【感想】真夜中の吸血鬼

水碕夢見, 羽根田実 / 花丸文庫
(1件のレビュー)

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  • 彩波(いろは)

    彩波(いろは)

    このレビューはネタバレを含みます

     時は、西暦2019年、今まで架空な生き物とされていた吸血鬼が突如、その姿を現した。
     吸血鬼の食料とされた人類は急激に数を減らし、十年の間に8割になった。
     混乱に混乱を重ねたのち、2030年、連合軍はようやく対策部隊を創設した。

     そして、その対策部隊に所属するのが、鳴海旭。
     旭は、15歳の時に、勝手に孤児院から軍に売られて入隊していた。
     基礎訓練が終わり、今日からマンツーマン訓練が始まり、旭は自分の教官が「死神少尉」という異名を持つ、オリエンタルで知的な容貌、流麗な所作、卓抜した技量、しかし容赦のない毒舌な柳秀蓮であること知る。
     会って早々、「どの程度使えないのか、能力測定です」と言われ、その後も罵詈雑言の嵐で、今まで好きで入隊したわけではなく、いやいややっていたことから、本気を出すことなく、オチコボレとして扱われていた鳴海は、屈辱感から柳のスパルタ特訓を受けて立つことにした。

     そんな訓練をしていたある日、鳴海と柳の元に「吸血鬼撃退」の命令が下った。
     何とか、「下層種」を倒した柳と鳴海だったが、そこに現れたのは、金髪の「上等種」と銀髪の「純血種」であった。
     そして、どうやら金髪の吸血鬼は、柳の兄であるらしい……。
     到底敵わない相手に、その場は何とか逃げおおせたのだが、その晩、帰ると柳の様子がおかしい。
     鳴海が心配になり近づくと、柳は「離れろ」と言う。それでも心配な鳴海が、柳に近づくと今度は押し倒されてしまう……

     という話です。
     ファンタジーなBL。
     個人的には、吸血鬼には「純血種(オリジナル)」と「上層種(レプリカ)」と「下層種(インフイリア)」の三種類がいる、という設定が、ものすっごく、ツボでした!
     ファンタジーとして、とっても良くできた設定だと思いました。

     そして、柳がまたすばらしい! 長髪で細め、という描写があったのでこっそり、鳴海が下克上! というのでも萌えるなー……とかも考えていたのですが、高飛車で、実はツンデレな柳は十分、萌えなので、これはこれでよし。

     最初は、高飛車で付け入る隙もなさそうな柳が次第に、心を開いて、優しくなっていくのはとってもよかったです。
     これもすべて、鳴海が実はとーっても、面倒見のいいおかげ、なんでしょうね。
     でもきっと、この二人はケンカしたら、結局、鳴海が折れることになりそうなカップルだ……とか、思ってしまいました。

     多分、この設定で物語はいくらでも広げようがあると思うので、また、これの続きを読みたいなーと、思わせてくれる作品でした。(違うキャラでの話もいいし、この二人の続き話でも!)

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    投稿日:2011.11.13

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