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井上忠司 / 講談社学術文庫 (2件のレビュー)
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総合評価:
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h-nagisa
このレビューはネタバレを含みます
ルーズ・ベネディクトの「菊と刀」にでてくる「恥の文化」をさらに展開させていることは評価できると思います。 クセがなく非常に読みやすくて、論理の展開も丁寧だと思います。 西洋の「近代的自我」の思想にふれていらい、我が国では「世間の目」を故意に拒否しようとする風潮が、徐々にあらわれてきたように思われる。そのさい「強い自我(エゴイズムのことではないここではしなやかな自律性みたいな意味か)」が育たないままに「世間」の人たちの「まなざし」のみを拒否しようとするならば、人びとの前には、大きな陥穽がまっていることだろう。他者に見られない限り、なにをやってもよい自由という陥穽が、である。(p.238) 「世間体」を重んじるということは、ほんらい、見られることによる不自由を甘受して、生きた人間と生きた人間関係をむすぶことではなかったか。それにたいして、見られないということは、だれからもみられないというかぎりでは自由なのだが、自分が無意味だと確実に知らされることである。唯一絶対神(超越者)をもたない人の立場からいえば、現代は、私達が「不自由」と「無意味」のどちらかをとるか、そんな選択をせまられている時代であるといえるもしれない。(p.244) 1977年に刊行されている本著ですが、上記の問いは2024年の現在にも強烈に我々に問われている問題のようです。
投稿日:2024.03.15
bax
[ 内容 ] 世間に対して体面・体裁をつくろい、恥ずかしくない行動をとろうとする規範意識―それが世間体である。 唯一絶対神をもたない日本人は、それを価値規準とし、世間なみを保つことに心を砕いてきた。 …世間の原義と変遷、また日本人特有の羞恥、微笑が生まれる構造を分析し、世間体を重んじる意味を再考する。 世間論の嚆矢となった出色の日本文化論。 [ 目次 ] 序章 「世間体」の発見 第1章 「世間」の意味 第2章 「世間」観の変遷 第3章 「世間」の構造 第4章 「はじ」の社会心理 第5章 「笑い」の機能 第6章 「世間体」の文化再考 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]続きを読む
投稿日:2014.10.04
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