【感想】はむ・はたる

西條奈加 / 光文社文庫
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
4
6
5
2
0

ブクログレビュー

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  • shigenobu

    shigenobu

    「烏金」の続編。
    浅吉が勝平とその仲間たちに悪行をせずに生きていく術を教えて暫くが経ち、今度は
    勝平の仲間に焦点をあてた本作。
    貧乏長屋に住んでいて贅沢も出来ないけれど、平穏に暮らせる事が幸せと感じられる子供達、ささやかでも大事な事がと改めて思わせる作品。
    西條さんには、是非シリーズ化して頂きたいと思った。
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    投稿日:2024.02.10

  • たお

    たお

    このレビューはネタバレを含みます

    烏金から引き続き。
    勝平たち子供たちが主役。

    それぞれの個性がどんどん出てて面白かった。烏金を読んだ後だから彼らがこんなふうに生活できてほのぼのするシーンもあれば、心苦しくなる話もあり。

    ハチが少しずつ元気?になっていくのがよかった。伊根には悪いけど、花の賢さが現れてくるのも好き。
    でも浅吉に続き柾さまが去ってしまうのは勝平たちにとって大きな喪失だったろうな。はむ・はたる、まさにお蘭は柾にとっても勝平たちにとってもその呼び名に相応しかったのでは。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.02.01

  • oooba3

    oooba3

    江戸のストリートチルドレンが、懸命に生きようとする。ガンバレ、と言いたくなる人情ものがたり。

    この作家さんの描く人物たちには、血が通い、
    ページの上で、生き生きと走り回り、泣き笑い、
    そのうち、ページを飛び出し、ワタシに微笑みかけてくる。

    少々苦い場面もあるが、それでも、最後は、納得のゆく結末を用意してくれる。

    だから、安心して、手に取れる。

    この作品でも、子どもたちの、何と、生き生きとしていることか。
    貧しくて、過酷な運命を背負わされていても、
    毎日を、生きて、生きている。

    もちろん、この作品では、心ある大人たちが、
    周囲で、彼らを支えている。

    彼らに、読み書きや、行儀作法を教え込もうとする長谷部の婆様、
    その息子の柾などが、子どもたちを見守る。

    芯から腐った悪人は出てこない。

    読んだ後、あぁ、掛け値なしに面白かったと、
    満足する作品である。

    表題の「はむ・はたる」は、最後の章で、
    その意味がわかる。

    ところで、この作品は、「烏金」の続編だとか。
    後で、知った。
    「烏金」、読まなきゃ。
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    投稿日:2023.12.05

  • なんてひだ

    なんてひだ

    烏金を読んでから読むという、2度目の、続編とは知らずにいたのが勿体無い。あの子供達が生きる道を見つけて、15人の子供達だけで生きていくのがいい、子供達の自尊心も傷付けないで、導いてくれる人々がいてね。それぞれ辛い生い立ちから今の生活を主人公の側にいる目で描いたのが上手だなあ、長屋の生活する話ってなんだか好きなんだよなあ、江戸時代が魅力的なのかと続きを読む

    投稿日:2023.10.23

  • じゅう

    じゅう

    「西條奈加」の連作時代小説『はむ・はたる』を読みました。
    『善人長屋』、『閻魔の世直し―善人長屋―』、『大川契り―善人長屋―』に続き、「西條奈加」の作品です。

    -----story-------------
    掏摸やかっぱらいで食いつなぐ暮らしを改めて、まっとうな商売を始めた、「勝平」をはじめとする十五人の孤児たち。
    彼らは周囲の小さな事件を解決しながら、自分たちの居場所を拓こうとする。
    厳しくも温かい「長谷部家」の人々や、口の悪い金貸し「お吟」らの助けも借りながら、子供たちは事件解決に奮闘する。
    笑いと涙が交錯する傑作に、特別書下ろし短編『登美の花婿』も収録。
    -----------------------

    2007年(平成19年)から2009年(平成21年)に光文社が発行している小説誌『小説宝石』に掲載された作品6篇に書き下ろし1篇を加えた連作短篇集、、、

    心に傷を負った若き侍と、江戸の下町でたくましく生きる孤児たちの、強い絆とままならぬ過去への思いを描く青春時代小説です。

     ■あやめ長屋の長治
     ■猫神さま
     ■百両の壺
     ■子持稲荷
     ■花童
     ■はむ・はたる
     ■登美の花婿(特別収録)
     ■解説 小路幸也

    『烏金』という作品の続篇だったみたいですねー 前作から2か月後が舞台で、前作で浮浪児から足を洗った「勝平」をはじめとする十五人の孤児たちが知恵を出し合って事件を解決していくという展開… 子ども一人、一人称で一話ずつ物語が進んでいきます、、、

    それぞれの過去は辛く悲しいですが、一人ひとりが前向きに生きていこうとする姿は、強く逞しく感じるし、それを見守る大人たちがまたカッコ良かったですね。

    「登美」が、商いを終えた帰り道で、川べりでぼんやりと腹を抱えるようにして縮こまっている仕出し屋蓬莱屋の倅「由次郎」の姿を見かけて声をかけ、「由次郎」を虐める継母「お倉」が妙な男と組んで、蓬莱屋に仇をなそうとしているという事件を解決しようとする『子持稲荷』が印象的でしたね… この物語は最後の『登美の花婿』にも繋がっていくんですけどね。

    あとは、「勝平」等が暮らす深川六間堀町のあやめ長屋のいじめっ子「長治」が行方不明となり、日ごろ「長治」に意地悪をされていて、疑いをかけられた「勝平」等が消えた「長治」を探す『あやめ長屋の長治』が面白かったかな。

    ちなみに、『はむ・はたる』という妙なタイトルは、フランス語の"Femme fatale(ファム・ファタル)"を聞き違えた言葉で、男を破滅させる魔性の女(悪女)を意味するようですね… 「お蘭」は"ファム・ファタル"だったんでしょうね、、、

    順番が入れ違ってしまったので、『烏金』を読むかどうか迷いますね。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.16

  • Bookrium

    Bookrium

    江戸の町を舞台に孤児たちが大人に見守られながらも自分たちの才覚で生きてゆく物語。
    この時代だからこそ成立する人情物語で、子供だからこその限界と折り合いをつけながら奮闘する様子が清々しい。はむって食べるのことか?と頭の中にクエスチョンマークを持ちながら読んでいたら、そういう意味だったのですね。作品は文句なしですが、このタイトルだけは少し凝り過ぎの印象でした。続きを読む

    投稿日:2022.08.23

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