
総合評価
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powered by ブクログこの巻は前半はマリアの父ボルコンスキー公爵の死 後半はナポレオンのロシアでの初めての敗北のボロジノ戦が描かれています。読んでいてじわじわ来たのは、私のように戦争経験のない人間にはわからない、軍事進攻の残酷さです。特に前半のアンドレイの故郷の荒廃ぶり、彼らが土地を転々としている事実、むろん彼らは裕福な何ヘクタールも農場を所有している豪農の領主なのですが、しかし物語で語られている時間経過でそれは感覚として理解できました。いわば都落ちです。後半の戦場の残酷な描写も克明であり、この時代の戦争ではあるのですが、指導者と現実の戦場の乖離など、読んでいてそうであろうと納得させられました。そんな中でアンドレイがナターシャと別れる原因となったアナトールの負傷した姿を見て、憐憫の情にかられるあたりが、この小説のヒューマニズムの肝なのだと思います。同様の場面はピエールとドローホフの和解の場面でもありました。アナトールと言えばアナトール・フランスを思い浮かべますが、おそらくそれでつけられた名前でしょう。トルストイの理想が掲げられた描写なのだと思いました。
13投稿日: 2025.11.12
powered by ブクログ1〜3巻と比べ、難しいと感じた。 ロシア帝国の地理に暗いからだろう。 (簡単な地図が載ってるのだが、それでも理解が追い付かない。) 世界史の教科書などでは、ナポレオン軍は寒さにやられて敗北と載ってるが、 この本ではフランス軍の死傷者が多くなり、それによってナポレオン並びにフランス軍の士気が低下し敗北色になったとある。 それとも、次巻で寒冷による敗北を迎えるのかな?
0投稿日: 2025.09.02
powered by ブクログ人間ドラマパートは少なめ、戦場の様子やナポレオンの周囲の様子が中心。 マリアがひたすらかわいそうだったけどここにきてちょっと光が見えてきたかも。 ラスト少しショックな描写が。あと2冊、いよいよか…?
1投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ナターシャの件でアナトールを憎んでいたアンドレイが、負傷して脚を切り落とされているアナトールを見て敵への愛を自覚するところがキリスト教っぽいなと思った。敵を含め全てのものへの愛が生への喜び。アンドレイはナターシャに裏切られたり故郷を失ったり散々なのに、生きていたいという生への愛が強いところがすごい。
1投稿日: 2023.05.24
powered by ブクログいよいよ、ロシアがナポレオンとの戦争に突入する。 作者の歴史感を書き留めておきたい。 ・人間の中には2面の生がある、その利害が抽象的であればあるほど自由が多くなる個人的な生と人間が予め定められた法則を必然的に果たしている不可抗力な群衆的な生である。 ・人間は意識的には自分のために生きている。しかし、歴史的、全人類な目的の達成のための無意識的な道具の役をしている。 ・歴史=人類の無意識的、全体的、群衆的な生 ・歴史上の偉人はその事件を示すレッテルに他ならず、レッテルと同じように事件そのものとは最も関係が小さい。 歴史とは抽象化された一面的な解釈である。ある概念を宙吊りにして眺めたとしても真理にたどり着けないことと同様に、あまりにも多くの諸原因の集合的な結果であり、その真相を多くの歴史家は分かったように言うが真実を示すことは不可能である。
1投稿日: 2020.09.09
powered by ブクログ第三部第二篇まで。 ナポレオンのロシア侵入 ニコライとマリアの運命的出会い ポロジノの戦い ピエールの戦争見物 アンドレイの負傷
0投稿日: 2020.07.16
powered by ブクログ恋愛小説だった第3巻からうって変わって、今回は本格的にナポレオン戦争の様子が大々的に描かれる。今回はロシアにとってナポレオンをロシア国内で迎え撃つ本当の戦争。7年前のナポレオンとのアウステルリッツの戦いでは、ふがいない敗戦に終わったロシアだが、今回はロシア国内でナポレオンを迎え撃つ状況ということで、おしりに火がついた状態、ロシア軍も本気になって戦う。 そして迎える運命の1812年。 歴史の結果としては、ナポレオンがロシアの冬将軍に負けて撤退するということになっているが、小説の中ではどのように描写されているのだろう。 この戦いの様子は、何故か民間人であるピエール・ベズーホフ伯爵が馬に乗って、のこのこ戦争のまっただ中に繰り出していき、ピエールの目を通してその凄まじい戦争の状況が描写される。 この時代の戦争って、僕たちがイメージする戦争のような戦争(第二次世界大戦のアメリカ軍と日本軍の戦いのような、機関銃で皆殺しにするみたいな感じね)と違って、勇気と名誉を重んじ、隊列を組んで大砲の弾がふりそぐ中を歩兵と騎兵が突撃していくというものだ。 この1812年のナポレオン戦争のクライマックスであるモスクワ西方のボロジノの戦いでは、ナポレオン率いる約13万のフランス軍とクトゥーゾフ元帥率いる約12万のロシア軍が激突する。 この9月5日から9月7日にかけて行われたボロジノの戦いだけで両軍合わせて約7万7千人の将兵が戦死した。 機関銃も戦車もないこの時代の戦い。 小銃と大砲、そして銃剣を構えての肉弾戦だけでこれだけの戦死者を出したということ。 我々の想像を遙かに超えるすさまじさだったのだろう。どれだけ命を粗末にしているんだ・・・。 最後は、ロシア軍の戦術的撤退により、一応ナポレオン軍の勝利ということで、ボロジノの戦いは終わったが、この戦闘はナポレオンの戦史の中でも、最も稚拙な作戦だったと言われている。 この時ナポレオンは、高熱に冒され、体調不良だったらしい。この体調不良の様子も本書で描かれている。 結果的にナポレオン軍はこの戦闘において大きな痛手を受け、最終的にロシアの冬を越えられずに敗走するのだった。 この『戦争と平和』6巻中4巻を読了。間違いのない面白さ。 今後、ピエール、アンドレイ、ニコライ、そしてナターシャがどのような運命をたどっていくか、目が離せない。 そう言えば、本書のボロジノの戦いの場面で、かの有名な軍事戦略論の古典『戦争論』を書いたカール・フォン・クラウゼヴィッツが数行だけだけど登場していたのを見つけて驚いた。 クラウゼヴィッツはプロイセン王国(今のドイツの元になった国)の軍人だけど、当時はロシア軍に雇われてロシア軍中佐の立場でナポレオン戦争に従軍していたんだね。
9投稿日: 2019.06.24
powered by ブクログ原書名:Война и мир 著者:レフ・トルストイ(Tolstoi, Lev Nikolaevich, 1828-1910、ロシア) 訳者:藤沼貴(1931-2012、中華民国遼寧省)
0投稿日: 2019.02.01
powered by ブクログ“大佐はバラショフの任務を国王陛下にうやうやしく伝えたが、バラショフという名が発音できなかった。 「バル・マシェーヴ卿!」王は(大佐が直面した難関を、持ち前の思い切りのよさで克服して)言った。” (49page) 括弧のなかのちょいちょいした描写がいちいち楽しい。おもしろい文体ではまるなあ。
0投稿日: 2017.07.28
powered by ブクログ4巻は戦争の記述が多く読むのに苦労した。ただ、ここがクライマックスなんだろうなと思う。 前線の任務につき、自ら負傷したり捕虜になったアンドレイと、それまで戦争とはまるで無縁だったのに、ひょっこり参戦してしまったピエールとの温度差が著しい。 最後のアンドレイとナポレオン、それぞれの心情から戦争の不合理、人生の無常が感じられる。
0投稿日: 2017.02.15
powered by ブクログ後半のフランス、ロシアの戦い、一気に読んだ。 戦争でのみんなの心理はこうかもしれないなって思った。状況はコロコロ変わって、指示も追いつかないし、みんなその場で勝手に決めて… それにしても、ピエール危ないし、邪魔だと思うんだけど。
0投稿日: 2016.12.06
powered by ブクログ(2016.04.21読了)(2016.04.10借入)(2006.12.05・第2刷) 1812年5月にナポレオンのロシア遠征が開始されます。ポーランドを通過し、寝万川を渡ってロシアに侵入したのは6月12日のことです。 第三部第一篇 フランス軍のナポレオンに対する熱狂ぶりが描かれています。ロシア軍の無統制ぶりが描かれています。 アンドレイとニコライは、軍隊に参加しています。 ピエールは、ナターシャを元気づけに行きつつ次第に恋に陥っていくようです。 フランス軍は、モスクワに近づいてきています。 第三部第二編 アンドレイの実家のあるルイスイエ・ゴールイは、ナポレオンがモスクワに迫る道筋に当たるので、アンドレイは、父親と妹にモスクワに避難するようにと勧めるのですが、父親は、アンドレイの領地ボグチャーロヴォで脳卒中で倒れ亡くなります。マリアは、領民たちとモスクワに向かおうとするのですが、領民たちは動こうとせず、マリアのモスクワ行きも阻止しようとします。 撤退の途中偶然通りかかったニコライが、マリアの窮状を助けて、モスクワへと逃れさせます。 ニコライは、マリアが気に入ったようです。ソーニャをどうするのと突っ込みたくなるところですが、戦争に生き残るのが先決でしょうね。 アンドレイは、クトゥーゾフ・ロシア軍司令官に司令部で働かないかと勧められますが、部隊長として前線で戦うことを選びます。 モスクワの手前のボロジノでフランス軍とロシア軍は一戦交えることになります。 アンドレイもニコライもピエールまでもが、この戦場にいます。ピエールは、自分もなんか国のために役に立ちたいとやってきたのですが、戦場をあちこちと見て歩くだけで、ちょっと邪魔という感じですね。 アンドレイは、戦場でまたしても負傷してしまいます。負傷して運ばれた場所で、同じく負傷しているアナトールを見つけました。恋敵です。 さて今後の展開はどうなるのでしょう? 【目次】 『戦争と平和』系図 主要人物紹介 第三巻のあらすじと第四巻の展望 第三部 第一篇 第二篇 『戦争と平和』年表 ●ロシア軍(36頁) 皇帝を取り巻いている者たちの目指すところはすべて、皇帝に楽しく時を過ごさせながら、目前に迫った戦争のことを忘れさせることだ、という感じがした。 ●ナポレオン(70頁) ナポレオンにとってはもうだいぶ前から、間違いの可能性などはその信念のなかに存在しておらず、彼の考えでは、自分のしたことすべて、善悪の観念に合致するからではなく、自分がしたからという理由で、よいものとされているらしかった。 ●ドイツ人、フランス人、イギリス人、イタリア人、ロシア人(106頁) 抽象的観念―学問、つまり、完全な真理を知っているという幻想をもとに自信を持てるのは、ドイツ人だけだからだ。フランス人が自信を持つのは、自分自身が頭でも、体でも、男性にも女性にも、有無を言わせぬ魅力を持っていると思うからだ。イギリス人が自信を持つのは、自分は世界でいちばん整備された国の国民であり、したがって、イギリス人にふさわしく、自分のなすべきことを常に心得ており、イギリス人として自分がすることはすべて、間違いなくいいということを知っているからだ。イタリア人が自信を持つのは、興奮して、すぐに自分自身も、他人も忘れてしまうからだ。ロシア人が自信を持つのは、何も知らず、何も知ろうとせず、なにかを完全に知ることができるなどとは、信じていないからにほかならない。 ●病気(145頁) 生きた人間はめいめい自分の特質を持っていて、いつでも自分独自の新しい、複雑な、医学の知らない病気を持っているからだ。 ●忍耐と時間(366頁) むつかしいのは戦争に勝つことだよ。そのためには突撃したり、攻撃したりする必要はない、必要なのは忍耐と時間だ。 ●気球(383頁) その日ピエールは気晴らしに、レピッヒが敵をやっつけるために製作している大気球と、あす飛ばすことになっている試験用の気球を見るために、モスクワ郊外のヴァロンツォーヴォ村に出かけた。 ●勝つ(437頁) 戦いに勝つのは、勝つと確信している者だ。 ●戦争(443頁) 戦争の目的は殺人じゃないか。戦争の手段はスパイ行為、裏切りや裏切りの奨励、住民の生活破壊、軍の物資調達のための略奪や盗みだ。軍事上の策略と言われる嘘やごまかしだ。軍人階級の気風は自由のないこと、つまり規律、無為、残忍、遊興、飲酒だ。 人を多く殺したものほど、大きなほうびをもらうんだ ●ナポレオンの構想(534頁) ヨーロッパはまもなく、一つの民族以外の何ものでもなくなり、すべてのものが、どこを旅行しようとも、常に共通の祖国にいることになったであろう。すべての川は万人の航海しうるものとなり、海は共有のものとなり、膨大な常備軍はこれからのち、単なる君主の親衛隊に縮小されることが要求されたであろう。 ☆関連図書(既読) 「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10 「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05 「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01 「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17 「戦争と平和(二)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.02.16 「戦争と平和(三)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.03.16 「図説ロシアの歴史」栗生沢猛夫著、河出書房新社、2010.05.30 (2016年4月22日・記) (「BOOK」データベースより)amazon 不吉な彗星の年。軍務に戻ったアンドレイは父と妹に敵接近を急報するが、退避目前に老公爵は死去、マリアは領地農民の反抗に遭う。戦争の本質を探ろうとピエールはボロジノへ発つ。いまや貴族も農民もなく、全ロシアの危機が始まろうとしていた。
0投稿日: 2016.04.16
