【感想】ぼくらの民主主義なんだぜ

高橋源一郎 / 朝日新書
(80件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
19
35
12
2
1

ブクログレビュー

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  • 紫雲国語塾

    紫雲国語塾

    学校教育の授業の現場で扱いにくい話題は、性、宗教、そして政治。それは塾でもさほど変わらない。入試過去問題の文章にそれらが扱われていても、何となく回り道せざるを得ない(平安古文なんか大変!)。しかし、日常の会話でも取り上げにくいそれらこそ、実は、教育の現場で語られるべきものだとも思う。オープンに議論するという土壌のないこの国で、民主主義を考える機会が確保されていると言うことはできない。◆この本は、朝日新聞に月一回掲載の「論壇時評」の最近四年分をまとめたもの。扱われる言説の範囲はいわゆる「論文」だけにとどまらず、雑誌の記事やインターネット上の発言、YouTube の動画までに及ぶ。難しい言説だけを取り上げて高所から見下ろすのではない、著者の柔らかな姿勢が伝わってくる本だ。◆一冊の本としてあらためて読むと、著者の一貫した姿勢が伝わってくる。戦争の過ちと犠牲の上にようやく作り上げてきた民主主義を、現代の私たちが大切にしていない事実を考察する。「反知性主義」とも言われる、ヘイトスピーチやバッシング、国家全体の右傾化が、民主主義を虚構に過ぎないと暴こうとする。しかし、それらの「思想」もまた、自己肯定のための虚構に過ぎない。どちらを「現実」として選択するかは、私たち次第なのだ。戦後七〇年を迎える今夏、この本を、学校の夏の課題に埋もれることなく、「ぼくらの」という言葉の意味を、自分の頭で考える契機としてほしい。(K)
    紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2015年6月号掲載
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    投稿日:2024.02.23

  • doggy

    doggy

    読みやすいところもあれば、どういうことと言えるところもある。

    インプットする情報がものすごく多く、そこから思考していることが分かる、、

    10年前、自分は24歳で、この本を読もうとは思わなかっただろう。

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    投稿日:2022.04.05

  • akira_sapporo

    akira_sapporo

    2022年に読むことで「忘れてしまうこと」への危機感をより一層強く感じる。
    自分自身は「忘れてしまうこと」で日常に再び安住していないか?
    忘却に頼って良いものと忘却という選択肢を与えてはいけないものがある。9.11や3.11に代表されるような悲劇は後者であるが日本人は積極的にそれらから目を逸らしてはいないだろうか?続きを読む

    投稿日:2022.03.09

  • sagami246

    sagami246

    朝日新聞に2011年から2015年まで月1回連載された「論壇時評」を新書化したもの。
    「時評」という言葉を辞書で調べたら、2つの意味が書かれていた。(1)当時の世間の評判(2)世の中に起こっているさまざまな出来事についてする評論。ここで用いられているのは、(2)の方の意味であろう。また、ついでに「論壇」の意味も辞書で調べると、同じく2つの意味が書かれていた。(1)意見を論じ述べる壇。議論を戦わせる場所(2)議論を戦わす人々の社会。評論家の社会。言論界。ここで用いられているのは、やはり(2)の方の意味であろう。本連載は月1回のものだったので、連載前1ヶ月の間に論壇に発表された色々な意見に対しての評論、というのが「論壇時評」という題名が表す意味だと理解した。
    原発やTPP、その他、多くのことがテーマとなっているが、本書は、そういったことに対しての「高橋源一郎の意見」が直接的に語られている訳ではなく、そういったテーマに関して、前1ヶ月に論壇で発表された意見に対しての論評という形で、高橋源一郎の意見が、間接的に示されている。かつ、1回あたりの分量が、論評の対象の出所データを含めて新書で5ページ。出所にたいてい、だいたい1ページ使われているので、論評自体は新書で4ページという短いものである。そういうこともあり、私の、本書を読んでみての最初の感想は、よく分からない、というものであった。
    TPPに関して論じた(正確に言えば、TPPについて書かれた記事に関して論じた)、「"憐みの海"を目指して」という題名での回がある。そこで、高橋源一郎は、TPPに反対する多くの論者の意見に賛意を示し、あるいは、感銘を受けたりする。更に、最後の切り札的に、エマニュエル・トッドの「自由貿易と民主主義は長期的に両立しません」という言葉を引用する。高橋源一郎自身が、TPPに反対していることは、これを読むと分かるし、なぜ、反対しているのかも、ある程度分かる。しかし、ここでは、TPPについてのメリットやデメリットが総合的に論じられている訳ではないので、読者は、「高橋源一郎はTPPに反対している」という事実のみしか、あるいは、「TPPには皆さんも当然反対と思いますが、私も反対ですし、この1ヶ月の論壇でも、このような反対意見がありました」という紹介しか、この回の記事からは読み取れないのだ。
    私自身は、そのような評論は、無理があると思うし、第一、面白くも何ともないと感じた。
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    投稿日:2022.01.01

  • しゃん

    しゃん

    『恋する原発』を読んだ時は
    よく分からなかったけど。

    現代の社会が直面する多種多様な問題を、
    具体的な人名やその人物の発言を挙げながら
    独自の視点で紐解いていく。

    そして、それぞれの問題の間にある繋がりや
    関係性、根底にあるもの。
    それらについて読者に分かりやすいように、
    著者自身の考えを語りかけている。

    そうだ、私たちの民主主義なんだ。
    もっと関心を持って、もっと知って、
    自分の民主主義に参加しなければ。
    「知らない」ことにも希望はある。
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    投稿日:2021.06.19

  • cinejazz0906

    cinejazz0906

    朝日新聞「論壇時評」の蘭に2011年4月(東日本大震災の翌月)から掲載された【高橋源一郎】の冷徹な観察眼で社会と政治に関わる問題を見つめた、度肝を抜く(胸にグサリとくる)エッセイ48本連打。聞きたくない、避けて通りたい問題に真正面から挑んで書く筆者の姿勢に感服。震災からの復興、原発問題、就活問題、ヘイトスピーチ、従軍慰安婦、憲法改正、自由と民主主義など衝撃的な斬り込みに凍り付きながら、じっくり考えるためのガイドブック。続きを読む

    投稿日:2020.07.18

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