【感想】十一番目の志士(下)

司馬遼太郎 / 文春文庫
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
1
14
8
1
0

ブクログレビュー

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  • 0107springsteen

    0107springsteen

    この小説でこの作家はどうしても天堂晋助という架空の人物を描きたかったのかな?
    どことなく煮え切らない感じで、いまいちその熱量というか、想いが感じられなかったなぁ。
    ただ幕末の主要人物の論点整理ではないけれども、この人物を駒にして人物評的紹介が一通りなされていて、その観点で幕末の簡単な外観図を手っ取り早く頭に入れたいというリクエストには十分に応えられるものかと。続きを読む

    投稿日:2024.01.11

  • J

    J

    幕末の長州の低い身分から出た剣の達人という設定の主人公が実際の歴史のながれに沿って活躍する話だが、主人公のキャラ設定が中途半端で、何がしたいのかフラフラしているうちに物語が終わってしまった感じがした。
    かといって、背景的に描かれる実際の歴史の方も誰がストーリーを引っ張るでもなく、なんとなく無責任な感が否めなかった。
    2023.07.19読了
    続きを読む

    投稿日:2023.07.20

  • teshigawara

    teshigawara

    このレビューはネタバレを含みます

    「わからないけど」
     と、つぶやいた。おのうが言うところでは生きる甲斐もなくきていて、たまたま晋助という男を知り、ごく自然に身をまかせた。いずれは離れてゆく男だということはわかっているが、こうして一緒にいるあいだだけでも亭主だと思いたい。幻覚かもしれないが、この幻覚を自分は楽しんでいる。亭主が長州の間者ならばそれはそれでおもしろく、自分も間者の女房としてあぶない瀬を踏んでみた。やってみると結構たのしくもある。この幻覚のなかでたとえそのために死んでも自分に悔いはない。というのである。
    (そういうことかな)
     と、晋助は自分の身に引きかえておのうという女と、その言葉を想った。この女は幻覚こそ生き甲斐であり、そのために死ねるという。人の一生はそういうことかもしれない。
    「おれのやっていることも、おまえよりもすこし大きいだけの幻覚かもしれぬな」
     と胸中のつぶやきを、つい言葉に出した。この幻覚を吹き入れてくれたのは高杉晋作であった。幻覚からあやうく醒めようとする晋助を、高杉はややあわて、ふたたび別な操作で吹き入れた。

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    投稿日:2023.02.23

  • たまき

    たまき

    面白くて一気に読了。
    激動をくぐりぬけた主人公が最後に感じる虚しさに、ぽーんと置いてかれる。ここで終わりか…とあっけにさえとられたけれど、高杉と天堂の関係性を考えたらじわじわと腑に落ちる。

    投稿日:2021.08.16

  • yoshi2013

    yoshi2013

    大坂での坂本龍馬謁見、そして新撰組のと対峙から始まる下巻。
    読み始めて間もなく主人公、天堂晋助は架空の人物だと気づ始めてからは歴史上の人物と多く関わりつつも歴史に関わらない行動をしているのがひどく気になりながら読み進めることとなった。
    とはいえ、幕末の長州藩には血気あふれた人物が有名無名含め多数排出された時勢であり、伝えられていないドラマが多数あるのてはと想像する。
    加えて、長州藩には有名な人斬りがおらず、土佐の岡田以蔵や薩摩の中村半次郎を模して晋助を作出したのかもしれない。その人斬りたちはほぼ登場しないが。
    ネットで天堂晋助を調べると、NHKの大河ドラマ「花神」にも粟屋菊絵とともに登場し、戊辰戦争で戦死ていることに驚く。菊絵や妹のその後があまり語られないのが多少気になる。
    続きを読む

    投稿日:2018.08.18

  • koba-book2011

    koba-book2011

    1965年連載の、司馬遼太郎さんの小説。舞台は幕末。主人公は架空の人物です。珍しいですね。
    司馬さんの小説の中では、「初期の終り」みたいな時期でしょうか。

    #

    主人公は天堂晋介。長州藩士。と言っても下層、ほぼ農奴のような出身。
    この人が、実は超絶な剣の使い手。
    高杉晋作に見いだされ、幕末の混乱期の京都で、「長州の殺し屋」として新選組などを向こうに回して、殺人を繰り返す大活躍…という内容。

    史実で、「薩摩の中村半次郎」「土佐の岡田以蔵」は「人斬り」として有名ですが、長州藩はそういう人物が伝わっていない。
    そんなところに着目して書かれた小説なのでしょう。
    なんだかんだと土方歳三あたりと対決を繰り返し、でも生き延びて、最後も死なずに終わる、という内容。

    #

    正直、司馬さんの小説としては、第1級のオモシロサ、ということはありませんでした。
    その分、「架空の主人公で娯楽小説家に徹したら、司馬さんはこうなるんだなあ」というのを楽しんでしまった、という風情。
    とにかく女性にもてまくる、というか、縁がとにかく多いです。
    そして、あらためて史実に縛られずに書かれた感じを味わうと、ほとんど「ゴルゴ13」ですね。
    もっと言うと、現代の常識的なフェミニズム感覚で言うと、女性陣が怒りそうなくらい、「男性本位」な女性像ばかりです。
    まあ、実際に江戸時代で言ったらそうだったのかも知れませんが、男性主人公の都合で描かれる女性たち、という意味では、ほんっとゴルゴ13です。
    それはそれで、まったりと愉しむ分には、なるほどなあ、やっぱり執筆年代も60年代だもんなあ、そして司馬さんも実はフェミニズム度は低いしなあ、と読みました。



    そして、主人公が強いわけです。剣を取ったら。
    もう、とにかく強くて笑っちゃう。その意味でも、司馬さん版「ゴルゴ13」。
    あんまり強いんで、どんどん「絶体絶命の危機」がきつくなるのだけど、徐々にだれてくる(笑)。
    しかもその剣技が、よくわからない(笑)。
    とにかく精神論みたいな気合いみたいな感じ。
    時代劇ヒーローで言うと、眠狂四郎の円月殺法みたいな。「なんじゃそりゃ」な感じです。
    恐らくは週刊誌連載でしょうから、終わり際なんて、「うーん、作者の方が飽きたんぢゃなかろうか」という手触りが、なんともはや、微笑ましいレベルでした。

    #

    やっぱり、こういうの書かせたら、池波正太郎さんとかのほうが、オモシロイ。

    …と、書いている司馬さんも思ったのではないでしょうか(笑)。
    続きを読む

    投稿日:2017.12.19

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