【感想】日本語の考古学

今野真二 / 岩波新書
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • tagutti

    tagutti

    〈目次〉
    第一章 「書かれた日本語」の誕生~最初の『万葉集』を想像する
    第二章 『源氏物語』の「作者」は誰か~古典文学作品の「書き手」とは
    第三章 オタマジャクシに見えた平仮名~藤原定家の『土左日記』
    第四章 「行」はいつ頃できたのか~写本の「行末」を観察する
    第五章 和歌は何行で書かれたか~「書き方」から考える日本文学と和歌
    第六章 「語り」から「文字」へ~流動体としての『平家物語』
    第七章 「木」に読み解く語構成意識~「ツバキ」と「ヒイラギ」と
    第八章 なぜ「書き間違えた」のか~誤写が伝える過去の息吹
    第九章 「正しい日本語」とは何か~キリシタン版の「正誤表」から
    第十章 テキストの「完成」とは~版本の「書き入れ」
    おわりに

    〈内容〉
    タイトルからイメージしにくいが、日本語の表記を中心にして日本語とその周りのさまざまな問題を綴ったもの。ちょっとくどい物言いなので、読みにくかったが、それにガマンできれば興味深い。紙のサイズと表記とか、写し間違いから、当時の物言いがわかるとか…。まさに考古学だ。学校図書館
    続きを読む

    投稿日:2014.12.04

  • sugar41

    sugar41

    出だしは面白かったんですけど、後半になればなるほど、屁理屈や俺様理論に走っているように思えてしまったのは、気のせいでしょうか…。

    とはいえ、日本語が文字を持つようになるまでの経緯(についての類推)や、万葉詩人の存在意義、ひらがなが統一されるまでの経緯、といったあたりは、なかなか興味深かったです続きを読む

    投稿日:2014.07.28

  • ujikenorio

    ujikenorio

    このレビューはネタバレを含みます

    今野真二『日本語の考古学』岩波新書、読了。印刷書物や電子データになじむと、「源氏物語の作者は?」と問われれば「紫式部」という常識に拘束される。しかし、写し手や時代が変わればがわりと変わるから、考古学的にアプローチする他ない。僅かな痕跡から日本語の変貌を解き明かす魅惑的試み。

    例えば8世紀に成立した万葉集は、歌う「うた」を初めて「文字で書かれたテクスト」。現存する最も振るいテクストは西本願寺本(鎌倉時代の写本)で漢字に仮名振りだが、原万葉集は当然全て漢字表記と想定される。またテクストによって書体も異なってくる。

    「『失われた部分』への意識をつねに持ち続けること。今目の前にある日本語がすべてだと思わないこと。そうしたことが、言語の長い歴史を復元していくときに必要な態度ではないかと思う」。日本語を考古学的に考察することは自明の前提にとらわれないことが必要。

    字体の再編成は、書写の段階で誤認を起こすことも。紀貫之のテクストを書写した藤原定家もその一人で、文字がオタマジャクシに見え、写生するが如く書き写した模様だ。言語にはゆれの幅が存在した。統一されるのは一九〇〇年の第一号表(著者『百年前の日本語』岩波新書、参照

    本書は『源氏物語』、『土左日記』、『平家物語』といった古典だけでなく、キリシタン版の「正誤表」から「正しい表記」という考え方の誕生や、「行」はいつ頃から出来たのか等々、多様性に富み、可能性にも満ちて開かれていた言語の歴史を発掘する。

    グローバル化の進展は、(そもそも複数存在した)言語の単一性を自明のものと見なし、何かテクニカルな技術と点数に言語教育を還元し、ひたすら反復練習を繰り返すが、言語を理解する、学ぶとはそう歪なものではないだろう。考え方リフレッシュさせる好著。

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    投稿日:2014.06.09

  • タカギ

    タカギ

    コアな学問ですね。
    文字は内容を知るためのものと思っていました。
    そうではなくて、色々な秘密が隠されているんですね。
    微に入り細に入り研究するというのはたいへん。

    投稿日:2014.05.19

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