は面白いので引き込まれるけど、パノラマ景色は想像すると気持ち悪い感じにしか思い浮かばない。尻窄み感あり。

    一寸法師:典型的なミステリーなので、読みやすく引き込まれやすかった。どんでん返しの繰り返し。
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    投稿日:2014.05.18

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