菜の花の沖(一)

司馬遼太郎 / 文春文庫
(42件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
15
18
6
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ブクログレビュー

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  • teshigawara

    teshigawara

     この時期、嘉兵衛おぼろげながらかれ自身が生涯をかけてつくりあげた哲学の原型のようなものを、身のうちにつくりつつあった。
     そのことは、かれの気質や嗜好と密接にむすびついている。
     潮汐や風、星、船舶類の構造とおなじように、嘉兵衛は自分の心までを客観化してしまうところがあった。すくなくとも自分のすべてについて、自分の目からみても他人の目からみてもほぼ誤差がないところまで自分を鍛錬しようとしている。
     つまりは正直ということであった。しかし不正直ほど楽なものはなく、正直ほど日常の鍛錬と勇気と自律の要るものはないとおもいはじめていた。
     自分と自分の心をたえず客体化して見つづけておかねば、海におこる森羅万象がわからなくなる、と嘉兵衛はおもっている。

     嘉兵衛が貞代に感じた不愉快な感情は、煮物のにおいのように貞世の感覚にすぐつたわった。貞代は、
    (いやな男だ)
     と、ばく然とおもった。そういう感情が湧き出てしまった以上、貞代の理性は嘉兵衛のどういう部分がいやなのかということをさがし、自分を納得させねばならない。そういう目でみてゆくと、なんとも油断のならない男のように見えてくる。
     第一、若いくせに言うことに淀みがない。若いということは自分自身の気持ちが整理ができないということなのである。たいていの若者は何を問われてもたじろぎ、首をかしげる。貞代のように物事の整理がついた大人からいえば、そういう若者に接すると助言者としての快感をもつのである。
    続きを読む

    投稿日:2019.03.24

  • gohwtnb

    gohwtnb


    高田屋嘉兵衛の子供時代。

    どんどん居場所がなくなって、村から出なくてはならないところが何とも切ない。
    加えて、現代にも通じる日本の文化的風景を感じてしまうところが更に切ない。

    しかし、この奥さん、芯が強いな。出会う女性で男の運命も変わるような。続きを読む

    投稿日:2019.01.04

  • あやごぜ

    あやごぜ

    一巻読了。

    貧家に生れながら、後に偉大な商人に成長してゆく、高田屋嘉兵衛さんが主人公。

    サクセスストーリーと思って楽しみに読み始めたのですが、この巻の前半は、村社会特有の理不尽ないじめに嘉兵衛が晒され続け、正直読んでいてツラかったです。
    淡路島を脱出して以降の後半は、嘉兵衛の船乗りとしての才覚が垣間見えて、ようやく話が明るくなりつつある感じです。次巻以降、嘉兵衛の境遇が良くなる事を期待します。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.14

  • 池村

    池村

    全巻読んだけど好きなのでまた1巻から読む。このシリーズは1巻と最後の巻が好き。
    船乗りの知識だけでなく江戸時代の文化や考え方まで分かるのでオススメ

    投稿日:2017.10.27

  • takeshi3017

    takeshi3017

    廻船商人高田屋嘉兵衛の物語。嘉兵衛の人物の大きさ。素晴らしい。司馬さんは初読みだがもっと読みたい。詳細は→http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou23901.html続きを読む

    投稿日:2017.08.10

  • Keiichiro Oe

    Keiichiro Oe

    高田屋嘉兵衛という実在の人物を題材にした長編小説の第1巻。『リーダーの本棚』に触発されて、たまには司馬遼太郎でも読んでみようと思って手に取りました。思えば中学生の頃に『梟の城』を読んで以来です。

    本史には疎いのでまったく予備知識がないままスタート。第1巻は主人公の生い立ちから、故郷を出て兵庫で船乗りになるまでの苦難の時期が描かれています。

    サクセスストーリーに必ずついてくる若かりし頃の苦労話が延々と続いている序盤。特に惹きつけられるところはありませんでした。田舎の嫌なところを凝縮して展開されているような感じ。

    ストーリーよりも淡路~大坂を中心とする舞台解説のような部分の方が興味深く読めました。わたしも瀬戸内海沿岸で育ったのですが、知らないことがたくさんあるものです。

    いささかページを繰る手が重くなりつつありますが、これからに期待して第2巻に進みたいと思います。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.01

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