【感想】煙の殺意

泡坂妻夫 / 東京創元社
(45件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
6
16
14
0
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ブクログレビュー

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  • jazzoyadi

    jazzoyadi

    当作品、泡坂妻夫著『煙の殺意』収録の「椛山訪雪図」のオマージュとなったののが、米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』収録『北の館の罪人』(初出:『小説新潮』2008年1月号)
    ---
    北森鴻氏推薦――「これまでもこれからも、僕の短編ミステリの大切なお手本です」
    捜査そっちのけの警部と美女の死体に張り切る鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」を表題に、知る人ぞ知る愛すべき傑作「紳士の園」や、往復書簡で綴る地中海のシンデレラストーリー「閏の花嫁」など、問答無用に面白い八編を収める。
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    投稿日:2024.02.21

  • akikobb

    akikobb

     『ダイヤル7をまわす時』の解説で、櫻田智也さんが『煙の殺意』に言及していた記憶があったので、読んだ。(櫻田さんがどんな言葉でこれを紹介していたか失念した。あとで確認したら追加するかもしれない。)
     必ずしも「事件→誰かが謎を解く」という構造の話ばかりではなく、最近読んだ岩波少年のホラー短編集とか、ウェストール短編集(こちらはホラーと銘打ったものではないが一応ホラーやスリラーが得意な作家とされている)のような、ちょっと不思議なぞくっとするお話集になんとなく読み心地が似ていた。
     色気と、ユーモアと、トリック愛とは変わらず、短編集全体としてもバラエティ豊かで、とても良かった。

     以下、備忘メモ。ネタバレはしてないはず。
    ・赤の追想→小柄で老け顔だが妙に色気のある男が安楽椅子探偵を演ずる。地の文の美しさも心に残った。「…堀があった。淀んだ都会の水は、夜になると水の心を取り戻していた。対岸のネオンが、水と恋をした。」
    ・椛山訪雪図→解説の澤木喬さんはこれを大絶賛していた。(私はちょっと固有名詞に混乱したせいか入り込めなかった。)
    ・紳士の園→刑務所帰りの島津。同じく刑務所帰りの先輩近衛に誘われ閉園後の公園での怪しげな酒宴を二人で開く。酒宴の前後で物語の様相が変わるのが面白い。
    ・閏の花嫁→彼、私の方に気があると思っていたのに、まさかあなたと結婚するとはね!という関係の女二人の手紙のやりとりからのまさかの展開。
    ・煙の殺意→お、表題作。殺人事件の現場で、デパートの火災事故のテレビ中継に見入る、無類のテレビ中継好きの望月警部。熱心に、執拗なほど熱心に現場、というか被害者の遺体の検証をするのは、無類の屍体好きの斧技官。この互いに相手を「変なやつだな」と思っている者同士のコラボで真相が解明される。
    ・狐の面→ヨギガンジーイズムを感じる一話。
    ・歯と胴→完全犯罪なるか。女のとある台詞が伏線だったことがあとでわかるのが見事。
    ・開橋式次第→大家族をおじいちゃんが一人で起こして回るドタバタ喜劇調の幕開けが楽しい。
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    投稿日:2023.08.13

  • ケイ

    ケイ

    ターゲット層ではない感じは受けたがいくつかの作品はとても楽しく読めた。
    作品によって、合う合わないはあった(割と前の作品だし)

    投稿日:2023.05.31

  • ナオ

    ナオ

    このレビューはネタバレを含みます

    捜査そっちのけの警部と美女の死体に張り切る鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」を表題に、知る人ぞ知る愛すべき傑作「紳士の園」や、往復書簡で綴る地中海のシンデレラストーリー「閏の花嫁」など、問答無用に面白い八編を収める。



    本当にどれも面白かった。「紳士の園」は、一体何が起こるのかドキドキしてしまった。スワン鍋に誘った近衛が島津に何か悪いことに巻き込むのかとドキドキしてしまったが、蓋を開けてみたら…ってかんじだった。びっくりした。


    「閏の花嫁」も面白かった。素敵なイケメン外国人と出会ったのは、同じタイミングなのに、私のほうが好きだったのに、少し地味な女友達にまんまと取られてしまい、そして結婚するという。そんな彼女たちの手紙を読んでいくが、なんだか怪しい雰囲気になり…もう最後の祭司のセリフが怖かった。


    表題の「煙の殺意」もまさかの展開。こっちの事件とこっちの事件が関係しているとは…まぁ、それってこの時代だから起きた事件なのかもしれない。今の時代では、たぶん起きなかった事件だろうな。考えられないし。でも、それが面白かった。


    「狐の面」は、少し怖い昔ばなしを聞いているみたいで面白かった。あぁいう怪しい山伏みたいな人たちは、姿を変えていろんなところで詐欺みたいなことをしているんだろうな。


    「歯と胴」も怖かった。まさかの裏切り。そして、完全犯罪はやはり無理なのか。あと少しだったのになぁと。


    こんなに面白いなら他の作品も読んでみようかな。


    2023.3.14 読了

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.03.14

  • みつき

    みつき

    一分の隙もない短編集。落語のようなとぼけた語り口と、何回も読者の予想や思い込みをひっくり返す展開が見事。虚実ないまぜのうんちくが効果的な『椛山訪雪図』、社会を外側から眺めているかのような登場人物達が十蘭っぽい『紳士の園』が特に好き。続きを読む

    投稿日:2022.11.27

  • あくら

    あくら

    バラエティに富んだミステリー短編集。
    表題作の真相には見事やられた。
    そうきましたか!と。
    『紳士の園』は奇妙な味みたいでちょっと不気味。
    『歯と胴』の結末にはニヤリとする。
    『開橋式次第』もなかなかユニーク。
    予想外の展開が続くので、次はどんな結末になるんだと終始ワクワクした。
    続きを読む

    投稿日:2021.06.22

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